投資の知恵袋
Questions
働きながら年金を繰り下げることはできますか。
回答済み
1
2026/10/20 16:00
男性
60代
現在も会社で働いて給与を受け取っていますが、年金をすぐに受け取らず、繰り下げて将来の受給額を増やすことはできますか。働いている間も増額の対象になるのか、収入によって制限されないか、手続きや注意点も知りたいです。
回答をひとことでまとめると...
働きながらでも年金は繰り下げでき、受給開始を遅らせるほど年金額は増えます。ただし、老齢厚生年金は給与額によって増額対象が減る場合があるため、収入や生活費を踏まえて判断しましょう。
佐々木 辰
38歳
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
働きながら年金を繰り下げられるのか、給与があると増額されないのかは気になるところです。生活費とのバランスも含めて慎重に考えましょう。
会社で給与を受け取っていても、老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則66歳から75歳まで繰り下げられます。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、70歳開始なら42%、75歳開始なら84%増えた金額を生涯受け取れます。両方を別々の時期から受け取ることも可能です。
ただし、給与収入の影響には注意が必要です。老齢基礎年金は収入にかかわらず増額対象ですが、老齢厚生年金は在職老齢年金で支給停止となる部分が繰下げ増額の対象になりません。2026年度は、給与・賞与の月額換算額と老齢厚生年金の合計が月65万円を超える場合、支給停止が生じる可能性があります。
繰下げ中は年金を受け取れず、加給年金や振替加算も増額されません。受給開始時に繰下げ請求を行うため、退職時期、給与、貯蓄、健康状態、税金や社会保険料への影響を確認し、基礎年金だけを繰り下げる方法も含めて検討しましょう。
関連ガイド
関連する専門用語
繰下げ受給
繰下げ受給とは、本来65歳から支給される公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)の受け取り開始を自分の希望で後ろ倒しにする制度です。66歳以降、最大75歳まで1か月単位で繰り下げることができ、遅らせた月数に応じて年金額が恒久的に増えます。 増額率は1か月当たり0.7%で、10年(120か月)繰り下げた場合にはおよそ84%の上乗せとなるため、長生きするほどトータルの受取額が増えやすい仕組みです。ただし、繰下げた期間中は年金を受け取れないため、その間の生活資金や健康状態、就労収入の見通しを踏まえて慎重に検討することが大切です。
在職老齢年金
在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)とは、年金を受け取りながら働く人の年金額を、賃金とのバランスをとるために一時的に減額または支給停止する制度です。高齢期の就労を促進しつつ、年金財政の公平性を保つことを目的としています。 対象となるのは、老齢厚生年金の受給権があり、厚生年金保険の適用事業所で報酬を受け取っている人です。具体的には、60歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が勤務を続けている場合に適用されます。70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなりますが、報酬を得ている限り、この在職老齢年金の支給停止の仕組みは引き続き適用されます。 支給停止の判定は、年金(月額)と給与・賞与の合計額が一定の基準を超えるかどうかで行われます。年金の支給額を算定する際に用いられる「基本月額」と、給与や賞与から算出される「総報酬月額相当額」を合計し、基準額(支給停止調整開始額)を上回る場合、超過分の2分の1が年金から差し引かれます。たとえば、年金10万円、給与50万円で合計60万円の場合、基準額51万円を9万円超えるため、その半分の4.5万円が支給停止となり、受け取れる年金は5.5万円になります。 基準額は制度改正により段階的に引き上げられています。2024年度までは47万円でしたが、2025年度(令和7年度)からは51万円に引き上げられました。さらに、2026年4月(令和8年4月)からは62万円に引き上げられる予定です。これにより、高齢になっても働き続ける人がより多くの年金を受け取れるようになります。 在職老齢年金には、60〜64歳を対象とする「低在老」と、65歳以上を対象とする「高在老」があります。60〜64歳の場合の基準額は28万円と低く設定されていますが、65歳以上は51万円(現行)と緩やかです。なお、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている場合などは、年金額が追加で調整されることもあります。 在職老齢年金は「働く高齢者の所得と年金の調整」という考え方に基づく仕組みであり、年金制度の公平性と持続可能性を保ちながら、就労意欲を支える制度として位置づけられています。今後も高齢者の就労促進と制度の簡素化を目的とした見直しが進む見通しです。
老齢基礎年金
老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。
老齢厚生年金
老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。
加給年金
加給年金とは、厚生年金に加入していた人が老齢厚生年金を受け取る際に、一定の条件を満たしていれば上乗せして支給される年金のことです。主に、年金を受け取る人に扶養している配偶者や子どもがいる場合に支給されます。この制度は、家族の生活を支えることを目的としており、会社員などが退職後に受け取る厚生年金にプラスされるかたちで支給されます。 ただし、配偶者や子どもが一定の年齢や収入要件を超えていると対象外になることがあります。つまり、定年後の生活を家族と一緒に支えていく仕組みの一つといえます。
振替加算
振替加算とは、国民年金の制度において、老齢厚生年金を受け取る配偶者に対して加算される年金の一部です。具体的には、配偶者が一定の要件を満たし、かつ自分自身の基礎年金を満額もらえない(たとえば国民年金の加入期間が短い)場合に、老齢厚生年金に上乗せして支給されるものです。この制度は、年金制度が整備される以前に結婚・子育てをしていた専業主婦(主夫)などが不利にならないように設けられました。受給の条件には、生年月日や配偶者との関係、国民年金の納付状況などが関係します。資産運用や老後の生活設計においては、年金収入の見込みを正しく把握するために、振替加算の有無は重要な確認ポイントの一つです。





