厚生年金保険料はいつまで・何歳まで払うものなのでしょうか?
厚生年金保険料はいつまで・何歳まで払うものなのでしょうか?
回答受付中
0
2025/09/12 09:02
男性
60代
厚生年金保険料は定年まで払うものだと漠然と思っているのですが、実際には何歳まで支払いが続くのでしょうか?例えば60歳以降も継続して働く場合には支払い義務があるのか、また年金受給開始の年齢や退職のタイミングによって変わるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
厚生年金保険料は、会社員や公務員などとして厚生年金に加入しているあいだ支払う必要があります。支払いの上限は原則として70歳到達月の前月分までです。
つまり、60歳を過ぎて働き続ける場合も70歳になるまでは給与や賞与から保険料が天引きされます。なお、年金をいつから受け取るか(繰上げ・繰下げ)は保険料の支払い義務とは関係なく、在職していれば必ず負担が発生します。
退職や異動のタイミングも重要です。厚生年金保険料は、その月の末日に被保険者資格があるかどうかで支払いが決まります。例えば6月20日に退職した場合は6月末には資格がないため6月分は不要ですが、6月30日に退職すると月末も資格があるため6月分が必要となります。
70歳到達月についても注意が必要です。たとえば6月15日に70歳を迎える人は、6月末には資格を失うため6月分の保険料は不要で、最終納付は5月分となります。また、賞与の場合は「支給日に資格があるかどうか」で判断されるため、在籍中に支給されれば保険料がかかります。
短時間勤務者も、労働時間や賃金が一定の基準を満たすと加入対象になります。ただし、その要件から外れた場合には厚生年金保険料の負担はなくなります。
退職後の取り扱いにもルールがあります。70歳前に退職して雇用がなくなった場合、20歳以上60歳未満の人は国民年金(第1号被保険者)に切り替わり、60歳以上の人は希望に応じて任意加入を検討できます。
さらに、65歳以降は年金を受給しながら働くこともできますが、その場合は「在職老齢年金」によって支給額が一部減額や停止される可能性があります。ただし、これはあくまで受給額の調整であり、保険料の支払い義務とは別の仕組みです。
実際の手続きや判断は、生年月日、退職日や継続雇用の有無、就業時間、賃金、賞与支給日などの条件によって異なります。そのため、会社の人事労務担当者や年金事務所に確認することが大切です。特に退職日や70歳到達月の「月末在籍」の有無で保険料の負担が変わるため、日付の設定には十分注意しましょう。また、制度は将来的に変更される可能性があるため、常に最新の情報を確認することも重要です。
関連記事
関連する専門用語
厚生年金
厚生年金とは、会社員や公務員などの給与所得者が加入する公的年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階建て構造」の年金制度の一部です。厚生年金に加入している人は、基礎年金に加えて、収入に応じた保険料を支払い、将来はその分に応じた年金額を受け取ることができます。 保険料は労使折半で、勤務先と本人がそれぞれ負担します。原則として70歳未満の従業員が対象で、加入・脱退や保険料の納付、記録管理は日本年金機構が行っています。老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金なども含む包括的な保障があり、給与収入がある人にとっては、生活保障の中心となる制度です。
被保険者
被保険者とは、保険の保障対象となる人物。生命保険では被保険者の生存・死亡に関して保険金が支払われる。医療保険では被保険者の入院や手術に対して給付金が支払われる。損害保険では、被保険者は保険の対象物(自動車など)の所有者や使用者となる。被保険者の同意(被保険者同意)は、第三者を被保険者とする生命保険契約において不可欠な要素で、モラルリスク防止の観点から法律で義務付けられている。
国民年金
国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入しなければならない、公的な年金制度です。自営業の人や学生、専業主婦(夫)などが主に対象となり、将来の老後の生活を支える「老齢基礎年金」だけでなく、障害を負ったときの「障害基礎年金」や、死亡した際の遺族のための「遺族基礎年金」なども含まれています。毎月一定の保険料を支払うことで、将来必要となる生活の土台を作る仕組みであり、日本の年金制度の基本となる重要な制度です。
第1号被保険者
第1号被保険者とは、日本の公的年金制度において、20歳以上60歳未満の自営業者や農業従事者、フリーランス、無職の人などが該当する国民年金の加入者区分のひとつです。会社員や公務員などのように厚生年金に加入していない人が対象で、自分で国民年金保険料を納める義務があります。 保険料は定額で、収入にかかわらず同じ金額が設定されていますが、経済的に困難な場合には免除制度や納付猶予制度を利用できることがあります。将来の年金受給の基礎となる制度であり、自分でしっかりと手続きや納付を行う必要があります。公的年金制度の中でも、自主的な加入と負担が特徴の区分です。
在職老齢年金
在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)とは、年金を受け取りながら働く人の年金額を、賃金とのバランスをとるために一時的に減額または支給停止する制度です。高齢期の就労を促進しつつ、年金財政の公平性を保つことを目的としています。 対象となるのは、老齢厚生年金の受給権があり、厚生年金保険の適用事業所で報酬を受け取っている人です。具体的には、60歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が勤務を続けている場合に適用されます。70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなりますが、報酬を得ている限り、この在職老齢年金の支給停止の仕組みは引き続き適用されます。 支給停止の判定は、年金(月額)と給与・賞与の合計額が一定の基準を超えるかどうかで行われます。年金の支給額を算定する際に用いられる「基本月額」と、給与や賞与から算出される「総報酬月額相当額」を合計し、基準額(支給停止調整開始額)を上回る場合、超過分の2分の1が年金から差し引かれます。たとえば、年金10万円、給与50万円で合計60万円の場合、基準額51万円を9万円超えるため、その半分の4.5万円が支給停止となり、受け取れる年金は5.5万円になります。 基準額は制度改正により段階的に引き上げられています。2024年度までは47万円でしたが、2025年度(令和7年度)からは51万円に引き上げられました。さらに、2026年4月(令和8年4月)からは62万円に引き上げられる予定です。これにより、高齢になっても働き続ける人がより多くの年金を受け取れるようになります。 在職老齢年金には、60〜64歳を対象とする「低在老」と、65歳以上を対象とする「高在老」があります。60〜64歳の場合の基準額は28万円と低く設定されていますが、65歳以上は51万円(現行)と緩やかです。なお、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている場合などは、年金額が追加で調整されることもあります。 在職老齢年金は「働く高齢者の所得と年金の調整」という考え方に基づく仕組みであり、年金制度の公平性と持続可能性を保ちながら、就労意欲を支える制度として位置づけられています。今後も高齢者の就労促進と制度の簡素化を目的とした見直しが進む見通しです。
年金事務所
年金事務所とは、日本の公的年金制度に関するさまざまな手続きや相談を受け付ける国の機関です。主に日本年金機構が運営しており、厚生年金や国民年金の加入、保険料の納付、受給に関する手続きや質問に対応しています。会社員や自営業の方、年金をこれから受け取る予定の方など、すべての人が自分の年金に関することを確認したり、相談したりする場所です。 たとえば、「年金をいつからもらえるのか」や「どれくらいの金額になるのか」などの情報を知りたいときには、この年金事務所を訪れることで、詳しい案内を受けることができます。





