特例贈与財産と一般贈与財産の違いを教えてください
特例贈与財産と一般贈与財産の違いを教えてください
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2025/10/02 09:08
男性
50代
資産運用や相続対策を学び始めたばかりですが、贈与税に関して「特例贈与財産」と「一般贈与財産」という区分があると知りました。ただ、どのような基準で区別されるのか、また税率や控除額など具体的にどんな違いがあるのかご説明いただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
特例贈与財産と一般贈与財産の違いは、誰から誰へ贈与するかと受け取る人の年齢によって決まります。結論から言えば、父母や祖父母といった直系尊属から18歳以上の子や孫が財産をもらった場合は特例贈与財産になり、それ以外の贈与は一般贈与財産に分類されます。この違いによって贈与税の税率が変わり、一般より特例の方が低めに設定されているため有利になる場合が多いです。
例えば、同じ金額の贈与であっても、親から18歳以上の子が贈与を受ければ特例扱いとなり、義父母から贈与を受ける場合や18歳未満の子が受ける場合は一般扱いとなります。年齢はその年の1月1日時点で判定されるため、18歳の誕生日が贈与年の途中であっても、年始時点で17歳であれば一般贈与になります。この基準によってどちらの区分かが明確に分かれます。
税額の計算では、どちらもまず年間110万円の基礎控除を差し引いた課税価格に速算表を当てはめます。ただし速算表が区分ごとに分かれており、特例の方が同じ課税価格でも税率が軽減される帯域があります。結果として、直系尊属からの贈与であれば節税につながるケースが少なくありません。
注意が必要なのは、義父母からの贈与や配偶者間の贈与は直系尊属に当たらず一般贈与となる点です。また、同じ年に配偶者からと親から両方贈与を受けた場合には、特例と一般を分けて計算する必要があります。さらに、贈与を受けた際には契約書や振込記録などを残し、基礎控除を超える場合は翌年の申告期間に贈与税の申告と納付を行うことが求められます。
実際に贈与を考える際は、特例と一般の違いだけでなく、生前贈与加算や相続時精算課税制度、住宅取得資金の非課税枠など関連制度も併せて検討することが重要です。これらは相続全体の税負担や将来の資産承継計画に影響するため、大きな金額や複数年にわたる贈与を計画する際には専門家に相談するのが安心です。
つまり、直系尊属から18歳以上の子や孫への贈与は特例扱いで税率が有利になり、それ以外は一般扱いになるという区分を理解しておけば、贈与の計画やシミュレーションを進めやすくなります。
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関連する専門用語
特例贈与財産
特例贈与財産とは、親や祖父母など直系尊属が18歳以上の子や孫へ贈与した財産を指し、贈与税の区分上「一般贈与財産」と区別して扱われるものです。 税率は一般贈与に比べて段階的に低く設定されており、早い段階で資産を次世代に移しやすくすることで相続発生時の税負担を平準化する狙いがあります。毎年1月1日から12月31日までの暦年課税において適用され、年間110万円の基礎控除を差し引いた後の課税価格に特例税率がかかります。 贈与者と受贈者の続柄や年齢条件を満たすことが必要で、条件外の贈与は一般贈与財産として課税されるため注意が必要です。
一般贈与財産
一般贈与財産とは、贈与税を計算するときに「特例贈与財産」以外の贈与として扱われる財産です。贈与者と受贈者の関係や年齢が特例の条件を満たさない場合に該当し、住宅資金のような特定目的の特例を利用しない通常の贈与もここに含まれます。 課税方法は暦年課税が基本で、毎年1月1日から12月31日までの贈与額から基礎控除110万円を差し引き、残額に一般贈与財産用の税率が段階的に適用されます。税率は特例贈与財産より高めに設定されているため、多額の資産を一度に移転すると税負担が大きくなる点に注意が必要です。 適切な贈与契約書を作成し、受贈者が自分の資金管理を行うことを示す通帳管理などを通じて「名義預金」と誤認されない対策を講じることも大切です。
贈与税
贈与税とは、個人が他の個人から金銭・不動産・株式などの財産を無償で受け取った際に、その受け取った側(受贈者)に課される税金です。通常、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税され、超過分に応じた累進税率が適用されます。 この制度は、資産の無税移転を防ぎ、相続税との整合性を保つことを目的として設けられています。特に、親から子へ計画的に資産を移転する際には活用されることが多く、教育資金や住宅取得資金などに関しては、一定の条件を満たすことで非課税となる特例もあります。 なお、現在は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2制度が併存していますが、政府は近年、相続税と贈与税の一体化を含めた制度改正を検討しており、将来的に制度の選択肢や非課税枠、課税タイミングが見直される可能性があります。 こうした背景からも、贈与税は単なる一時的な贈与の問題にとどまらず、長期的な資産承継や相続対策の設計に深く関わる重要な制度です。税制の動向を踏まえた上で、専門家と連携しながら最適な活用方法を検討することが求められます。
基礎控除
基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。
生前贈与加算
生前贈与加算とは、被相続人が亡くなる前に行った贈与を相続財産に「持ち戻し」て相続税を計算し直す仕組みです。従来は「死亡前3年以内」の贈与が対象でしたが、令和6年(2024年)以降の贈与から段階的に対象期間が延長され、2031年1月1日以降に発生する相続では「死亡前7年以内」の贈与まで加算されます。また延長された4年間(3年超~7年以内)の贈与については、総額100万円までが加算対象から除外される優遇措置が設けられています。この制度は、死亡直前の駆け込み贈与による節税を防ぎ税負担の公平性を確保することを目的としており、暦年贈与を利用した資産移転の効果が小さくなるため、相続時精算課税制度や早期贈与の活用など計画的な相続対策がより重要になります。 従来は「死亡前3年以内」の贈与が対象でしたが、令和6年(2024年)以降の贈与から段階的に対象期間が延長され、2031年1月1日以降に発生する相続では「死亡前7年以内」の贈与まで加算されます。 また延長された4年間(3年超~7年以内)の贈与については、総額100万円までが加算対象から除外される優遇措置が設けられています。 この制度は、死亡直前の駆け込み贈与による節税を防ぎ税負担の公平性を確保することを目的としており、暦年贈与を利用した資産移転の効果が小さくなるため、相続時精算課税制度や早期贈与の活用など計画的な相続対策がより重要になります。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ財産を贈与する場合に利用できる、特別な贈与税の制度です。この制度を使うと、贈与を受けた年に2,500万円までの金額については贈与税がかからず、それを超えた部分にも一律20%の税率が適用されます。そして、その後贈与者が亡くなったときに、過去の贈与分をすべてまとめて「相続財産」として扱い、最終的に相続税として精算します。 つまり、この制度は「贈与税を一時的に軽くし、あとで相続税の段階でまとめて精算する」という仕組みになっています。将来の相続を見据えて早めに資産を移転したい場合や、大きな金額を一括で贈与したい場合に活用されることが多いです。 ただし、一度この制度を選ぶと、同じ贈与者からの贈与については暦年課税(通常の贈与税制度)には戻せないという制限があるため、利用には慎重な判断が必要です。資産運用や相続対策を計画するうえで、制度の特徴とリスクをよく理解しておくことが大切です。




