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なぜ新興国株式への投資は初心者におすすめできないのですか?

なぜ新興国株式への投資は初心者におすすめできないのですか?

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2025/08/12 10:49


男性

30代

question

資産運用を始めようと考えています。新興国は成長性が高いというイメージがありますが、初心者にはおすすめしないと言われました。具体的にどのような理由で初心者には向かないのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

初心者に新興国株式への投資をおすすめしない理由は、「リスクの高さ」と「リターンの不安定さ」にあります。新興国は確かに経済成長率が高く、魅力的に感じる方も多いですが、実際の株式市場のリターンはGDP成長率に必ずしも連動しません。過去30年間のデータを見ると、新興国株式は米国株式や先進国株式に比べてリターンが低く、期待に反する結果になりやすいのです。

また、新興国には特有のリスク(カントリーリスク)があり、政情不安や政府による外資規制、通貨暴落などが頻繁に起こります。これにより株価が短期間で大きく下落し、初心者が冷静な判断を保つことが難しくなります。市場自体も規模が小さいため、売買が成立しにくい「流動性リスク」があり、希望するタイミングで売却できない可能性もあります。

さらに、為替リスクの問題もあります。新興国の通貨は自国の高インフレなどにより、円に対して価値が長期的に下落しやすい傾向があり、仮に現地通貨建てで株価が上昇しても、円換算した利益が大きく目減りする可能性があります。

加えて、新興国株式に投資するファンドやETFは一般的に運用手数料(信託報酬)が高めで、長期運用ではこのコストがリターンを圧迫します。

これらの理由から、初心者の方にはまず米国株式や先進国株式を中心に低コストのインデックスファンドで運用経験を積み、その後、経験をもとに新興国株式を補完的に組み入れるのが最も現実的でおすすめの方法です。

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株式外国株式新興国株式

関連する専門用語

カントリーリスク

カントリーリスクとは、ある国に関連した投資やビジネスを行う際に、その国特有の事情によって損失が生じるおそれのあるリスクのことをいいます。たとえば、政権交代や政治不安、戦争、法制度の変更、為替の急変、債務不履行(デフォルト)など、その国の経済的・政治的な状況によって投資の価値が大きく変動する可能性があります。 特に新興国では、このリスクが高いとされ、投資する際には慎重な情報収集と判断が必要です。カントリーリスクは個別企業の経営状況とは関係なく、その国全体の事情によって発生するため、海外投資や国際分散投資において注意すべき重要な要素です。

流動性リスク

流動性リスクとは、資産を売却したいときに市場で買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスクのことを指します。特に市場が混乱した場合や、取引量の少ない資産では、このリスクが顕著になります。例えば、不動産や未上場株式、流動性の低い債券などは、売却に時間がかかることが多く、想定よりも低い価格での取引を余儀なくされる場合があります。金融機関や企業にとっては、必要な資金を調達できずに支払いが滞る可能性があることを意味し、経済危機や市場の急激な変動時には特に注意が必要です。投資ポートフォリオを構築する際には、資産の換金しやすさを考慮し、現金や流動性の高い資産とのバランスを取ることが重要とされます。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

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