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VIG(バンガード増配株ETF)とは?株価や構成銘柄・配当利回り・増配率など特徴や活用法を徹底解説

VIG(バンガード増配株ETF)とは?株価や構成銘柄・配当利回り・増配率など特徴や活用法を徹底解説

VIG(バンガード増配株ETF)とは?株価や構成銘柄・配当利回り・増配率など特徴や活用法を徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.12.16

更新:

2025.12.16

米国株式

S&P500や全世界株に加えて、増配株ETFのVIGに注目する人が増えています。しかし、経費率や利回りだけではVYMやHDV、VOOとの違いが分かりにくく、どれを選ぶべきか判断に迷いがちです。この記事では、VIGの採用基準や増配実績、利回りの特徴を整理し、主要ETFとの比較、日本の投資家が意識すべき為替・税制、新NISAでの位置付けまでを分かりやすく解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読み進めると、VIGがなぜ「低コストで連続増配に強いETF」として注目されるのか、その本質がすっきり理解できます。VYM・HDV・SCHD・VOOとの違いを比較しながら、今の配当を重視すべきか、将来の増配を優先すべきか、自分に合った選択軸がクリアになります。さらに、日本の投資家に欠かせない為替や二重課税、新NISAでの扱いまで整理でき、長期ポートフォリオの中でVIGをどう位置付ければよいかを自信をもって判断できるようになります。

目次

VIGの基本概要|10年連続増配株へ投資する仕組みと特徴

VIGとは|バンガード・米国増配株式ETFの基本スペック

投資コンセプト|「増配」が示す企業の強さ

どんな人におすすめ?長期保有に向く投資家像

VIGの構成銘柄とセクター比率|どんな企業に投資している?

上位構成銘柄とセクター|IT・金融・ヘルスケアのバランス

「増配ETF」の特徴|単なる高配当ETFや連続増配株との違い

VIGの株価・配当・利回り・トータルリターンを他ETFと比較|VYM・SCHD・VOOとの違いと選び方

VIG vs VYM・HDV・SPYD|高配当ETFとどっちがいい?

比較まとめ|自分に合うETFを選ぶためのチェックポイント

VIGのデメリットと注意点|「おすすめしない」と言われる理由

デメリット1. 配当利回りの低さ|VYM等の高配当ETFのつもりで買うと失敗する

デメリット2. 株価下落リスク|セクターの偏りと市場環境に大きく影響される

デメリット3. 日本居住者なら為替・二重税金・遺産税も問題に

日本の投資家向けの実務:NISA・証券会社・買い方

新NISAでVIGをどう位置づけるか

SBI証券・楽天証券などでのVIGの買い方

VIGがおすすめな人・おすすめしない人の特徴

向いている人|長期で配当を育てたい・安定性を重視する

おすすめしない人|今すぐ高利回りが欲しい・短期リターン重視

VIGの基本概要|10年連続増配株へ投資する仕組みと特徴

VIGは、米国市場において「守り」と「成長」を兼ね備えた連続増配企業に厳選投資するETFです。ここではVIGの基本的な仕組み、連動する指数、そしてどのような投資家に向いているのか、その全体像を解説します。

VIGとは|バンガード・米国増配株式ETFの基本スペック

VIG(バンガード・米国増配株式ETF)は、世界最大級の資産運用会社バンガード社が運用するETFです。経費率は年0.05%と業界最安水準に抑えられており、長期保有に適した設計となっています。

最大の特徴は、連動指数である「S&P U.S. Dividend Growers Index」の採用条件にあります。この指数は、10年以上連続して配当を増やしている米国企業(REITを除く)のみを構成銘柄として採用しています。また、利回りが極端に高い銘柄(上位25%)をあえて除外することで、一時的な株価下落による「高利回り化」や減配リスクの高い銘柄を避ける設計になっています。

その結果、300銘柄超規模の財務健全性が高い優良企業へ、これ一本で幅広く分散投資することが可能です。

投資コンセプト|「増配」が示す企業の強さ

なぜ「現在の配当利回り」ではなく「増配実績」を重視するのでしょうか。それは、毎年配当を増やし続けるには、安定した収益基盤と強固な財務体質が不可欠だからです。

増配を継続できる企業は、不況下でも利益を出せるビジネスモデルを持っており、経営陣が将来の成長に自信を持っていることの裏付けでもあります。そのためVIGは、単にインカムゲイン(配当)を狙うだけでなく、企業の成長に伴うキャピタルゲイン(株価上昇)と、下落相場への耐性を同時に期待できる「攻守のバランスが良い」ETFと言えます。

どんな人におすすめ?長期保有に向く投資家像

VIGは、短期間で大きな利益を狙うギャンブル的な投資には向きません。一方で、以下のような考えを持つ投資家には有力な選択肢となります。

  • リスクを抑えたい人: 倒産リスクの低い優良企業で守りを固めたい。
  • 将来の配当を育てたい人: 今の利回りよりも、10年後、20年後の受取配当額を増やしたい。
  • 手間をかけたくない人: 企業の業績チェックや銘柄入れ替えをプロに任せ、ほったらかしで運用したい。

このように、VIGは時間を味方につけて、じっくりと資産と配当を育てていきたい層に最適な金融商品です。

VIGの構成銘柄とセクター比率|どんな企業に投資している?

VIGは「守りの銘柄」だけでなく、成長性の高いハイテク企業もバランスよく組み入れているのが特徴です。高配当ETFがエネルギーや公益事業に偏りやすいのに対し、VIGは情報技術や金融など幅広い業種に分散されています。ここでは具体的な上位銘柄やセクター比率を見ながら、そのポートフォリオの特性を解説します。

上位構成銘柄とセクター|IT・金融・ヘルスケアのバランス

VIGの選定基準は「10年以上連続で増配していること」です。そのため、成熟したオールドエコノミー企業だけでなく、株主還元に積極的な巨大テック企業も上位に名を連ねています。

代表的な上位銘柄(2024-2025年時点の傾向)には、Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Broadcom(ブロードコム)といったハイテク株に加え、JPモルガン・チェース(金融)、ユナイテッドヘルス(ヘルスケア)、VisaやMastercard、そしてP&G(生活必需品)などが含まれます。

これらは各業界を独占・寡占する優良企業ばかりです。現在の配当利回りは決して高くありませんが、事業成長に伴って毎年配当額を増やしており、将来的な受取配当の増加(増配)が期待できる点が最大の魅力です。

「増配ETF」の特徴|単なる高配当ETFや連続増配株との違い

VIGのセクター構成は、情報技術(約29%)、金融(約22%)、ヘルスケア(約15%)が上位を占めており、景気敏感株とディフェンシブ株のバランスが非常に良いのが特徴です。

ここで重要なのが、S&P500や他の高配当ETFとの違いです。

まず、S&P500上位の「マグニフィセント・セブン」のうち、無配当のAmazonやTesla、増配年数が足りないGoogle(Alphabet)やMetaなどはVIGに含まれません。その分、VIGはS&P500に比べてハイテク依存度が低く抑えられています。

一方で、VYMなどの「高配当ETF」と比較すると、VIGはAppleやMicrosoftを含んでいる点が大きな違いです。高配当ETFは利回りの低いテック株を除外する傾向にありますが、VIGは利回りが低くても「増配」していれば組み入れるため、テック株の成長力を取り込むことができます。

つまりVIGは、S&P500ほどハイテクに偏らず、かつ高配当ETFよりも成長株を含んでいるという、まさに両者の中間的な立ち位置で安定成長を目指すETFと言えます。

VIGの株価・配当・利回り・トータルリターンを他ETFと比較|VYM・SCHD・VOOとの違いと選び方

VIGの魅力は株価上昇だけではありません。真価は「配当の成長力」にあります。現在の利回りは低めですが、過去の増配実績やトータルリターンを見ると、長期保有における優位性が浮き彫りになります。

VIGはよく「高配当ETF」と比較されますが、その性質は大きく異なります。ここでは代表的な高配当ETFであるVYMやHDV、増配と利回りを両立するSCHD、そして市場平均であるVOOとVIGを比較します。それぞれの特徴を理解することで、自分の投資目的(現在の収入重視か、将来の資産拡大重視か)に合った最適なETFが見えてくるはずです。

VIG vs VYM・HDV・SPYD|高配当ETFとどっちがいい?

VIGとライバルとなる主要ETFのスペックを一覧表にまとめました。VIGは「配当利回り」では劣りますが、「増配率」において優位性があることがわかります。

ETF (名称)配当利回り (目安)5年増配率 (年率)経費率主な投資対象・特徴
VIG (米国増配株式)約1.7%+9.5%0.05%10年以上連続増配の米国株。将来の増配余地に注目。
VYM (米国高配当株式)約2.7%+5.6%0.06%平均以上の利回りを持つ大型株。高配当ETFの王道。
HDV (コア米国高配当)約3.6%+4~5%程度0.08%財務健全かつ高配当な銘柄。エネルギー等の比率高め。
SCHD (米国配当株式)約3.7%+10%前後0.06%利回りと増配率を両立した100銘柄。※
VOO (S&P500)約1.5%程度+5~7%程度0.03%米国市場全体。増配株・無配株含め広く分散。

注:数値は2024-2025年時点の目安です。

※:SCHDは日本の証券会社からはETF本体を直接購入できず、投資信託(楽天・SCHDなど)経由でのみ実質投資が可能

VIGと比較される高配当ETFの仕組みやメリット・デメリットは以下記事で詳しく解説しています。

比較まとめ|自分に合うETFを選ぶためのチェックポイント

各ETFの違いは、単なる利回りの差だけではありません。その裏側にある「どんな企業を選んでいるか」という採用基準の違いが、長期的なリターンやリスクの質に直結します。ここでは、利回り、成長性、セクター構成、コストという4つの視点から、VIG独自の立ち位置を深掘りします。

配当利回りの水準

VIGの利回りは1%台後半と、VYM(約2.7%)やHDV(約3.6%)に比べて控えめです。これは、VIGが今の現金収入よりも「企業の成長」を優先しているためです。VYMやHDVは、成長性は低いが配当をたくさん出す成熟企業(エネルギーや公益など)を多く含みます。対してVIGは、配当はまだ少なくても、利益を再投資して事業を拡大させている企業を選んでいます。

増配率(配当成長)の違い

VIGの真価は「増配率」にあります。過去5年の平均増配率は約9.5%と、VYMなどを大きく上回ります。これは、今の受取額は少なくても、将来的に受け取れる配当額が急ピッチで増えていくことを意味します。長期保有を前提とするなら、スタート時の利回りが低くても、この高い増配率によって、将来的な「元本に対する利回り(YOC)」は高配当ETFを逆転する可能性があります。

構成銘柄やセクターの違い

投資先の業種にも大きな違いがあります。VIGはAppleやMicrosoftなどを含む情報技術セクターの比率が約29%と高く、これが株価成長の原動力となっています。一方、高配当ETFはこれらの銘柄を(利回りが低いため)組み入れないか、比率が低くなる傾向があります。また、VIGは不動産(REIT)を含まないため、SPYDのように金利上昇の影響をダイレクトに受けるリスクが低いのも特徴です。

経費率と最終的な選び方

経費率はいずれも0.1%未満と非常に低コストであり、差は誤差の範囲です。そのため、選択基準は「投資の目的」に絞られます。

  • 現在のキャッシュフロー(お小遣い)が欲しい人:VYM、HDV
  • 将来の配当金を雪だるま式に増やしたい人:VIG、SCHD
  • 配当よりも市場全体の平均点を取りたい人:VOO

このように、自分のライフプランに合わせて使い分ける、あるいは組み合わせるのが賢い活用法です。

競合となるVYMの特徴については以下記事で詳しく解説しています。

VIGのデメリットと注意点|「おすすめしない」と言われる理由

どんなに優れたETFにも弱点や向き不向きがあります。VIGについて検索すると「おすすめしない」という意見が出てくることがありますが、これは主に「高配当を期待して買ったのに利回りが低い」といったミスマッチが原因です。ここでは、投資前に必ず知っておくべき3つのデメリットを解説します。

デメリット1. 配当利回りの低さ|VYM等の高配当ETFのつもりで買うと失敗する

VIGが「おすすめしない」と言われる最大の理由は、その配当利回りの低さにあります。

名前に「増配(Dividend)」と付いているため、多くの投資家は高い配当金を期待しがちです。しかし、VIGの配当利回りは1%台後半~2%弱程度で推移しており、S&P500(VOO)とそれほど変わりません。VYMやHDVといった高配当ETFが3~4%の利回りを出す中で、この数字は明らかに物足りなく映ります。

これは、VIGが「今の配当額」よりも「将来の成長」を優先して企業を選んでいるためです。「今すぐたくさんの配当金で生活費を賄いたい」「FIRE後の収入源にしたい」という人にとっては、VIGの利回りは期待外れとなり、目的と手段が一致しない典型的なケースとなります。

デメリット2. 株価下落リスク|セクターの偏りと市場環境に大きく影響される

2つ目の注意点は、あくまで「株式」である以上、暴落リスクからは逃れられない点です。

VIGは財務優良株が多いため、市場全体(S&P500)に比べれば下落耐性は高いとされています。しかし、あくまで株式ETFですので、リーマンショックやコロナショックのような大暴落時には、それなりに大きく株価は下がります。「連続増配株だから絶対に安全」というわけではありません。

また、セクター(業種)の偏りにも注意が必要です。VIGは情報技術や金融セクターの比率が高く、逆にエネルギーや公益事業、不動産(REIT)の比率は極めて低くなっています。そのため、例えば「原油高でエネルギー株だけが上がる相場」や「金利低下でREITが買われる相場」など、市場環境によっては他の高配当ETFや市場平均よりもパフォーマンスが劣る時期があることを覚悟しておく必要があります。

デメリット3. 日本居住者なら為替・二重税金・遺産税も問題に

3つ目は、日本の投資家特有の課題である「為替リスク」と「税金」です。

為替変動による資産価値のブレ

VIGは米ドル建ての資産です。そのため、円換算での資産価値は為替レートの影響をダイレクトに受けます。

例えば、VIGの株価が変わらなくても、1ドル150円から100円へと「円高」が進めば、日本円での資産価値は約3割も目減りしてしまいます。逆に「円安」になれば資産は増えますが、為替は常に変動するものです。「株価の変動」に加えて「為替の変動」という2つのリスクを負っている点は理解しておく必要があります。

NISAでも避けられない「米国課税」

新NISAなどを活用すれば、日本国内での税金(約20%)は非課税になります。しかし、米国側で引かれる「米国源泉徴収税(10%)」は免除されません。

  • 通常の課税口座: 米国税10% + 日本税20% = 約30%引かれる(※確定申告で外国税額控除を使えば一部取り戻せる)
  • NISA口座: 米国税10%のみ引かれる(※日本税は0%だが、外国税額控除は使えない)

つまり、NISAを使っても配当金の満額を受け取れるわけではなく、実質的に10%のコストが掛かり続けることになります。「NISAなら完全に非課税」と誤解していると、実際の入金額を見たときに「思ったより少ない」と感じる原因になります。

海外ETFで発生する二重課税問題の対応としての外国税額控除については以下記事で詳しく解説しています。

米国遺産税のリスク(富裕層向け)

最後に、レアケースですが知っておきたいのが米国の遺産税です。米国ETFを直接保有している状態で亡くなった場合、その保有額が6万ドル(約900万円前後)を超えていると、米国の遺産税の対象になる可能性があります。一般的なNISA運用の範囲では直ちに問題になることは少ないですが、数千万円単位で米国ETFを直接保有する場合は、専門家への相談や、国内投資信託(SBI・VIGなど)の利用を検討するのも一つのリスク回避策です。

日本の投資家向けの実務:NISA・証券会社・買い方

VIGに投資するには、米国市場に上場している「ETF(現物)」を直接買う方法と、日本円で買える「投資信託」を利用する方法の2種類があります。どちらも日本の主要ネット証券で取り扱っており、新NISA制度を活用することも可能です。ここでは、それぞれの特徴と具体的な買い方の手順を解説します。

新NISAでVIGをどう位置づけるか

2024年から始まった新NISA制度には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がありますが、VIGへの投資は基本的に「成長投資枠」を活用することになります。

  • 米国ETF(VIG): 成長投資枠で購入可能です。つみたて投資枠では購入できません。
  • 投資信託(SBI・VIG / 楽天・VIG): これらも基本的には成長投資枠の対象です。(※つみたて投資枠の対象ファンドに含まれるかは金融庁の基準や証券会社ごとの取り扱いによるため、購入前に各社のリストで確認が必要です)

新NISAでVIGを保有する最大のメリットは、日本国内での配当課税(約20%)と譲渡益課税(約20%)が非課税になることです。ただし、米国現地で引かれる10%の税金(外国税)はNISAでも免除されないため、配当金の受取額は「額面の90%」となる点は覚えておきましょう。

高配当ETFとNISAの相性については以下Q&Aで説明しています。

SBI証券・楽天証券などでのVIGの買い方

日本でVIGに投資する場合、主に以下の2つの商品が候補になります。自身のスタイルに合わせて選びましょう。

1. 米国ETF(VIG)を直接買う

本家本元のETFです。SBI証券や楽天証券などの外国株式口座で購入できます。

  • メリット: 経費率が年0.05%(2025年11月時点)と最安水準。配当金がドルで入金されるため、受け取ったドルを別の米国株投資に回せる。リアルタイムの株価で売買できる。
  • デメリット: 為替手数料がかかる。1株単位(約2万円~)での購入となるため、少額投資には向かない。配当再投資を自分で行う必要がある。

2. 投資信託(SBI・VIG / 楽天・VIG)を買う

近年は「SBI・V・米国増配株式(通称:SBI・VIG)」や「楽天・バンガード・米国増配株式(通称:楽天・VIG)」といった、VIGに連動する低コスト投資信託が登場しています。

  • メリット: 日本円で100円から購入可能。配当金がファンド内で自動再投資されるため、複利効果を得やすい。為替交換の手間がない。
  • デメリット: 本家VIGよりわずかに保有コスト(信託報酬等)が高くなる可能性があるが、それでも年0.1%前後程度と十分に低コスト。

SBIのVシリーズについては以下記事で詳しく解説しています。

VIGがおすすめな人・おすすめしない人の特徴

VIGは万能なETFではありません。投資目的や期間によって、最高のパートナーになることもあれば、期待外れに終わることもあります。ここでは、VIGの特性を最大限に活かせる「向いている人」と、ミスマッチになりやすい「向いていない人」の特徴を具体的に整理します。

向いている人|長期で配当を育てたい・安定性を重視する

VIGが真価を発揮するのは、時間を味方につけた「長期投資」の場面です。目先の現金収入よりも、企業の質と将来的な成長を重視するスタイルであれば、VIGは理想的な選択肢となります。具体的には、以下のような考えを持つ投資家に最適です。

特徴1. 長期志向:将来の配当金を大きく育てたい人

VIGは「今」の利回りではなく、「将来」の受取額を最大化したい人に最適です。現在の利回りは低くても、企業の増配によって10年、20年後の受取配当額(投資元本に対する利回り)は大きく成長します。「老後の年金代わりにしたい」「子供のために資産を残したい」といった、時間を味方にできる長期投資家にとっては非常に有力な選択肢です。

特徴2. 守りの運用:暴落時の安心感と安定性を求める人

企業の質(財務健全性)を重視する人にも向いています。VIGは連続増配できる優良企業ばかりで構成されているため、不況時の減配リスクや株価の下落幅が相対的に小さいのが特徴です。「S&P500一本だと暴落時が怖い」「株価の乱高下に一喜一憂したくない」という人にとって、インカムとキャピタルのバランスが取れたVIGは精神的な安定剤となります。

おすすめしない人|今すぐ高利回りが欲しい・短期リターン重視

一方で、投資目的によってはVIGの「低利回り」「安定志向」という特性がデメリットになる場合もあります。特に即効性や短期的な成果を求める場合、期待通りの結果は得られにくいでしょう。具体的には、以下のようなニーズを持つ人にはおすすめできません。

特徴1. 即効性重視:今すぐ高い配当収入が欲しい人

「来月の生活費の足しにしたい」「FIREして配当金だけで暮らしたい」という人には、VIGは不向きです。利回りが1%台後半では、まとまったキャッシュフローを得るのに巨額の元本が必要になります。直近のインカム収入を最優先する場合は、利回りが3%を超えるVYMやHDVといった高配当ETFを選ぶべきです。

特徴2. ハイテク偏重:市場平均を上回る急成長を狙う人

短期間で資産を爆発的に増やしたい人にも向きません。VIGはGoogle、Amazon、Teslaといった「無配の成長株」を含まないため、ハイテク株が主導する強気相場では、市場平均(S&P500)のリターンに見劣りすることがあります。あくまで安定成長を目指すETFであるため、リスクをとって市場平均以上のパフォーマンス(アルファ)を追求するアクティブ志向の方には物足りないでしょう。

この記事のまとめ

この記事では、VIGの採用基準や配当・増配の特徴、高配当ETFやVOOとの違い、日本人投資家が意識すべき為替・税制リスクを整理して理解しました。そのうえで、「今の配当」と「将来の成長」のどちらを優先するかを明確にし、NISA枠や他ETFとの組み合わせを検討することが次の一歩です。不安や迷いが残る場合は、投資のコンシェルジュの解説や相談も活用しながら、自分のライフプランに合った長期運用方針を整えていきましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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インデックス

インデックス(Index)は、市場の動きを把握するための重要な指標です。複数の銘柄を一定の基準で組み合わせることで、市場全体や特定分野の値動きを分かりやすく数値化しています。 代表的なものには、日本の株式市場を代表する日経平均株価やTOPIX、米国市場の代表格であるS&P500などがあります。これらのインデックスは、投資信託などの運用成果を評価する際の基準として広く活用されており、特にパッシブ運用(インデックス運用)では、この指標と同じような値動きを実現することを目標としています。

経費率

経費率(Expense Ratio)は、投資信託やETF(上場投資信託)などの運用にかかる年間コストを、運用資産総額に対する割合で示した指標です。投資家はこの経費率を負担するため、経費率が低いほど投資のコストが抑えられ、リターンが高まりやすくなります。 例えば、あるETFの経費率が0.2%の場合、年間で運用資産の0.2%が管理費用などに充てられます。経費率には、ファンドの管理費用、売買手数料、監査費用などが含まれます。 一般的に、インデックス型ETFは経費率が低く(0.1%~0.5%程度)、アクティブ運用のファンドは高くなる(1%~2%程度)傾向があります。経費率が高すぎると、長期的に資産が目減りする可能性があるため、投資先を選ぶ際は経費率の低い商品を選ぶことが重要です。

配当(配当金)

配当とは、会社が得た利益の一部を株主に分配するお金のことをいいます。企業は利益を出したあと、その一部を将来の投資に使い、残った分を株主に還元することがあります。このときに支払われるお金が配当金です。株を持っていると、持ち株数に応じて定期的に配当金を受け取ることができます。多くの場合、年に1回または2回支払われ、企業によって金額や支払い時期は異なります。配当は企業からの「お礼」のようなもので、株を長く持ち続ける理由の一つになることがあります。

配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

増配

増配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を増額することであり、利益成長や手元資金の潤沢さを背景に株主還元を強化する意思表示として行われます。配当金が増えると、株価が一定でも年間配当金を株価で割った配当利回りが上昇するため、インカムゲインを重視する投資家にとっては大きな魅力となります。特に連続増配年数が長い企業は、景気変動下でも安定したキャッシュフローを維持できる経営体質だと評価されやすく、株式の長期保有を促す材料にもなります。 もっとも、増配は企業の資本政策の一手段であり、好業績時でも将来の成長投資を優先する局面では実施されない場合があります。反対に、業績悪化が続けば配当を前年と同額に据え置く、あるいは前期より減額する減配に転じるリスクもあります。投資家は配当の持続可能性を測る指標として、配当総額を当期純利益で割った配当性向や、営業キャッシュフローとのバランスを確認し、企業に増配余力があるかどうかを見極めます。 このように増配は、企業の収益力と株主還元姿勢を映し出すシグナルであり、配当利回りや配当性向、減配・据え置きの動向と合わせて分析することで、株式投資の判断材料として活用できます。

増配率

増配率とは、企業が株主に支払う配当金をどのくらいの割合で増やしているかを示す指標で、前年と比較して配当金がどれだけ増えたかをパーセンテージで表します。 たとえば、昨年の配当が1株あたり100円で、今年が120円なら、増配率は20%になります。安定して高い増配率を維持している企業は、収益力が高く、株主還元に積極的であると評価されることが多く、投資家にとっては長期的な資産形成における安心材料になります。 将来の配当収入の成長を期待する場合、増配率の推移は重要な判断材料の一つです。

連続増配

連続増配とは、企業が毎年継続して配当金の額を増やし続けている状態のことを指します。たとえば、ある企業が5年連続で前年よりも配当金を増やしている場合、その企業は「連続増配企業」と呼ばれます。 この実績は、企業の収益基盤が安定しており、株主還元に積極的である証とされ、多くの長期投資家に支持されています。特に米国では、10年以上連続増配している企業を「配当貴族」、25年以上の企業を「配当王」と呼び、信頼性の高い投資先と見なされることもあります。連続増配は将来的な配当収入の成長を期待するうえで、大きな判断材料のひとつです。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)

キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。

S&P500指数

S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

成長投資枠

新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。

米国源泉税

米国源泉税とは、米国株式や米国籍の投資信託から受け取る配当金・利息などに対して、支払時点で米国があらかじめ差し引く税金のことです。日本の個人投資家が米国株の配当を受け取る場合、通常は日米租税条約に基づき10%が自動的に源泉徴収されます(条約がなければ30%)。 この源泉税は日本で確定申告を行う際に「外国税額控除」を利用すれば、一定上限まで日本の所得税から差し引くことができ、二重課税を調整できます。なお、税率軽減を受けるには証券会社を通じて「W-8BEN」という書類を提出し、受取人が日本の居住者であることを米国側に登録しておく必要があります。

二重課税

二重課税とは、同じ所得や資産に対して、二つ以上の国や課税主体から重ねて税金が課されることを指します。たとえば、外国の株式や債券に投資して得た利息や配当金に対して、まず現地の国で源泉徴収され、その後に日本でも課税されるというケースがあります。このような状況では、同じ収益に対して二重に税金がかかってしまい、実質的な手取りが減ることになります。ただし、日本では外国で課税された分を日本の税額から差し引く「外国税額控除」という制度があり、一定の条件を満たせば二重課税の負担を軽減することができます。海外投資を行う際は、このような税制のしくみにも目を向けることが重要です。

外国税額控除

外国税額控除とは、日本に住んでいる個人や法人が、海外で所得を得てその国で税金を支払った場合に、同じ所得に対して日本でも課税される「二重課税」を避けるために、日本で支払う税金からその分を差し引くことができる制度のことをいいます。たとえば、外国株式の配当金を受け取った際に、外国で源泉徴収された税金がある場合、その金額を一定の計算に基づいて日本の所得税や法人税から控除することができます。この制度を利用することで、国際的な投資やビジネスを行う際の税負担を適正に調整できるようになります。ただし、控除できる金額には上限があり、正確な申告と証明書類の提出が必要です。資産運用や海外取引を行ううえで、知っておきたい重要な税務上の仕組みです。

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