働きながら、特別支給の老齢厚生年金の受給はできますか?
働きながら、特別支給の老齢厚生年金の受給はできますか?
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2025/12/12 10:22
男性
60代
60歳以降も、定年後再雇用で会社で働く予定です。60歳以降に受け取れる特別支給の老齢厚生年金を同時に受給できるのか知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
60歳以降に再雇用で働く場合でも、一定の条件を満たせば特別支給の老齢厚生年金は受給できます。ただし、厚生年金に加入したまま働くと「在職老齢年金」の仕組みが適用され、給与との合計額によっては年金が減額される点に注意が必要です。
在職老齢年金では、給与(総報酬月額相当額)+特別支給の老齢厚生年金の月額が、支給停止基準額(現在51万円)を超えると、超えた分の1/2が年金からカットされます。再雇用フルタイムで収入が多い場合は、年金が一部または全額停止されることもあります。一方で、パート勤務や短時間勤務などで収入が抑えられていれば、減額されずに満額受け取れるケースもあります。
働き方によって受け取れる金額は大きく変わります。厚生年金に加入しない働き方(週20時間未満など)にすると調整を受けないため、年金をそのまま受け取れます。また、厚生年金に加入し続ける場合でも、給与と年金を合わせた手取りでどちらが有利かを比較することが重要です。
手続きは、60歳前後に日本年金機構から届く「年金請求書」を提出するだけで開始できます。勤務状況や給与が変わった際は、支給調整に影響が出るため、年金事務所で確認すると安心です。
自分の給与水準だと年金はいくら残るのか、働き方を変えたほうが得かなど、個別の試算が必要な場合は、投資のコンシェルジュの無料相談をご利用いただければ最適な受給戦略を具体的にご提案します。
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特別支給の老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金とは、一定の年齢以上で厚生年金に長く加入していた人が、65歳になる前から受け取ることができる特別な年金制度です。現在の年金制度では、原則として老齢厚生年金の支給開始は65歳からとなっていますが、昭和36年4月1日以前に生まれた方については、60歳から65歳までの間に特別に年金を受け取れる仕組みが設けられています。 これは制度変更の経過措置として設けられたもので、年金制度が65歳支給開始に移行する過程で、不公平が生じないようにするための配慮です。受け取れる金額は、加入期間や報酬額などによって決まり、加給年金や特別加算がつく場合もあります。現在は新たにこの制度の対象になる人はいませんが、過去に対象となった方にとっては大切な収入源となっています。
在職老齢年金
在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)とは、年金を受け取りながら働く人の年金額を、賃金とのバランスをとるために一時的に減額または支給停止する制度です。高齢期の就労を促進しつつ、年金財政の公平性を保つことを目的としています。 対象となるのは、老齢厚生年金の受給権があり、厚生年金保険の適用事業所で報酬を受け取っている人です。具体的には、60歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が勤務を続けている場合に適用されます。70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなりますが、報酬を得ている限り、この在職老齢年金の支給停止の仕組みは引き続き適用されます。 支給停止の判定は、年金(月額)と給与・賞与の合計額が一定の基準を超えるかどうかで行われます。年金の支給額を算定する際に用いられる「基本月額」と、給与や賞与から算出される「総報酬月額相当額」を合計し、基準額(支給停止調整開始額)を上回る場合、超過分の2分の1が年金から差し引かれます。たとえば、年金10万円、給与50万円で合計60万円の場合、基準額51万円を9万円超えるため、その半分の4.5万円が支給停止となり、受け取れる年金は5.5万円になります。 基準額は制度改正により段階的に引き上げられています。2024年度までは47万円でしたが、2025年度(令和7年度)からは51万円に引き上げられました。さらに、2026年4月(令和8年4月)からは62万円に引き上げられる予定です。これにより、高齢になっても働き続ける人がより多くの年金を受け取れるようになります。 在職老齢年金には、60〜64歳を対象とする「低在老」と、65歳以上を対象とする「高在老」があります。60〜64歳の場合の基準額は28万円と低く設定されていますが、65歳以上は51万円(現行)と緩やかです。なお、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている場合などは、年金額が追加で調整されることもあります。 在職老齢年金は「働く高齢者の所得と年金の調整」という考え方に基づく仕組みであり、年金制度の公平性と持続可能性を保ちながら、就労意欲を支える制度として位置づけられています。今後も高齢者の就労促進と制度の簡素化を目的とした見直しが進む見通しです。
総報酬月額相当額
総報酬月額相当額とは、在職老齢年金において年金支給額を調整する際に使われる、働いて得ている収入を月額換算した金額のことです。この金額には、基本給だけでなく、残業代や通勤手当、各種手当なども含まれます。 具体的には、厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額から計算され、年金の支給停止の基準となる「基本月額」と合算して判断材料とされます。この合計が一定の金額(例えば月47万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。 したがって、働きながら年金を受け取る人にとっては、収入の多寡が年金に直接影響するため、この金額がどのように決まるかを理解しておくことが重要です。
支給停止基準額
支給停止基準額とは、年金を受け取りながら働いて収入を得ている人の給与などが一定額を超えた場合に、公的年金の一部または全部の支給が停止される基準となる金額のことを指します。これは「在職老齢年金」という仕組みの中で定められており、高齢者が年金と給与を同時に受け取るときに調整が行われるものです。基準額を超える収入がある場合、年金の支給額が減額または停止されますが、収入が減れば再び受け取れるようになります。 制度の目的は、高齢者の就労意欲を尊重しつつ、公平に年金財政を維持することにあります。投資初心者にとっては、「働きながら年金をもらうとき、収入が多すぎると年金が一時的に減らされる仕組み」と理解するとわかりやすいでしょう。
厚生年金
厚生年金とは、会社員や公務員などの給与所得者が加入する公的年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階建て構造」の年金制度の一部です。厚生年金に加入している人は、基礎年金に加えて、収入に応じた保険料を支払い、将来はその分に応じた年金額を受け取ることができます。 保険料は労使折半で、勤務先と本人がそれぞれ負担します。原則として70歳未満の従業員が対象で、加入・脱退や保険料の納付、記録管理は日本年金機構が行っています。老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金なども含む包括的な保障があり、給与収入がある人にとっては、生活保障の中心となる制度です。
年金請求書
年金請求書とは、年金を受け取る権利がある人が、公的年金を実際に受け取るために提出する書類のことです。 日本では、老齢年金や遺族年金、障害年金などの受給を開始する際に、この請求書を年金事務所に提出する必要があります。年齢や加入期間、受給条件を満たしていても、この請求書を提出しない限り年金の受け取りは始まりません。 手続きには本人確認書類や口座情報なども必要で、正確な記入と準備が重要です。投資初心者の方にも、年金は老後資金の柱の一つとなるため、この請求手続きについて理解しておくことは大切です。




