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年金には支給停止調整額があると聞きました。減額される条件や理由と解除要件を教えて下さい。

年金には支給停止調整額があると聞きました。減額される条件や理由と解除要件を教えて下さい。

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2025/10/07 09:09


男性

60代

question

年金には「支給停止調整額」があると聞きました。どの年金が対象で、どのような条件で減額や停止されるのか、具体的な基準や計算方法を教えてください


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

支給停止調整額とは「在職老齢年金」に関係する基準で、老齢厚生年金と働いて得る賃金や賞与の合計が一定額を超えたときに、超えた分の半分が年金から減らされる仕組みです。2025年度の基準は51万円です。

対象になるのは、60歳以上で老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いている人です。老齢基礎年金はこの仕組みでは減額されず、満額支給されます。計算は「(基本月額+総報酬月額相当額−51万円)×1/2」で行われ、老齢厚生年金の中で調整されます。

収入に含まれるのは会社からの給与やボーナス、役員報酬などで、厚生年金の標準報酬として扱われる金額です。一方で、自営業の収入など厚生年金に関係のないものは含まれません。例えば基本月額12万円、総報酬月額相当額50万円の場合、合計が62万円となり、基準を11万円超えるのでその半分の5.5万円が年金から差し引かれます。

加給年金は、老齢厚生年金が一部でも支給されていれば満額支給されますが、老齢厚生年金が全額止まると一緒に止まります。経過的加算については減額されません。

減額が解除されたり軽くなったりするのは三つの場合です。退職して厚生年金に加入しなくなったとき、賃金や賞与が下がって合計が基準以下になったとき、そして毎年度見直される基準額が上がったときです。2026年4月からは基準額が62万円に引き上げられる予定です。

注意が必要なのは、ボーナスは年額を12で割って毎月の計算に入るため、ボーナス月以外でも合計額が増えて支給停止の原因になることです。役員報酬の変更のタイミングでも標準報酬が動き、減額額が変わります。また、基準は毎年見直されるため、必ず最新の情報を確認しておくことが大切です。

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支給停止調整額

支給停止調整額とは、年金を受け取りながら働いて収入を得ている人に対して、一定の基準を超える収入があると年金の一部または全部が支給停止(減額)される際の“基準となる金額”を指します。在職老齢年金の制度では、厚生年金を受給している60歳以上の人が給与や賞与を得ながら働く場合、老齢厚生年金と仕事からの報酬を合算した額がこの支給停止調整額を超えると、超えた分の一部を年金から差し引く調整が行われます。つまり、この調整額までは働いて得た収入と年金を合わせても年金が減らない許容量のようなものです。

在職老齢年金

在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)とは、年金を受け取りながら働く人の年金額を、賃金とのバランスをとるために一時的に減額または支給停止する制度です。高齢期の就労を促進しつつ、年金財政の公平性を保つことを目的としています。 対象となるのは、老齢厚生年金の受給権があり、厚生年金保険の適用事業所で報酬を受け取っている人です。具体的には、60歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が勤務を続けている場合に適用されます。70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなりますが、報酬を得ている限り、この在職老齢年金の支給停止の仕組みは引き続き適用されます。 支給停止の判定は、年金(月額)と給与・賞与の合計額が一定の基準を超えるかどうかで行われます。年金の支給額を算定する際に用いられる「基本月額」と、給与や賞与から算出される「総報酬月額相当額」を合計し、基準額(支給停止調整開始額)を上回る場合、超過分の2分の1が年金から差し引かれます。たとえば、年金10万円、給与50万円で合計60万円の場合、基準額51万円を9万円超えるため、その半分の4.5万円が支給停止となり、受け取れる年金は5.5万円になります。 基準額は制度改正により段階的に引き上げられています。2024年度までは47万円でしたが、2025年度(令和7年度)からは51万円に引き上げられました。さらに、2026年4月(令和8年4月)からは62万円に引き上げられる予定です。これにより、高齢になっても働き続ける人がより多くの年金を受け取れるようになります。 在職老齢年金には、60〜64歳を対象とする「低在老」と、65歳以上を対象とする「高在老」があります。60〜64歳の場合の基準額は28万円と低く設定されていますが、65歳以上は51万円(現行)と緩やかです。なお、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている場合などは、年金額が追加で調整されることもあります。 在職老齢年金は「働く高齢者の所得と年金の調整」という考え方に基づく仕組みであり、年金制度の公平性と持続可能性を保ちながら、就労意欲を支える制度として位置づけられています。今後も高齢者の就労促進と制度の簡素化を目的とした見直しが進む見通しです。

老齢厚生年金

老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。

老齢基礎年金

老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。

総報酬月額相当額

総報酬月額相当額とは、在職老齢年金において年金支給額を調整する際に使われる、働いて得ている収入を月額換算した金額のことです。この金額には、基本給だけでなく、残業代や通勤手当、各種手当なども含まれます。 具体的には、厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額から計算され、年金の支給停止の基準となる「基本月額」と合算して判断材料とされます。この合計が一定の金額(例えば月47万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。 したがって、働きながら年金を受け取る人にとっては、収入の多寡が年金に直接影響するため、この金額がどのように決まるかを理解しておくことが重要です。

加給年金

加給年金とは、厚生年金に加入していた人が老齢厚生年金を受け取る際に、一定の条件を満たしていれば上乗せして支給される年金のことです。主に、年金を受け取る人に扶養している配偶者や子どもがいる場合に支給されます。この制度は、家族の生活を支えることを目的としており、会社員などが退職後に受け取る厚生年金にプラスされるかたちで支給されます。 ただし、配偶者や子どもが一定の年齢や収入要件を超えていると対象外になることがあります。つまり、定年後の生活を家族と一緒に支えていく仕組みの一つといえます。

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