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家族信託で相続税や贈与税を節税する方法はありますか?

家族信託で相続税や贈与税を節税する方法はありますか?

回答受付中

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2024/11/18 20:12


男性

60代

question

高齢の父がいくつか収益不動産を保有しているため、相続対策を検討しています。<br>特に、相続を円滑にしつつ、相続税の節税対策をしたいと考えています。<br>不動産の相続を円滑にする方法に家族信託があると思います。うちは家族信託を使うのに良さそうなケースなので使用を検討しているのですが、家族信託で節税を行う方法はどのようなものがありますか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

家族信託には、信託財産を委託者(お父様)の資産として扱うという原則があるため、そのままでは相続税や贈与税を直接的に減らす効果はありません。相続発生時には不動産が相続財産として評価され、原則どおり課税されます。ただし、信託の「設計次第」で評価額の引下げや納税負担の平準化といった間接的な節税につなげられるケースがあります。

具体的には、収益不動産の受益権を〈収益受益権〉(家賃などの利益を受け取る権利)と〈元本受益権〉(不動産そのものの権利)に分け、元本受益権だけを次世代へ計画的に生前贈与する方法が代表例です。贈与時の時価で評価が固定されるうえ、暦年贈与の非課税枠や相続時精算課税を組み合わせれば、将来の相続財産を圧縮できる可能性があります。いっぽう収益受益権は委託者が保有し続ければ生活資金を確保でき、贈与税の課税対象も抑えられます。

あわせて、信託契約に基づく信託報酬や不動産管理費を信託財産から支払えば、その分だけ課税対象となる純資産が減少します。さらに、受託者が修繕・運用を計画的に行うことで資産価値を維持しながら、将来の納税資金や分割対策を同時に進められる点もメリットです。

もっとも、これらはあくまで副次的な効果であり、家族信託の主目的は「資産管理の継続性」と「遺産分割の円滑化」です。節税だけを狙った無理な設計は、過度な贈与税負担や課税上の否認リスクを招きかねません。ご家族の年齢構成、保有資産、贈与歴、生活費の見通しなどによって最適解は大きく異なりますので、税理士・弁護士・司法書士など複数の専門家と連携し、シミュレーションを重ねながら慎重にスキームを構築してください。

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家族信託

家族信託とは、ご自身の財産を信頼できる家族に託し、その管理や運用を契約で定めた目的に沿って行ってもらう仕組みです。委託者さまは公正証書で信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。これにより、たとえ将来認知症を発症されても資産が凍結されず、受益者さまへ生活費や医療費を継続して届けられる点が大きなメリットです。相続発生後は受益権そのものが相続対象となるため、遺産分割協議を簡素化できる効果も期待できます。 もっとも、家族信託には手続きと費用が伴います。不動産を組み入れる場合は信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料が発生いたします。また、受託者さまは信託口座の開設、収支報告書の作成、信託財産とご自身の財産の分別管理など、煩雑な事務を担う義務があります。税務面では契約締結時に贈与税が課税されることは原則ございませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や信託終了時の相続税は避けられません。そのため、成年後見制度や遺言信託と比較しながら、費用対効果や家族の負担を総合的に検討することが大切です。

信託財産

信託財産とは、信託契約にもとづき委託者が受託者(信託会社や信託銀行など)に預けた現金・株式・不動産といった資産のことです。受託者はこれらの資産を信託目的に沿って管理・運用しますが、信託財産は受託者自身の資産とは厳格に分別管理され、法律上も独立した財産とみなされます。 たとえば投資信託では、投資家から集めた資金が信託財産となり、株式や債券への投資に充てられます。万が一、受託者や販売会社が経営破綻しても、信託財産は分別管理されているため原則として投資家の資産は保護されます。 このように信託財産は、資産を安全に預けて運用を委ねる仕組みの要となる存在であり、信託商品を選択する際には分別管理の仕組みや信託目的を理解しておくことが大切です。

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

贈与税

贈与税とは、個人が他の個人から金銭・不動産・株式などの財産を無償で受け取った際に、その受け取った側(受贈者)に課される税金です。通常、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税され、超過分に応じた累進税率が適用されます。 この制度は、資産の無税移転を防ぎ、相続税との整合性を保つことを目的として設けられています。特に、親から子へ計画的に資産を移転する際には活用されることが多く、教育資金や住宅取得資金などに関しては、一定の条件を満たすことで非課税となる特例もあります。 なお、現在は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2制度が併存していますが、政府は近年、相続税と贈与税の一体化を含めた制度改正を検討しており、将来的に制度の選択肢や非課税枠、課税タイミングが見直される可能性があります。 こうした背景からも、贈与税は単なる一時的な贈与の問題にとどまらず、長期的な資産承継や相続対策の設計に深く関わる重要な制度です。税制の動向を踏まえた上で、専門家と連携しながら最適な活用方法を検討することが求められます。

生前贈与

生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。

受益権

受益権とは、信託や投資信託などの仕組みにおいて、その運用から得られる利益を受け取る権利のことを指します。たとえば、投資信託にお金を出した人は「受益者」となり、その資産運用の成果として分配金や売却益を受け取ることができます。 この「利益を受け取る立場」にあることが、受益権を持っているという意味です。受益権は、所有している資産そのものではなく、その資産から生まれる経済的な利益に対する権利であり、株式のように売買することも可能な場合があります。 投資においては、資産の運用や管理を他者に任せつつ、自分はその成果だけを受け取るという形を取ることができるため、専門知識がなくても資産形成に参加できる手段のひとつとなります。特に投資信託や信託商品を利用する際には、受益権の仕組みを理解しておくことが大切です。

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