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代襲相続とは? 発生条件や必要な手続き、相続税の影響などをわかりやすく解説

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Inheritance by substitution (2)

代襲相続とは? 発生条件や必要な手続き、相続税の影響などをわかりやすく解説

難易度:

執筆者:

公開:

2026.05.29

更新:

2026.05.29

相続

親族の相続で「本来の相続人がすでに亡くなっている」というケースでは、自分が相続人になるのか判断に迷う場面が少なくありません。代襲相続の理解が曖昧なまま進めると、相続人の確定ミスや相続分の誤認により、手続きのやり直しやトラブルにつながる可能性があります。この記事では、代襲相続の基本から発生原因・対象範囲・相続分の計算・税務・手続きまでを体系的に整理し、自身のケースに当てはめて判断できるよう具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

代襲相続の仕組みや発生条件、再代襲の範囲、相続分の計算方法、税務上の扱いを一通り理解できるようになります。また、自分が代襲相続人に該当するかを判断でき、いくら相続できるのかの目安や必要な手続き・書類を具体的に把握できます。結果として、相続人の確定や遺産分割協議を適切に進められるようになり、手続きミスや不要なトラブルを回避できる状態を目指せます。

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目次

代襲相続とは何か

代襲相続の定義

被代襲者・代襲相続人の違い

数次相続との違い

代襲相続の発生原因

①相続人の死亡

②相続欠格

③相続廃除

相続放棄では代襲相続は発生しない

代襲相続人の範囲

子の代襲は孫・ひ孫へと無制限に続く

兄弟姉妹の代襲は甥姪の一代限り

胎児も代襲相続が可能

配偶者や親は対象外

代襲相続できない人

相続放棄した人の子

養子縁組前の連れ子

代襲相続人の相続分

計算の基本ルール

孫が代襲する場合の例

甥・姪が代襲する場合の例

遺留分の取り扱い

孫が代襲する場合:遺留分あり

甥・姪が代襲する場合:遺留分なし

代襲相続と相続税の関係

基礎控除額への影響

生命保険金の非課税枠も人数分適用される

代襲相続による孫は2割加算の対象外

未成年者控除の活用

代襲相続の手続き

必要な戸籍謄本

遺産分割協議の進め方

相続税の申告期限

代襲相続をめぐるよくあるトラブル事例

疎遠な親族との協議が難航しやすい

未成年の代襲相続人には代理人が必要になる

借金を相続するリスクがある

情報開示の非対称性がある

生前にできる財産対策

遺言書による財産分与の指定

生命保険の非課税枠の活用

家族信託の検討

生前贈与による資産移転

専門家へ相談するべきケース

弁護士に相談すべきケース

税理士に相談すべきケース

司法書士に相談すべきケース

代襲相続に関する留意点

相続放棄では代襲相続は発生しない

養子の子の代襲は縁組時期で変わる

非嫡出子も代襲相続人になる

代襲相続で法定相続人数が増えることがある

代襲相続とは何か

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、本来相続人になるはずだった人が先に亡くなっていた場合などに、その子が代わりに相続する制度です。

代襲相続の定義

本来相続する予定だった人が被相続人より先に亡くなったとき、その子が代わりに相続人の地位を引き継ぎます。これが代襲相続の基本的な仕組みです。

民法887条2項では、被相続人(亡くなった方)の子が、相続開始以前に死亡・相続欠格・相続廃除のいずれかで相続権を失った場合、その者の子(孫)が代わりに相続人になると定めています。

ここで重要なのは「相続開始以前」という要件です。被相続人が亡くなる前に本来の相続人が死亡していた場合にのみ、代襲相続が発生します。

被代襲者・代襲相続人の違い

代襲相続では2つの専門用語を正確に押さえておく必要があります。

用語読み方意味
被代襲者ひだいしゅうしゃ本来は相続人になるはずだったが、死亡などにより相続権を失った人
代襲相続人だいしゅうそうぞくにん被代襲者に代わって相続する人

具体例で整理します。祖父が亡くなった際、本来相続人になるはずだった長男がすでに亡くなっていた場合、長男が「被代襲者」、長男の子(祖父の孫)が「代襲相続人」となります。

人物立場状況役割
祖父被相続人亡くなった遺産を残す人
長男本来の相続人祖父より先に死亡被代襲者(相続権を失った人)
孫(長男の子)代わりに相続相続開始時に存命代襲相続人(代わりに相続する人)

孫は祖父から直接遺産を相続しますが、その取り分は長男が本来受け取るはずだった相続分の枠内に限られます。孫が複数いる場合は、その枠を均等に分け合います。

数次相続との違い

代襲相続と混同されやすいのが「数次相続(すうじそうぞく)」です。両者の違いは、本来の相続人が亡くなったタイミングにあります。

比較項目代襲相続数次相続
相続人が亡くなる時期被相続人より被相続人より
相続の構造孫などが直接相続人となる相続権を一度取得後に次の相続が発生
必要な相続手続き基本的に1回複数回の手続きが発生
必要な戸籍書類被代襲者の死亡を証明する戸籍各相続の戸籍が別途必要

数次相続では相続人が一度遺産を受け取る権利を取得したうえで亡くなるため、必要書類や遺産分割協議の進め方が大きく異なります。

代襲相続の発生原因

代襲相続が発生するのは「死亡」「相続欠格」「相続廃除」の3つに限られます。

①相続人の死亡

主な発生原因は相続人の死亡です。被相続人より先に相続人が亡くなっていた場合、その子が代わりに相続人となります。

死亡原因は問いません。病気・事故・老衰のいずれでも代襲相続が発生します。被相続人と同じ事故で同時に死亡した場合も「相続の開始以前に死亡したとき」に該当し、代襲相続が発生します(民法32条の2・同時死亡の推定)。

②相続欠格

相続欠格(民法891条)とは、相続人が一定の重大な非行をおこなった場合に、手続きなしで自動的に相続権を失う制度です。欠格事由に該当した時点で、裁判所の判断を待たずただちに効力が生じます。

民法891条に定める欠格事由は次の5つです。

欠格事由の概要
1号故意に被相続人等を死亡させ、刑に処せられた
2号被相続人が殺害されたことを知り、告発・告訴しなかった
3号詐欺・強迫で遺言の作成・変更等を妨害した
4号詐欺・強迫で遺言をさせた・変更させた
5号遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した

欠格の効果は当該相続人本人に限られます。欠格者の子には影響しないため、代襲相続が認められます。

③相続廃除

相続廃除(民法892条)とは、被相続人が家庭裁判所に申し立て、特定の相続人から相続権を奪う制度です。相続欠格と異なり、被相続人自身のアクションが必要な点が特徴です。

廃除が認められるのは、被相続人への虐待・重大な侮辱・著しい非行がある場合に限られます。なお、廃除には2種類あります。

  • 生前廃除:被相続人が生前に家庭裁判所へ直接申し立てる
  • 遺言廃除:遺言書で指定し、死後に遺言執行者が申し立てる(民法893条)

廃除された相続人の子には代襲相続が認められます。ただし、廃除の対象は「遺留分(最低限保障される相続分)を持つ推定相続人」に限られるため、兄弟姉妹は廃除の申し立てをおこなえません。

相続放棄では代襲相続は発生しない

相続放棄をしても、その子への代襲相続は発生しません。

民法939条では、相続放棄した人は「最初から相続人ではなかった」とみなすと定めています。相続権を「失った」のではなく「最初から存在しなかった」扱いとなるため、代襲相続の発生原因には該当しません。

  1. 負債を家族全体で回避したい場合は、全員が順番に相続放棄する戦略が必要です。放棄の順番や期限(原則として相続を知った日から3ヶ月以内)を事前に確認しておきましょう。

代襲相続人の範囲

代襲相続が適用されるのは第1順位(子)と第3順位(兄弟姉妹)のみです。第2順位の直系尊属には発生せず、子系列と兄弟姉妹系列では再代襲の可否が大きく異なります。

子の代襲は孫・ひ孫へと無制限に続く

被相続人の子が先に亡くなっている場合、その子(孫)が代襲相続人となります。さらに孫も先に亡くなっていれば、ひ孫が相続人になる「再代襲」へと続きます。

子系列の代襲は、直系卑属(自分より後の世代の直通する血族)であれば、世代を超えて無制限に認められます(民法887条3項)。

世代代襲・再代襲
子が死亡 → 孫が代襲
孫も死亡 → ひ孫が再代襲
ひ孫も死亡 → 曾孫(やしゃご)が再代襲
以降 → 玄孫(くろひこ)…○(無制限)

超高齢化社会では、3〜4世代にわたる代襲相続が現実に発生するケースも増えています。戸籍収集の際は被相続人の出生まで遡ったうえで、代襲相続人の存在を漏れなく確認する必要があります。

兄弟姉妹の代襲は甥姪の一代限り

被相続人に子も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。その兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、甥姪が代襲相続人となります(民法889条2項)。

ただし、兄弟姉妹系列の代襲は甥姪の一代限りです。甥姪もすでに亡くなっていても、その子(姪孫)への再代襲は認められません。

子のいない夫婦の相続でよく発生するパターンであり、甥姪全員が先に亡くなっている場合は相続人不存在となり、遺産が国庫に帰属する可能性があります。

子系列(孫など)兄弟姉妹系列(甥姪)
代襲相続
再代襲○(無制限)✕(一代限り)
遺留分

胎児も代襲相続が可能

相続開始時点で胎児であっても、原則として「すでに生まれたもの」とみなして代襲相続が認められます(民法886条1項)。ただし死産の場合は、この適用が遡って取り消されます。

胎児が相続人に含まれる場合、出産を待って遺産分割協議を進める必要がある点に注意しましょう。出生前に協議を完了させると、後から協議のやり直しが必要になる可能性があります。

配偶者や親は対象外

配偶者は「代襲」の概念が適用されない、独立した相続人です。配偶者が先に亡くなっていた場合、その子が代わりに相続するのは代襲相続ではなく、子が第1順位の相続人として直接相続します。

第2順位の直系尊属(親・祖父母)が相続権を持つケースも、代襲相続には当たりません。父母が亡くなっていれば祖父母へ、祖父母も亡くなっていれば曾祖父母へと相続権が移りますが、これは「親等の近い者が優先される」という順次繰り上がりの仕組みです。

代襲相続は「下の世代が上がる」制度であり、「上の世代へ移行する」仕組みとは根本的に異なります。

代襲相続できない人

形式的には該当しそうに見えても、代襲相続ができないケースがあります。実務で判断に迷いやすい2つのパターンを整理します。

相続放棄した人の子

親が相続放棄をしても、その子は代襲相続人になれません。

民法939条により、相続放棄した人は「最初から相続人ではなかった」とみなされます。代襲相続が発生するのは相続権を「失った」場合に限られますが、放棄は「最初から存在しなかった」扱いとなるため、発生原因に当たりません。

養子縁組前の連れ子

養子の子が代襲相続人になれるかは、養子縁組の前後で結論が分かれます。

養子の子の生まれたタイミング養親の直系卑属代襲相続
養子縁組よりに生まれた子(連れ子)該当しない✕ できない
養子縁組よりに生まれた子該当する○ できる

養子縁組により生じる血族関係は、養親と養子本人の間にのみ及びます(民法727条)。そのため、縁組前に生まれていた連れ子は養親の直系卑属に該当せず、代襲相続人にはなれません(大審院昭和7年5月11日判決)。縁組後に生まれた子は直系卑属として認められるため、代襲相続が可能です。

養子縁組による節税対策を検討する際は、縁組のタイミングが将来の代襲相続の可否を左右する点を念頭に置きましょう。

代襲相続人の相続分

代襲相続人が受け取れる相続分は、被代襲者が本来受け取るはずだった枠を引き継ぎ、代襲相続人の人数で均等に分けます。他の相続人の取り分は変わりません。

計算の基本ルール

計算式は「被代襲者の相続分 ÷ 代襲相続人の人数」です。

まず法定相続分の基本を確認します。配偶者と子が相続人の場合、配偶者1/2・子全員で1/2を均等割りします。代襲相続人はあくまで「被代襲者の枠」を引き継ぐだけなので、他の相続人の取り分は変わりません。

代襲相続人が増えても、ほかの相続人の相続分は影響を受けない点が重要です。増えた分だけ被代襲者の枠の中で分かれるイメージです。

孫が代襲する場合の例

次男がすでに亡くなっており、次男の子である孫が2人いるケースです。

相続人相続分計算根拠
配偶者1/2法定相続分どおり
長男1/4子全体1/2を2人で均等割り
孫A(次男の子)1/8次男の枠1/4を孫2人で均等割り
孫B(次男の子)1/8同上

孫が1人だけの場合、孫の相続分は1/4(次男の枠をそのまま引き継ぐ)となります。孫が3人であれば各1/12です。代襲相続人の人数が増えるほど一人あたりの取り分は小さくなりますが、長男の相続分は1/4のまま変わりません。

甥・姪が代襲する場合の例

子も直系尊属もおらず、兄弟姉妹が相続人となるケースです。兄弟姉妹が相続人になる場合、配偶者の法定相続分は3/4に上がります。

相続人相続分計算根拠
配偶者3/4兄弟姉妹相続の法定割合
1/8兄弟姉妹全体1/4を2人で均等割り
甥(兄の子)1/8兄の枠1/8をそのまま引き継ぐ

甥が1人のため、兄の枠をそのまま受け取ります。なお、兄弟姉妹に遺留分(最低限保障される相続分)はなく、代襲した甥姪にも遺留分は発生しません。

遺留分の取り扱い

代襲相続人に遺留分が認められるかは、誰を代襲したかによって異なります。

孫が代襲する場合:遺留分あり

孫は被代襲者(子)の遺留分をそのまま引き継ぎます。遺留分の額は「相続財産×1/2×法定相続分÷人数」で計算します。

たとえば孫2人が代襲する場合、各自の遺留分は「相続財産×1/2×1/4×1/2=相続財産の1/16」です。

甥・姪が代襲する場合:遺留分なし

兄弟姉妹にはそもそも遺留分が認められていません(民法1042条)。そのため、兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪にも遺留分は発生しません。

孫(子の代襲)甥姪(兄弟姉妹の代襲)
相続分被代襲者の枠を引き継ぐ被代襲者の枠を引き継ぐ
遺留分○(法定相続分×1/2)

代襲相続と相続税の関係

代襲相続が発生すると、相続税の計算にも直接影響が及びます。基礎控除・生命保険非課税枠・2割加算・未成年者控除の4点を押さえておきましょう。

基礎控除額への影響

相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円×法定相続人の数」です。代襲相続人も法定相続人に含まれるため、人数が増えるほど基礎控除額が拡大します。

重要なのは、被代襲者(先に亡くなった本来の相続人)はカウントしない点です。子が先に亡くなって孫2人が代襲する場合、「子1人」ではなく「孫2人」として数えます。

パターン法定相続人の数基礎控除額
通常相続(次男が生存)3人4,800万円
代襲相続(孫2人が代襲)4人5,400万円
配偶者+長男+次男(死亡・孫2人が代襲)

代襲相続人の増加により、基礎控除額が600万円増えます。相続財産が基礎控除に近い水準の場合、代襲相続によって相続税がゼロになるケースも生じます。

生命保険金の非課税枠も人数分適用される

生命保険金・死亡退職金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。代襲相続人も法定相続人に含まれるため、人数が増えるほど非課税枠が拡大します。

先ほどの例では、次男が生存するケースの非課税枠は500万円×3人=1,500万円です。孫2人が代襲するケースでは500万円×4人=2,000万円となり、500万円分の非課税枠が増えます。

代襲相続が見込まれる家庭ほど、生命保険の受取人設計が節税に直結します。契約内容を早めに見直すことを検討してください。

代襲相続による孫は2割加算の対象外

相続税法18条では、被相続人の配偶者・子・父母以外が財産を受け取ると、その相続税額が2割増しになる「2割加算」が課されます。

孫が相続するケースでは、代襲相続かどうかで結論が変わります。

孫の立場2割加算
代襲相続人の孫対象外
孫養子(養子となった孫)対象
孫養子が代襲相続人となっている場合対象外

一方、甥姪が代襲相続するケースは2割加算の対象です。兄弟姉妹系列の代襲では必ず2割加算が発生する点に注意しましょう。

未成年者控除の活用

代襲相続人が未成年(18歳未満)の場合、未成年者控除が利用できます。控除額は「(18歳 − 相続開始時の年齢)×10万円」です。

10歳の孫が代襲相続人となる場合、(18歳 − 10歳)×10万円=80万円を相続税額から差し引けます。孫が代襲相続人となるケースでは未成年であることも多く、見落とされがちな控除です。

なお、未成年者控除を本人の相続税額から引き切れない場合は、その未成年者の扶養義務者の相続税額から控除できる場合があります。

代襲相続の手続き

代襲相続が発生すると、通常の相続より必要書類が増え、手続き全体が複雑化します。戸籍収集の範囲が広がるうえ、疎遠な親族が相続人に加わる点が大きな負担になりがちです。

必要な戸籍謄本

通常の相続では被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集しますが、代襲相続が発生すると被代襲者の戸籍が追加で必要になります。

子の代襲のケース

祖父Aが亡くなり、孫Dが代襲相続人となる場合、必要な戸籍は以下のとおりです。

取得対象必要な戸籍
被相続人(祖父A)出生から死亡までの全戸籍
配偶者(B)現在の戸籍謄本
被代襲者(長男C)出生から死亡までの全戸籍
代襲相続人(孫D)現在の戸籍謄本

代襲相続人の人数を証明するには、被代襲者Cの出生から死亡までの戸籍をすべて収集する必要があります。Cが婚姻や転籍を繰り返している場合、複数の市区町村から取り寄せることになります。

なお、2024年3月1日から戸籍謄本の広域交付制度が開始し、全国どこの市区町村役場でも一括取得が可能になりました。ただし本人が直接窓口に出向く必要があり、郵送や代理申請には対応していません。

甥姪の代襲のケース

兄弟姉妹の代襲が発生するケースでは、必要書類がさらに広範囲に及びます。

  • 被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の祖父母の死亡が確認できる除籍謄本(必要な場合)
  • 先に亡くなった兄弟姉妹それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本

被相続人に子も直系尊属もいないことを証明するためには、父母の戸籍にとどまらず、祖父母の除籍謄本(閉鎖された戸籍の写し)まで収集が必要になる場合があります。被相続人の年齢によっては祖父母が存命の可能性があるためです。

また、先に亡くなった兄弟姉妹が複数いる場合は、その人数分だけ被代襲者の戸籍収集が発生します。自力での収集は相当な手間と時間を要するため、司法書士・行政書士への依頼を検討することをおすすめします。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議(遺産の分け方を相続人全員で話し合う手続き)は、代襲相続人を含む法定相続人全員の合意が必要です。1人でも欠けた状態で作成した遺産分割協議書は無効となります。

代襲相続では、疎遠な甥姪や遠方の孫など普段交流のない相続人が協議に加わるケースが多く、連絡が取れない・押印を拒否されるといったトラブルが起きやすい点が課題です。

相続税の申告期限

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税などのペナルティが課されます。

代襲相続のように相続人の確定に時間がかかるケースほど、早期着手が重要です。戸籍収集だけで2〜3ヶ月、その後の遺産分割協議にさらに数ヶ月を要する可能性を踏まえ、逆算したスケジュールで動く必要があります。

また、2024年4月1日から相続登記(不動産の名義変更)が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が課される可能性があります。相続税の申告と並行して、不動産の名義変更も早めに着手しましょう。

代襲相続をめぐるよくあるトラブル事例

代襲相続は、普段付き合いのない親族が相続人に加わるケースが多く、通常の相続よりトラブルに発展しやすい構造を持っています。典型的な4つのパターンを整理します。

疎遠な親族との協議が難航しやすい

最も多いトラブルが、疎遠な代襲相続人との遺産分割協議の難航です。

甥姪や遠方の孫が代襲相続人となる場合、住所の把握すらできないケースがあります。連絡が取れても、交流のない相手との協議書への押印拒否や、法定相続分を主張した強硬な条件交渉に発展することも少なくありません。

  1. 協議が1人でもまとまらなければ、遺産分割調停(家庭裁判所での話し合い)、さらには遺産分割審判(裁判所の決定)へと移行します。解決までに1〜2年を要することも珍しくなく、その間は不動産の名義変更や預貯金の払い出しが一切できません。

疎遠な代襲相続人の住所を調べるには、戸籍の附票(住所の移転履歴が記録された書類)の取得が有効です。交渉が難航する場合は、早めに弁護士を介した協議に切り替えることを検討しましょう。

未成年の代襲相続人には代理人が必要になる

代襲相続人が未成年の場合、親権者が法定代理人として遺産分割協議に参加します。ただし、親権者自身も相続人である場合は「利益相反」(親子の利益が対立する状態)に当たるため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

申立てから選任まで通常1〜2ヶ月かかるうえ、特別代理人は子の利益を最優先に協議に臨むため、協議内容が想定外の方向に進む場合もあります。相続税の申告期限(10ヶ月)を踏まえると、未成年の代襲相続人がいると判明した時点で早急に対応することが重要です。

借金を相続するリスクがある

代襲相続人は、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も自動的に引き継ぎます。疎遠で財産状況を把握していない場合ほど、このリスクを見落としがちです。

相続放棄の期限は「自分が相続人となったと知った日から3ヶ月以内」です。この期限を過ぎると、原則として借金を含む全財産を引き継ぐことになります。財産の全貌が把握できない場合は、期限内に「限定承認」(プラス財産の範囲内でのみ債務を引き継ぐ制度)を検討することも一つの選択肢です。

情報開示の非対称性がある

代襲相続人は被相続人と疎遠なケースが多く、遺産の全貌を把握できないまま協議に臨みがちです。他の相続人が財産の一部を開示せずに進め、代襲相続人が不利な協議書へ署名するよう迫られるトラブルがよく見られます。

一度署名・押印した協議書は、詐欺・強迫などの特別な事情がなければ後から無効にするのは困難です。以下の点を意識して、トラブルを未然に防ぎましょう。

調査手段内容
金融機関への残高照会相続人であれば請求可能
不動産の名寄帳(なよせちょう)の取得市区町村で請求可能
弁護士会照会弁護士を通じた幅広い財産調査

内容に納得できない場合は、必ず署名前に弁護士へ相談することが大切です。

生前にできる財産対策

代襲相続が発生する可能性がある家庭ほど、生前対策が重要です。遺言書・生命保険・家族信託・生前贈与を組み合わせることで、意図せぬ財産移転を防ぎつつ節税も実現できます。

遺言書による財産分与の指定

代襲相続への最も確実な対策は、遺言書で財産の分配先を明示することです。遺言書があれば法定相続分と異なる配分を指定でき、疎遠な甥姪や面識の少ない孫への意図しない遺産移転を防げます。

種類特徴注意点
自筆証書遺言本人が全文を手書きで作成。費用不要形式不備で無効になるリスクあり
公正証書遺言公証人が作成に関与し信頼性が高い公証役場での手続きと費用が必要

2020年7月から、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が始まりました。形式チェックを受けたうえで保管されるため、紛失・改ざんリスクを抑えられます。遺言書の作成が初めての場合は、まずこの制度の活用を検討しましょう。

なお、遺言書があっても子の代襲相続人(孫)には遺留分が発生します。遺留分を侵害した内容にならないよう、作成時は専門家の確認を受けることをおすすめします。

生命保険の非課税枠の活用

生命保険金は「受取人固有の財産」として遺産分割協議の対象外となります。受取人を指定するだけで、疎遠な代襲相続人が介入できない資産移転が実現します。

さらに「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるため節税効果も高く、代襲相続人が複数いて法定相続人の数が増えるケースでは、非課税枠も比例して拡大します。

配偶者や同居の子を受取人に指定することで、意図した相手に確実に資産を届けられます。ただし被相続人が高齢の場合、加入できる保険商品が限られるため、早めの契約を検討しましょう。

家族信託の検討

家族信託(民事信託)とは、財産の管理・処分を信頼できる家族に託す制度です。認知症による資産凍結リスクを防ぎながら、相続対策も同時に行える点が特徴です。

「受益者連続型信託」という仕組みを活用すると、「自分→配偶者→長男→孫」という形で、複数世代にわたって財産の承継先をあらかじめ指定できます。遺言書だけでは難しい、二次・三次相続まで見据えた設計が可能です。

代襲相続による想定外の財産移転を防ぐ手段として有効ですが、信託の設計には専門的な知識が必要なため、司法書士や弁護士への相談が不可欠です。

生前贈与による資産移転

暦年贈与(年間110万円まで贈与税が非課税となる制度)は、長期にわたって活用するほど節税効果が高まります。ただし、2024年1月以降の贈与から相続財産への加算期間が従来の3年から7年へ延長されました。

この改正を踏まえると、早期かつ計画的な贈与開始が従来以上に重要です。なお、延長された4年間(死亡3〜7年前)の贈与は、合計100万円までが加算対象外となる経過措置が設けられています。

あわせて注目したいのが、2024年から改正された相続時精算課税制度です。60歳以上の父母・祖父母から子・孫への贈与で累計2,500万円まで贈与税が非課税となる制度で、年間110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内の贈与は相続財産に持ち戻す必要がなく、使い勝手が大きく向上しています。

制度非課税枠注意点
暦年贈与年間110万円死亡前7年以内の贈与は相続財産に加算
相続時精算課税累計2,500万円+年110万円控除一度選択すると暦年贈与に戻れない

専門家へ相談するべきケース

代襲相続は法律・税務・登記が複雑に絡み合うため、1つの専門家では解決しきれないケースがほとんどです。相談内容に応じて適切な専門家を選ぶことが、時間とコストの節約につながります。

相談内容適切な専門家
遺産分割調停・遺留分請求・相続人間のトラブル弁護士
相続税申告・生前の節税対策税理士
相続登記・戸籍収集・協議書作成(争いなし)司法書士

弁護士に相談すべきケース

相続人同士でトラブルが生じている、または生じそうな場合は弁護士への相談が適切です。

具体的には、代襲相続人との協議が決裂して遺産分割調停・審判へ移行するケース、遺留分侵害額請求を受けた・行いたいケース、疎遠な代襲相続人が協議書への署名を拒否するケースなどが当たります。代理人として相手方と直接交渉できるのは弁護士のみです。

費用の目安は着手金10〜30万円程度、解決後に得た利益に応じた成功報酬が別途発生するのが一般的です。初回相談は無料としている事務所も多く、まずは気軽に問い合わせてみましょう。

税理士に相談すべきケース

遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告が必要です。代襲相続人の人数カウント・2割加算の適用判断・未成年者控除の活用など、代襲相続特有の税務論点は複雑なため、相続専門の税理士への依頼をおすすめします。

費用の相場は遺産総額の0.5〜1.5%程度です。生前の節税対策(生命保険・生前贈与・家族信託の設計)についても税理士が最適な相談先となります。

司法書士に相談すべきケース

相続人間で争いがなく、相続登記(不動産の名義変更)・戸籍収集・遺産分割協議書の作成を依頼したい場合は司法書士が適切です。弁護士より費用を抑えられるうえ、2024年4月に義務化された相続登記(相続を知った日から3年以内)を確実に完了させられます。

費用の相場は登記一式で10〜20万円程度(登録免許税などの実費込み)です。代襲相続で戸籍収集の範囲が広い場合も、まとめて対応してもらえます。

代襲相続に関する留意点

特に誤解されやすい・見落とされやすい4つのポイントを整理します。自分のケースに照らし合わせて確認してください。

相続放棄では代襲相続は発生しない

相続放棄した人の子には代襲相続は発生しません。これは、相続放棄した人が「最初から相続人ではなかった」と扱われるためです。なお、相続税の基礎控除の計算では、相続放棄があっても法定相続人の数に含めて考える点には注意が必要です。

養子の子の代襲は縁組時期で変わる

養子縁組による血族関係は、養親と養子本人の間にのみ生じます。縁組前に生まれていた養子の子(いわゆる連れ子)は養親の直系卑属に当たらないため、代襲相続人にはなれません。

一方、縁組後に生まれた養子の子は養親の直系卑属として認められるため、代襲相続が可能です(大審院昭和7年5月11日判決)。

非嫡出子も代襲相続人になる

認知された非嫡出子(婚姻関係にない男女間に生まれた子)は、嫡出子と同じ法定相続分を持ちます。2013年の民法改正で嫡出子・非嫡出子の相続分格差が撤廃されたためです。

したがって、非嫡出子が被代襲者となる場合、その子も代襲相続人として同等の権利を持ちます。戸籍調査の過程で非嫡出子の存在が初めて判明するケースもあり、相続人の確定には被相続人の出生から死亡までの全戸籍を丁寧に確認する必要があります。

代襲相続で法定相続人数が増えることがある

代襲相続人が複数いる場合、法定相続人の数そのものが増加します。これは節税の観点では有利に働く場合があります。

影響を受ける項目内容
相続税の基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数で拡大
生命保険の非課税枠500万円×法定相続人の数で拡大
死亡退職金の非課税枠同上

一方で、法定相続人が増えるほど遺産分割協議の合意形成は難しくなります。節税メリットと手続きの複雑化というトレードオフを理解したうえで、生前から遺言書や生命保険を活用した対策を講じましょう。

この記事のまとめ

この記事では、代襲相続の基本構造から発生原因、適用範囲、相続分の計算、税務影響、手続きまでを整理しました。代襲相続は相続人の範囲や取り分に大きく影響するため、正確な理解が不可欠です。まずは自分の家族関係を整理し、誰が相続人に該当するのかを確認しましょう。不明点や複雑なケースがある場合は、早めに専門家へ相談し、誤りのない相続手続きを進めることが重要です。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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関連する専門用語

代襲相続

代襲相続とは、本来であれば相続人となるはずだった人が、相続が始まる前にすでに亡くなっていたり、相続欠格や廃除などの理由で相続できなくなった場合に、その人の子ども(直系卑属)が代わりに相続する仕組みのことをいいます。たとえば、亡くなった人(被相続人)の子どもがすでに他界していた場合、その子どもの子ども、つまり被相続人から見ると孫が相続するという形になります。この制度は、家族間の公平性を保ち、血縁のつながりに沿って財産が引き継がれることを目的としています。代襲相続は主に「子ども」や「兄弟姉妹」が相続人になる場合に認められており、それ以外の親族では適用されない点に注意が必要です。

被相続人

被相続人とは、亡くなったことにより、その人の財産や権利義務が他の人に引き継がれる対象となる人のことです。つまり、相続が発生したときに、その資産の元々の持ち主だった人を指します。たとえば、父親が亡くなって子どもたちが財産を受け継ぐ場合、その父親が「被相続人」となります。相続は被相続人の死亡と同時に始まり、相続人は法律や遺言の内容にしたがって財産を引き継ぎます。資産運用や相続対策を考える際、この「被相続人」という概念はすべての出発点となる重要な言葉です。

被代襲者

被代襲者とは、本来であれば相続人となるはずだった人が、相続の開始よりも前に死亡していたり、相続権を失っていたりすることによって、その人の子や孫などが代わりに相続人となる場合の「もともとの相続人」のことを指します。 つまり、被代襲者は相続の権利を他の人に引き継がせる立場になります。たとえば、父親が亡くなり、その子(長男)がすでに死亡していた場合には、長男の子(孫)が相続人となります。このように、被代襲者がいることで「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」という仕組みが働き、相続権が直系の下の世代に移るのが特徴です。家族構成や相続関係が複雑な場合に、この概念を正しく理解しておくことが重要です。

代襲相続人

代襲相続人とは、本来相続人となるはずだった人が相続開始前に死亡するなどして相続権を失った場合に、その人に代わって相続権を引き継ぐ立場にある者を指します。 代襲相続人という用語は、相続関係の説明や遺産分割の場面で頻繁に登場しますが、「誰が自動的に相続人になるのか」を直感的に理解しにくい概念でもあります。多くの場合、被相続人の子が先に亡くなっているとき、その子のさらに下の世代が相続に関わる可能性がある、という文脈で使われます。家系図上の位置関係を前提に語られるため、言葉だけが独り歩きしやすいのが特徴です。 この用語が問題になる典型的な場面は、相続人の確定作業です。戸籍をたどって相続関係を整理する際、「この人は相続人なのか、それとも代襲相続人なのか」という区別が判断の出発点になります。また、遺産分割協議や相続手続きの説明の中で、相続分の考え方を理解するための前提用語として用いられることも多くあります。 誤解されやすい点として、「相続人が亡くなっていれば、誰かが自動的に代わる」という思い込みがあります。代襲相続は、一定の親族関係に限定される制度的な仕組みであり、誰でも代襲相続人になれるわけではありません。また、「一世代だけの話」と捉えられがちですが、文脈によっては世代をまたいで相続関係が整理されることもあり、ここを曖昧に理解していると相続人の範囲を誤認しやすくなります。 さらに、代襲相続人という言葉が、「相続放棄をした人の代わり」と混同されることもあります。相続放棄と代襲相続は成立の前提が異なる概念であり、単に相続に参加しない人が出た場合に代替される、という関係ではありません。この違いを理解しないまま話を進めると、相続人の人数や持分に関する判断を誤る原因になります。 代襲相続人は、個々の事情や感情とは切り離された、相続制度上の位置づけを示す用語です。この言葉を正しく捉えるためには、「誰の相続権が、どの時点で、どの範囲まで引き継がれるのか」という構造を意識することが重要になります。制度上の立ち位置を整理するための概念であることを押さえることで、相続の全体像を冷静に理解する助けになります。

数次相続(すうじそうぞく)

数次相続(すうじそうぞく)とは、ある人の相続が始まった後に、その相続人の一人が遺産分割を終える前に亡くなり、次の相続が重なることを指します。つまり、一次相続が完了しないうちに二次相続が発生し、相続関係が連鎖的に続く状態です。たとえば、父が亡くなって母と子が相続人となったものの、遺産分割前に母が亡くなった場合、母の相続権は母の相続人である子や孫などに引き継がれます。このように相続の権利が二段階で発生するため、手続きや書類が複雑になります。 数次相続は、代襲相続や相次相続とは異なります。代襲相続は、被相続人が亡くなる前に本来の相続人が死亡している場合に、その子や孫が代わりに相続する制度です。一方、相次相続は、一次相続が完了した後に短期間で次の相続が起きるケースで、相次相続控除という税額控除が適用されることがあります。数次相続はこれらと異なり、一次相続の遺産分割が終わる前に次の相続が発生する点が特徴です。 実務上、数次相続が起こると、相続人の確定が難しくなります。一次相続人の死亡により、相続関係が一段階増えるため、相続人の範囲を確定するためには、複数世代にわたる戸籍を収集する必要があります。また、遺産分割協議も一次相続と二次相続をまたいで行うことになるため、関係者全員の合意が必要となり、時間と手間がかかります。 証券や預金などの金融資産の手続きでは、数次相続の場合、一次相続の手続きと二次相続の手続きをそれぞれ行わなければなりません。証券会社や金融機関によっては、すべての相続人が同一の金融機関で口座を開設する必要がある場合もあります。特にNISA口座などは、名義人の死亡時点で非課税制度が終了し、相続時の時価で課税口座に移管されるため、二重の手続きが必要になります。 税務面では、数次相続が発生すると相続税の申告期限が二重に発生します。一次相続と二次相続はそれぞれ別の相続として扱われ、それぞれの相続開始から10か月以内に申告・納付する必要があります。また、短期間に連続して相続が発生した場合は、相次相続控除の適用を検討できます。相続税の二重負担を軽減する制度であり、前回の相続税の一部を次回の相続税から控除できます。 不動産を含む場合は、登記の手続きも二段階で行う必要があります。まず一次相続で被相続人から一次相続人への名義変更を行い、その後に二次相続で再び名義を変更します。未登記のまま放置すると、さらに相続人が増えて手続きが複雑化し、いわゆる「所有者不明土地」問題の一因になることもあります。 このように、数次相続は相続人が増加し、手続きや税務が複雑化するため、早めに遺産分割を済ませることが望まれます。特に高齢の相続人がいる場合や、不動産・金融資産の分割が難しいケースでは、次の相続が発生する前に相続登記や名義変更を完了させておくことが重要です。専門家の支援を受けながら、戸籍・評価・税務の整理を同時に進めることが、数次相続のリスクを最小化する現実的な対応策となります。

相続欠格

相続欠格とは、本来なら遺産を受け取る権利があるはずの相続人が、法律で定められた特定の理由によって、その権利を失うことをいいます。たとえば、被相続人(亡くなった方)を故意に殺害しようとした場合や、遺言書を無理やり書き換えたり隠したりしたような行為があった場合に、その相続人は「相続欠格者」として扱われます。 つまり、重大な非行が原因で相続の資格を失う制度です。これにより、故人の意思や家族の秩序を守ることが目的とされています。相続欠格になると、その人自身だけでなく、その子どもにも影響が出ることがありますが、代襲相続が認められるケースもあるため、正確な判断には法律の専門家の助言が必要です。

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