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東証プライム(プライム市場)とは?上場基準・企業数・特徴を解説
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公開:
2025.08.26
更新:
2026.10.20
株式投資で企業を調べていると、「東証プライム上場」という表記を目にすることがあります。プライム市場は2022年の市場再編で誕生しましたが、旧東証一部との違いや、スタンダード・グロース市場との違いがわかりにくいと感じる人もいるでしょう。また、プライム市場に上場しているからといって、業績の安定や株価の上昇が保証されるわけではありません。
この記事では、東証プライム市場の特徴や上場基準、他市場との違いから、企業側のメリット・デメリット、投資判断上の注意点、2026年のTOPIX見直しまで具体的に解説します。
東証プライム市場とは:2022年4月に誕生した東証の市場区分
まずは東証プライム市場の定義と、市場再編の背景、旧東証一部との違いを確認しておきましょう。
プライム市場の定義とコンセプト
JPXは、プライム市場のコンセプトを次のように定めています。
- 多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
ここでいう流動性は、市場に出回る株式の数や金額の多さを示す尺度で、流動性が高いほど売買しやすい銘柄とされています。ガバナンス(コーポレート・ガバナンス)は、会社が株主や顧客、従業員などの立場を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みのことです。つまりプライム市場は、売買のしやすさと経営の規律の両面で、一段高い水準を求める市場と整理できます。
2022年4月4日の市場再編と東証一部との違い
再編前の東証には、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)の4つの市場区分がありました。JPXは、各市場のコンセプトがあいまいで投資者の利便性が低いこと、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが不十分なことの2点を課題に挙げています。
たとえば旧制度では、新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低く、他の市場から市場第一部へ移る基準も新規上場基準より緩い設計でした。2022年4月4日の一斉移行で、旧市場の上場会社がどの市場へ移ったかは次の表のとおりです。
| 旧市場区分 | プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 市場第一部 | 1,839社 | 338社 | - | 2,177社 |
| 市場第二部・JASDAQスタンダード | - | 1,127社 | - | 1,127社 |
| マザーズ・JASDAQグロース | - | 1社 | 465社 | 466社 |
| 4月4日付の新規上場 | - | - | 1社 | 1社 |
| 新市場区分の上場会社数 | 1,839社 | 1,466社 | 466社 | 3,771社 |
| うち上場維持基準への適合計画を開示 | 295社 | 209社 | 45社 | 549社 |
※旧市場区分は2022年4月3日時点、新市場区分は2022年4月4日時点の上場会社数です。TOKYO PRO Marketは含みません。
旧東証一部の2,177社のうち、プライム市場に移ったのは1,839社で、338社はスタンダード市場を選びました。プライム市場に移った会社のうち295社は、上場維持基準を満たさないまま適合に向けた計画を開示し、緩和された基準(経過措置)の適用を受けました。単なる名称変更ではなく、新規上場時と同じ水準を上場後も求める点が、旧東証一部と大きく異なる点です。
「プライム上場」「プライム企業」が意味すること
「プライム上場」「東証プライム上場」は、その会社の株式が東証のプライム市場で売買されていることを指します。「プライム企業」も法令上の用語ではなく、プライム市場の上場会社を指す通称です。上場には後述の数値基準と審査を通過する必要があるため、一定の規模や流動性、開示体制を備えた会社であることの目安にはなります。
- ただし、プライム上場は業績の安定や倒産しないことを保証するものではありません。就職・転職先や取引先を確かめるときも、上場市場は判断材料の1つにとどめ、決算や事業の中身とあわせて見るのが現実的です。
プライム・スタンダード・グロースの違い【比較表】
東証の株式市場は、プライム・スタンダード・グロースの3つの市場区分と、プロ投資家向けのTOKYO PRO Marketで構成されています。3市場の対象企業と主な基準の違いを比べたのが次の表です。
| 項目 | プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 多くの機関投資家の投資対象になりうる時価総額(流動性)と、より高いガバナンス水準を備えた企業向け | 一定の時価総額(流動性)と、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えた企業向け | 高い成長可能性を実現するための事業計画と進捗の開示が行われ、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向け |
| 株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
| 流通株式数 | 2万単位以上 | 2,000単位以上 | 1,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
| 流通株式比率 | 35%以上 | 25%以上 | 25%以上 |
| 時価総額 | 新規上場時250億円以上 | - | 上場維持基準として上場10年経過後40億円以上(2030年3月1日から上場5年経過後100億円以上) |
| 収益基盤・財政状態(新規上場時) | 最近2年間の利益合計25億円以上、または売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上/連結純資産50億円以上 | 最近1年間の利益1億円以上/連結純資産が正 | 利益の数値基準はなく、事業計画の合理性や、成長可能性に関する主幹事証券会社の見解などを審査 |
| 売買の基準(上場維持) | 1日平均売買代金0.2億円以上 | 月平均売買高10単位以上 | 月平均売買高10単位以上 |
| コーポレートガバナンス・コード | 全原則(一段高い水準の原則を含む) | 全原則 | 基本原則 |
| 上場会社数(2026年10月19日時点) | 1,546社 | 1,550社 | 595社 |
出典:日本取引所グループ「上場審査基準概要(スタンダード市場)」
出典:日本取引所グループ「上場審査基準概要(グロース市場)」
出典:日本取引所グループ「上場維持基準(スタンダード市場)」
※株主数・流通株式数・流通株式時価総額・流通株式比率は、新規上場基準と上場維持基準で共通の数値です。グロース市場の新規上場には、原則として500単位以上の公募も必要です。
3市場を比べると、プライム市場の流通株式時価総額の基準は、スタンダード市場の10倍、グロース市場の20倍の水準です。流通株式比率も35%と一段高く、投資家との建設的な対話の促進の観点から、いわゆる安定株主が株主総会における特別決議可決のために必要な水準(3分の2)を占めることのない公開性を求めています。なお、JPXは各市場区分をそれぞれ独立した市場としており、他の市場区分へ移るときは、移り先の新規上場基準と同等の審査を改めて受ける仕組みです。
TOKYO PRO Marketはプロ向け市場制度に基づく別の市場
TOKYO PRO Marketの母体は、2008年の改正金融商品取引法で導入された「プロ向け市場制度」に基づき、2009年6月に開設されたTOKYO AIMです。2012年7月からは、TOKYO PRO Marketとして東証が運営しています。株主数や流通株式、利益の額などの形式基準(数値基準)がなく、東証や主幹事証券会社ではなく、J-Adviserが上場の審査を担う点が3市場と異なります。
上場会社数は193社(2026年10月19日時点)です。本記事では、個人投資家が一般に売買するプライム・スタンダード・グロースの3市場を中心に扱います。
出典:日本取引所グループ「概要(TOKYO PRO Market)」
東証プライム市場の上場基準:新規上場基準と上場維持基準
プライム市場を含む各市場区分の上場基準の特徴は、新規上場基準と上場維持基準が原則として共通化されている点です。上場時だけでなく、上場後も同じ水準を保ち続けることが求められます。
新規上場基準(形式要件)
プライム市場へ新規上場するための主な形式要件は次のとおりです。
| 項目 | 新規上場基準 |
|---|---|
| 株主数(上場時見込み) | 800人以上 |
| 流通株式数(上場時見込み) | 2万単位以上 |
| 流通株式時価総額(上場時見込み) | 100億円以上 |
| 流通株式比率(上場時見込み) | 35%以上 |
| 時価総額(上場時見込み) | 250億円以上 |
| 純資産の額(上場時見込み) | 連結純資産の額が50億円以上(かつ、単体純資産の額が負でないこと) |
| 利益の額または売上高 | 最近2年間の利益の額の総額が25億円以上、または最近1年間の売上高が100億円以上で、かつ時価総額が1,000億円以上となる見込み |
| 事業継続年数 | 3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること |
| 虚偽記載・監査意見 | 最近2年間の有価証券報告書等に虚偽記載がなく、最近1年間の監査意見が原則として「無限定適正」であること、登録上場会社等監査人の監査を受けていることなど |
出典:日本取引所グループ「上場審査基準概要(プライム市場)」
※2023年4月1日現在の形式要件です。このほか、単元株式数が100株となる見込みであること、株式の譲渡制限を行っていないことなどの要件があります。
形式要件を満たしたうえで、企業の継続性及び収益性、企業経営の健全性、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性、企業内容等の開示の適正性などの実質審査を受けます。たとえば継続性及び収益性では「安定的かつ優れた収益基盤」、内部管理体制では「適切に整備され、機能していること」が審査の内容です。
- 単元株式数は100株のため、流通株式数2万単位は200万株にあたります。新規上場時の流通株式時価総額は、原則として公募等の価格等に上場時に見込まれる流通株式数を、時価総額は上場時に見込まれる上場株式数を掛けて計算する仕組みです。
新規上場する株を公募・売出しの段階で購入するIPO投資の仕組みや、当選確率を上げる方法、公募割れのリスクは、こちらの記事で解説しています。
上場維持基準
上場後に満たし続ける必要がある上場維持基準は、次のとおりです。
| 項目 | 上場維持基準 | 審査の対象 |
|---|---|---|
| 株主数 | 800人以上 | 各事業年度の末日の状況(通常年1回) |
| 流通株式数 | 2万単位以上 | 各事業年度の末日の状況 |
| 流通株式時価総額 | 100億円以上 | 各事業年度の末日の状況 |
| 流通株式比率 | 35%以上 | 各事業年度の末日の状況 |
| 売買代金 | 1日平均売買代金が0.2億円以上 | 毎年12月末日以前1年間の東証の売買立会での売買代金の日次平均 |
| 純資産の額 | 純資産の額が正であること | 連結貸借対照表などに基づく純資産の額 |
※有価証券上場規程第501条に定める基準です(2022年4月4日現在)。
新規上場時の時価総額250億円や、利益・売上高の基準は、上場維持基準にはありません。代わりに売買代金の基準があり、東証の売買立会での売買代金を日次平均にした値が0.2億円(2,000万円)以上であることが求められます。株価が下がって流通株式時価総額が100億円を割り込むと、業績とは関係なく基準に抵触する可能性がある点には注意が必要です。
経過措置の終了と、基準を下回ったときの流れ
再編時に基準を満たしていなかった会社には、緩和された上場維持基準を適用する経過措置がありました。この経過措置は終了し、2025年3月1日以後に到来する上場維持基準の判定に関する基準日から、本来の上場維持基準が適用されています。基準未達となった場合の流れを整理したのが次の表です。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1.基準日に不適合 | 適合しない状態となった時から3か月以内に、基準に適合するための取組みと実施時期を記載した計画を開示 |
| 2.改善期間 | 原則として1年間(売買高の基準は6か月間)。期間内に基準に適合すれば上場を維持 |
| 3.監理銘柄 | 改善期間の末日の後、適合状況の確認中は監理銘柄(確認中)に指定。市場区分の変更を申請している場合は監理銘柄(審査中) |
| 4.整理銘柄 | 基準に適合しなかった場合は上場廃止が決まり、整理銘柄に指定 |
| 5.上場廃止 | 監理銘柄・整理銘柄(原則として6か月間)の指定を経て上場廃止。東証での売買はできなくなる |
出典:日本取引所グループ「上場維持基準に関する経過措置の終了」
※3月末決算の会社では、改善期間の末日の翌日にあたる4月1日から監理銘柄(確認中)に指定され、4月中旬〜6月中旬ごろに基準への適合状況が確認されます。
3月期決算の会社では、2026年3月に改善期間が終了しました。JPXの資料によると、2026年4月1日時点で監理銘柄に指定されていた3月期決算の経過措置適用会社は21社(プライム1社・スタンダード20社)でした。プライム市場の1社は市場区分の変更を審査中で、名古屋証券取引所のメイン市場にも上場しています。
- 東証で上場廃止になっても、名古屋証券取引所のメイン市場や福岡証券取引所の本則市場など、他の取引所で上場が続く会社もあります。基準を満たせない場合に、プライム市場からスタンダード市場へ市場区分を変更するという選択肢があるのも実情です。
上場廃止が決まった株を持っている場合の売却方法や、監理銘柄・整理銘柄の期間中に投資家が取れる行動は、こちらの記事で解説しています。
東証プライム市場の上場企業数(2026年10月19日時点)
JPXの公表値では、2026年10月19日時点のプライム市場の上場会社数は1,546社(うち外国会社1社)です。3市場とTOKYO PRO Marketを合わせた上場会社数は3,884社でした。年末時点などの推移を並べると、次のようになります。
| 時点 | プライム | スタンダード | グロース | TOKYO PRO Market | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年4月4日 | 1,839 | 1,466 | 466 | 52 | 3,823 |
| 2022年12月末 | 1,838 | 1,451 | 516 | 64 | 3,869 |
| 2023年12月末 | 1,657 | 1,621 | 565 | 90 | 3,933 |
| 2024年12月末 | 1,640 | 1,592 | 610 | 133 | 3,975 |
| 2025年12月末 | 1,599 | 1,569 | 614 | 163 | 3,945 |
| 2026年3月末 | 1,570 | 1,571 | 603 | 176 | 3,920 |
| 2026年9月末 | 1,544 | 1,561 | 595 | 190 | 3,890 |
| 2026年10月19日 | 1,546 | 1,550 | 595 | 193 | 3,884 |
※単位は社で、外国会社を含みます。
プライム市場の上場会社数は、2022年4月4日の1,839社から2026年10月19日の1,546社まで、293社減りました。大きく減ったのは2023年です。プライム市場の会社がスタンダード市場を選び直せる特例期間(2023年4〜9月)が設けられ、177社が2023年10月20日にスタンダード市場へ移りました。JPXによると、多くは流通株式時価総額の基準(100億円以上)に適合していない会社でした。その後も減少が続いています。
最新の社数は、JPXの公式サイトの「上場会社数」のページで公表値を確認できます。個別の会社がどの市場に上場しているかは、JPXの「東証上場会社情報サービス」で検索すると確実です。
出典:東京証券取引所「プライム市場上場会社のスタンダード市場再選択結果について」
企業が東証プライム市場に上場するメリット・デメリット
企業にとってプライム市場への上場は、資金調達や信用の面で選択肢を広げる一方、基準の維持や開示の負担も伴います。ここでは企業側から見た主な点を整理しました。
メリット:機関投資家の投資対象になり、資金調達や信用の選択肢が広がる
JPXは、プライム市場を多くの機関投資家の投資対象になりうる企業向けの市場と位置づけています。流動性の高い銘柄は国内外の機関投資家が投資しやすく、株主層が拡大すれば、新株を発行する増資などの資金調達の選択肢も広がる可能性があります。
- 「プライム上場」という区分は、取引先や金融機関との関係や採用の場面で、会社の規模や開示体制を説明する材料にもなるでしょう。ただし2026年10月からは、TOPIXへの採用は市場区分ではなく流動性の基準で決まるため、プライム上場がそのままTOPIX採用につながるわけではありません。
デメリット:基準の維持と開示・ガバナンスの負担
プライム市場の会社は、上場後も流通株式時価総額100億円以上などの基準を満たし続ける必要があります。株価の下落で基準を割り込めば、業績とは別に改善期間に入る可能性がある点は経営上の負担です。
コーポレートガバナンス・コードでは、独立社外取締役を取締役会の3分の1以上選任することなど、他の市場より一段高い原則が適用される点も特徴です。決算情報と適時開示情報の英文での同時開示も、2025年4月から義務となりました。
コードの原則3-2も、海外投資家等の比率を踏まえ、合理的な範囲で英語での開示を進めるよう求めています。東証に支払う年間上場料は、上場時価総額に応じて96万円〜456万円(TDnet利用料12万円が別途加算・税別)で、スタンダード市場より24万円高い水準です。監査やIR、英文開示の体制づくりにかかる費用は会社ごとに異なり、規模によっては負担が重くなります。
出典:東京証券取引所「プライム市場の英文開示義務化後の状況について」
投資家から見たプライム銘柄の特徴と注意点
投資家にとって、プライム市場は「売買しやすく、情報を得やすい銘柄が多い市場」と整理すると分かりやすいでしょう。一方で、プライム上場だけを理由に銘柄を選ぶと、見落としが生まれやすくなります。
特徴:流動性と情報開示の水準
プライム市場の会社には、1日平均売買代金0.2億円以上という上場維持基準があり、一定の売買が続いていることが前提です。流動性が高い銘柄は、売りたいときや買いたいときに取引が成立しやすい傾向があります。
情報開示の透明性の面では、2025年4月から決算短信や適時開示の英文同時開示が義務化され、JPXの集計(2025年9月2日公表)によると、英文の決算短信を同時開示している企業は95%でした。東証が求める「資本コストや株価を意識した経営」についても、2026年10月14日の東証の資料では、プライム市場の開示率は94%に達しています。
出典:東京証券取引所「プライム市場の英文開示義務化後の状況について」
出典:東京証券取引所「「資本コストや株価を意識した経営」に関する4年目の現状と今後の取組みについて」
注意点:プライム上場は安全性や株価の上昇を保証しない
プライム市場の基準は、主に規模・流動性・ガバナンスに関するもので、利益の成長や配当の継続を求めるものではありません。上場維持基準に利益の基準はなく、上場後に赤字になってもそれだけでは基準に抵触しないのが実際です。
東証は2023年3月、プライム市場の約半数の会社がROE(自己資本利益率)8%未満、PBR(株価純資産倍率)1倍割れと、資本収益性や成長性に課題があると指摘しました。PBR1倍割れは、資本コストを上回る資本収益性を達成できていない、または成長性が十分に評価されていないことを示す目安の1つとされています。
- プライム上場という区分だけでなく、個々の会社の業績や財務、資本効率を確かめることが前提です。改善期間に入った銘柄や監理銘柄・整理銘柄はJPXのサイトで一覧が公表されているため、保有銘柄が含まれていないかを確かめておくと安心でしょう。
出典:東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」
投資方法:個別株か、TOPIX連動のETF・投資信託か
プライム銘柄に投資する方法は、個別株を選んで買う方法と、TOPIXなどの株価指数に連動するETF・投資信託を買う方法に大きく分かれます。判断軸ごとの違いをまとめたのが次の表です。
| 比較軸 | 個別株 | TOPIX連動のETF・投資信託 |
|---|---|---|
| 投資対象 | 自分で選んだ会社 | TOPIXの構成銘柄(2026年10月30日時点で1,669銘柄)にまとめて投資 |
| 事前に確認すること | 業績・財務・株価の水準を銘柄ごとに確認 | 連動する指数のルールと、信託報酬などのコスト |
| 値動き | 銘柄ごとの差が大きい | 構成銘柄全体の値動きに連動 |
| 購入単位の目安 | 原則100株単位(単元未満株を扱う証券会社もある) | 投資信託は少額から積み立てできる商品が多い |
| 検討しやすい人 | 企業研究に時間をかけ、銘柄ごとに判断したい人 | 日本株全体に分散し、銘柄選びの手間を抑えたい人 |
※編集部作成。特定の銘柄や商品を推奨するものではありません。
どちらが合うかは、企業研究にかけられる時間と、値動きの大きさをどこまで受け入れられるかで変わります。個別株は、選んだ会社の業績が損益に直接表れるため、銘柄ごとに判断したい人に向いている方法です。TOPIX連動の商品は、1つの商品で多くの銘柄に分散できるため、日本株の土台をつくりたい人の検討候補になるでしょう。
株式投資の仕組みや始めるのに必要な金額、口座開設から購入までの5ステップは、こちらの記事で解説しています。
プライム市場とTOPIXの関係:2026年10月からの見直し
TOPIX(東証株価指数)は、日本の株式市場を広く網羅するマーケット・ベンチマークで、日本経済の動向を示す代表的な経済指標としても使われています。JPXによると、TOPIXに連動する運用資産は約160兆円(2026年6月末時点)です。プライム市場とTOPIXは重なる部分が大きいものの、同じものではありません。
出典:日本取引所グループ「TOPIX(東証株価指数、TPX)」
プライム市場は「市場区分」、TOPIXは「指数」
プライム市場は会社が上場する市場区分で、TOPIXはJPX総研が算出する株価指数です。TOPIXは浮動株時価総額加重型の指数で、構成銘柄は指数のルールで選ばれます。
プライム市場の全銘柄で構成される指数としては、別に「東証プライム市場指数」があります。東証プライム市場指数は、プライム市場に上場する内国普通株式の全銘柄で構成され、2022年4月1日を基準日(基準値1,000)とする指数です。
出典:日本取引所グループ「TOPIX(東証株価指数、TPX)」
第1段階の見直し:流通株式時価総額100億円未満のウエイトを段階的に低減
市場再編の際、TOPIXは2022年4月1日時点の構成銘柄を、移行先の市場区分にかかわらず継続して採用しました。ただし流通株式時価総額100億円未満の銘柄は「段階的ウエイト低減銘柄」とされ、2022年10月末から2025年1月末まで、四半期ごと10段階で構成比率が下げられました。
この第1段階の見直しが完了したのは、2025年1月末です。継続採用の結果、2026年10月30日の初回定期入替より前のTOPIXには、プライム市場の銘柄のほか、スタンダード市場へ移った旧東証一部の銘柄も含まれています。
第2段階の見直し:2026年10月30日に初回の定期入替
第2段階の見直しでは、全市場区分(プライム・スタンダード・グロース)を母集団とし、流動性を重視した定期入替が行われます。初回の定期入替は2026年10月30日で、2回目は2028年10月、その後は毎年10月の最終営業日に入れ替える仕組みです。初回の選定結果は次のとおりです。
| 区分 | 銘柄数 | 市場区分の内訳 |
|---|---|---|
| 構成銘柄(2026年10月30日時点) | 1,669銘柄 | プライム1,512・スタンダード144・グロース13 |
| うち新規追加銘柄 | 35銘柄 | スタンダード23・グロース12 |
| うち移行措置銘柄 | 683銘柄 | プライム572・スタンダード110・グロース1 |
出典:日本取引所グループ「TOPIX等の株価指数における構成銘柄の定期入替等について」
※銘柄数は、JPX総研が公表した選定結果と構成銘柄一覧から、編集部が市場区分別に集計しました。移行措置銘柄は、ウエイトを下げながら当面は構成銘柄に含まれます。選定結果は2026年10月7日の公表日時点の情報に基づくもので、今後変動する可能性があります。
定期入替では、年間売買代金回転率と浮動株時価総額の累積比率という2つの流動性の基準が使われます。構成銘柄に残るための継続基準は「回転率0.14以上」かつ「累積比率の上位97%以内」で、新たに加わるための追加基準は「回転率0.2以上」かつ「上位96%以内」です。
継続基準を満たさなかった移行措置銘柄は、2026年10月から四半期ごと8段階でウエイトが下がり、2028年7月末に構成銘柄から除外される予定です。ただし2027年8月末を基準日とする再評価で継続基準を満たせば、ウエイトの低減は途中(移行係数0.5)で止まります。
- 投資家にとってのポイントは、プライム上場とTOPIX採用が今後さらに一致しなくなる点です。移行措置銘柄の約8割(572銘柄)はプライム市場の銘柄で、スタンダード・グロース市場からは35銘柄が新たに加わります。TOPIX連動の商品を持つ場合は、指数の中身が流動性の高い銘柄へ少しずつ入れ替わっていくことを知っておくとよいでしょう。
TOPIXと日経平均株価の算出方法や構成銘柄の違い、連動する商品を選ぶときの比較ポイントは、こちらの記事で解説しています。
あわせて、株価指数の銘柄入替(リコンスティテューション)やリバランスが投資家に与える影響を知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。
東証プライム市場をめぐる最新の制度改正(2023〜2026年)
プライム市場では、再編後も上場会社に企業価値の向上を促す制度改正が続いています。投資判断や企業の情報を読むときに知っておきたい4つの動きを取り上げます。
資本コストや株価を意識した経営の要請(2023年3月〜)
東証は2023年3月31日、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。自社の資本コストや資本収益性を把握し、改善に向けた計画を策定・開示して、投資者との対話の中で更新していくことを求める内容です。
2026年4月28日には、これまでの要請をアップデートする形で、「経営資源の適切な配分」を中心とした投資家の期待や取組みのポイントを取りまとめています。東証は、自社株買いや増配のみの対応や、一過性の対応を期待するものではないとしています。
出典:日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(プライム・スタンダード市場)」
コーポレートガバナンス・コードの改訂(2026年7月)とプライム向けの原則
コーポレートガバナンス・コードは、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を、東証がまとめたものです。各原則を実施するか、実施しない場合は理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」の形で適用されます。
2026年7月21日の改訂では、成長投資の促進や取締役会の機能強化を柱に、原則を抽象的・概念的なものに絞り、具体的な内容を新設の「解釈指針」に移した形です。上場会社は、遅くとも2027年7月末日までに、改訂版コードに関する事項を記載したコーポレート・ガバナンス報告書を提出する必要があります。改訂版のコードで、プライム市場の上場会社に求められる主な原則は次のとおりです。
| 原則 | プライム市場の上場会社 | その他の市場の上場会社 |
|---|---|---|
| 原則1-2 株主総会における権利行使 | 少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とする | - |
| 原則4-7 任意の仕組みの活用 | 指名委員会・報酬委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とし、委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等を開示 | 監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合は、独立社外取締役を主要な構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置(プライム市場の上場会社にも適用) |
| 原則4-10 独立社外取締役の数の確保 | 独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(支配株主を有する場合は、支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも過半数)選任 | 2名以上(支配株主を有する場合は3分の1以上) |
出典:金融庁・東京証券取引所「成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について」
※原則の番号は2026年7月21日版によります。グロース市場の上場会社は基本原則のみが対象です。2026年版の解釈指針では、一定のプライム市場上場会社に、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の基準に基づく有価証券報告書の作成が義務付けられていることにも触れています。
改訂の文書では、いずれはグローバルに活躍するプライム市場上場企業について、過半数の独立社外取締役が選任されるべきとの指摘があることも紹介されています。
英文開示の義務化(2025年4月〜)
プライム市場では2025年4月から、決算情報(決算短信など)と適時開示情報を、日本語と同時に英語でも開示することが義務になりました。
決算情報と適時開示情報は、全書類・全文の同時開示が望まれるものの、日本語による開示の一部または概要を英語で開示することでも可とされています。JPXの集計(2025年9月2日公表)では、猶予措置(最大1年間)を受けた企業は約7%(114社)でした。
出典:東京証券取引所「プライム市場の英文開示義務化後の状況について」
グロース市場の上場維持基準の見直し(2030年3月〜)
グロース市場では、2030年3月1日から上場維持基準の時価総額が見直されます。現行の「40億円以上(上場10年経過後から適用)」が、「100億円以上(上場5年経過後から適用)」に見直される内容です。
東証は、機関投資家の投資対象となりうる規模への早期の成長を促すことなどを目的に挙げています。プライム市場の基準ではないものの、グロース市場からプライム市場を目指す会社の動きにも関わる改正です。
出典:日本取引所グループ「グロース市場の機能発揮に向けた対応」
東証プライム市場で相談現場に多い誤解3つ
株式投資の相談では、「プライム」という言葉の印象から判断してしまうケースが少なくありません。代表的な誤解を3つ紹介します。
誤解1「プライム上場の会社なら倒産しない・株価が下がりにくい」
プライム市場の基準は規模・流動性・ガバナンスに関するもので、業績や株価を保証するものではありません。上場維持基準に利益の基準はなく、株価が下がれば流通株式時価総額の基準を下回ることもあり得ます。銘柄ごとの業績と財務を確かめることは、プライム銘柄でも欠かせない手順です。
誤解2「プライム市場の銘柄はすべてTOPIXに入っている」
2026年10月30日の定期入替で、TOPIXは全市場区分を対象に流動性の基準で銘柄を選ぶ指数になります。プライム市場の572銘柄が移行措置銘柄となってウエイトを段階的に下げられる一方、スタンダード・グロース市場から35銘柄が加わります。「プライム=TOPIX」とは限らないため、指数の構成は公表資料で確認するのが確実です。
インデックス投資の仕組みとメリット・デメリット、成功させるためのポイントは、こちらの記事が参考になるでしょう。
誤解3「東証一部がプライム、東証二部がスタンダードに名前が変わっただけ」
旧東証一部の会社が、すべてプライム市場に移ったわけではありません。東証によると、旧市場第一部からスタンダード市場に移った会社は、2023年10月20日の再選択による変更を含めて計515社で、旧一部の上場会社の24%にあたります。旧一部か旧二部かではなく、今どの市場の基準を満たしているかで区分されているのが現在の市場です。
この記事のまとめ
東証プライム市場は、一定の時価総額や流動性、高いガバナンス水準が求められる市場です。企業にとっては資金調達や対外的な信用面でのメリットがある一方、上場維持基準への適合や情報開示などの負担も伴います。また、プライム上場は企業の安全性や株価の上昇を保証するものではなく、2026年の見直しによってTOPIXの構成銘柄とも必ずしも一致しなくなります。
投資先を選ぶ際は、上場市場の区分だけに頼らず、企業の決算資料や財務指標、事業の成長性なども確認しましょう。複数の観点から企業を比較することで、自分の投資方針に合った銘柄を選びやすくなります。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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東京証券取引所(東証)
東京証券取引所とは、日本国内で最も規模が大きく、中心的な株式市場のことです。「東証(とうしょう)」という略称でも知られており、株式会社や投資信託などの金融商品が日々売買されている場所です。 上場企業は、一定の基準を満たすことで東京証券取引所で株式を公開でき、投資家はこれらの株を売買することで資産運用を行います。2022年には、従来の市場区分が見直され、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに再編されました。東京証券取引所の動向は、日本の経済全体を反映する指標としても注目されており、日経平均株価やTOPIXなどの主要な株価指数もここで算出されています。資産運用を始めるうえで、非常に基本かつ重要な取引所です。
プライム市場
プライム市場とは、東京証券取引所(東証)が2022年に市場区分を再編した際に新設された3つの市場のうち、最も上位に位置づけられる市場区分のことです。 この市場には、安定した企業経営や高いガバナンス(企業統治)、適切な情報開示が求められ、主に国内外の機関投資家が投資対象とすることを想定しています。 プライム市場に上場するためには、株主数や流通株式比率、コーポレートガバナンス体制などの厳しい基準を満たす必要があります。そのため、プライム市場に上場している企業は、信頼性や成長性が高いと評価される傾向があります。投資初心者にとっても、この市場に上場している銘柄は比較的安心して調べ始める対象として適しています。
スタンダード市場
スタンダード市場とは、東京証券取引所が設ける市場区分のひとつで、一定の規模やガバナンス体制を備えた企業が上場する市場です。 2022年の市場再編により、新たに「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3区分が導入され、それまでの「東証一部」や「二部」「JASDAQスタンダード」などが統合・整理されました。 スタンダード市場に上場する企業は、プライム市場のような高いガバナンス要件までは求められないものの、安定した事業基盤と適切な情報開示を行うことが期待されています。そのため、投資家にとっては、グロース市場よりもリスクは控えめでありながら、プライム市場ほどの成熟企業ではない「中堅・中小企業」を中心に投資できるバランスの取れた市場といえます。安定性と成長性の両方を重視する投資家にとって、選択肢のひとつとなる市場です。
グロース市場
グロース市場とは、東京証券取引所が設けている株式市場のひとつで、特に成長性の高い企業が上場するための市場区分です。主に新興企業やスタートアップが対象となっており、まだ規模は小さいものの将来の事業拡大や革新的なビジネスモデルによって、高い成長が期待される企業が多く上場しています。 グロース市場は2022年に新設され、それまでの「マザーズ市場」や「JASDAQグロース」などを再編する形で誕生しました。この市場に上場している企業は、安定性よりも成長性を重視する傾向があるため、投資家にとってはハイリスク・ハイリターンの投資先とされます。 将来性のある企業に早い段階で投資できる魅力がある一方で、業績の変動や株価の上下も大きいため、慎重な情報収集とリスク管理が求められます。
流通株式
流通株式とは、証券取引所などの市場で一般の投資家が売買できる状態になっている株式のことを指します。会社が発行した株式のうち、創業者や大株主、役員などが長期保有して売買をあまり行わない株式以外の、日々の取引で実際に流通している部分がこれに該当します。 投資家にとっては、市場で売買できる株式がどれくらいあるかを把握することで、価格の変動性や売買のしやすさ(流動性)を判断する材料になります。流通株式が少ない企業は、株価が大きく動きやすい傾向があるため、取引する際には注意が必要です。証券取引所では、この流通株式の比率が一定以上あることを上場維持の条件とする場合もあります。
流通株式時価総額
流通株式時価総額とは、企業の株式のうち、市場で実際に売買される可能性の高い「流通株式」に現在の株価をかけて算出される合計金額のことです。これは企業全体の価値を表す「時価総額」とは異なり、大株主や役員などが長期保有していて市場に出てこない株式を除いた、一般投資家が売買できる部分だけを対象としています。 この指標は、企業の株がどれだけ市場で取引されているかを把握するのに役立ちます。特に東京証券取引所では、上場区分(プライム・スタンダードなど)の維持条件として、一定以上の流通株式時価総額が必要とされており、上場企業にとっては非常に重要な基準のひとつです。投資家にとっても、流通株式時価総額が大きい企業は株式の売買がしやすく、安定した取引が期待できるとされています。







