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医療費控除を受ける際に生命保険や社会保険で補填される場合はどうなりますか?

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2025/08/02 08:50

入門編
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男性

60代

question

医療費控除の手続きを検討していますが、実際に支払った医療費の一部が生命保険の入院給付金や健康保険からの高額療養費などで補填されている場合、控除対象となる金額はどうなるのでしょうか。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

医療費控除を受ける際には、実際に支払った医療費の総額から、生命保険や社会保険などで補填された金額を差し引いた「実質的な自己負担額」をもとに控除額を計算します。控除対象となるのはこの実質負担額からさらに10万円(もしくは所得が200万円未満の場合は総所得金額の5%)を引いた金額となります。したがって、入院給付金や高額療養費の支給を受けた場合、それらは原則として差し引く必要があります。

差し引く対象となるのは、例えば生命保険からの入院給付金、手術給付金、通院給付金のように「医療費の補填を目的とした給付金」、または健康保険からの高額療養費や出産育児一時金などです。特に、給付金が未受取でも金額が確定している場合には控除計算に反映する必要があります。ただし、がん保険の診断給付金や特定疾病の一時金など、治療費と直接関係のない一時金については、差し引く必要はありません。

補填された金額が実際に支払った医療費を上回った場合、その医療費を上限に差し引き、超えた分は他の医療費からは差し引かず、無視します。また、給付金の受け取りが翌年になる場合でも、金額が確定している場合にはその年分の医療費から差し引きます。反対に、金額が確定していない場合はとりあえず差し引かずに申告し、後に給付金が確定したら修正申告や更正の請求を行う必要があります。

申告時には、「医療費控除の明細書」に給付金などの補填額を記載します。領収書の提出は不要ですが、5年間の保管義務があります。また、保険会社や健康保険組合から届く支給決定通知書も、税務署から求められることがあるため保管しておくと安心です。e-Taxを利用する場合は、医療費通知データを取り込めば自動計算されるため便利です。

よくある質問として、複数の保険から給付金を受け取った場合はすべて合算して差し引く必要があります。また、給付金の振込手数料は医療費にも補填金にも該当しないため、控除計算には含めません。還付を受けた後に新たな給付金を受け取った場合は、申告の修正が必要です。なお、セルフメディケーション税制との併用はできず、どちらか一方を選んで適用します。

具体的なケースで説明すると、年間の医療費が60万円で、生命保険から12万円、高額療養費として8万円を受け取った場合、差し引き後の実質負担額は40万円になります。ここからさらに10万円を差し引いた30万円が控除対象となり、所得税率が10%の方であれば約3万円の還付が期待できます。

以上のように、医療費控除を適正に受けるためには、補填金の性質や支給時期を正しく把握し、適切に申告書へ反映させることが重要です。見落としがあると控除額が変わってしまうため、通知書類は整理して保管し、必要に応じて修正申告を行えるよう備えておきましょう。

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医療費控除

医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1ヶ月間に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超過分については後から払い戻しを受けられる公的な医療費助成制度です。日本の公的医療保険制度では、治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者等は1〜2割)とされていますが、重い病気や手術、長期入院などで医療費がかさむと、家計への影響が大きくなります。高額療養費制度は、そうした経済的負担を軽減するために設けられており、「所得区分に応じた月ごとの上限額」を超える分について、申請によって払い戻しを受けることができます。 さらに、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示すれば、病院の窓口で支払う額自体を、最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の申請を待たずに、現金の一時的な負担を大きく減らすことができます。 この制度の上限額は、70歳未満・70歳以上で異なり、さらに被保険者の所得区分(年収目安)に応じて細かく設定されています。例えば、年収約370万〜770万円程度の方(一般的な所得区分)であれば、1ヶ月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となり、想定以上の医療費負担が発生しても、上限を超えた分は保険者から還付されます。 資産運用の観点では、この制度の存在によって、突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、「民間医療保険や緊急時資金の準備」を過度に厚くする必要がない可能性があります。 つまり、医療費リスクへの備えを公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考える際、この制度の適用範囲を正しく理解しておくことが、保険の選択や生活防衛資金の適切な設定に役立ちます。特に、高所得者層や自営業者は制度上の上限額が比較的高めに設定されている点や、支給までにタイムラグがあることも踏まえ、制度と現金の備えの両面から検討することが重要です。

入院給付金

入院給付金とは、病気やけがで入院した際に、入院日数に応じて保険会社から受け取れる給付金のことです。一般的には「1日あたり○○円」といった日額で設定されており、公的医療保険の自己負担分や差額ベッド代、生活費の補填などに活用できます。多くの保険商品では、支払開始までの免責日数や1回の入院、通算での支払限度日数が定められているため、保障を選ぶ際はこれらの条件を確認することが大切です。

修正申告

修正申告とは、すでに提出した確定申告書に誤りがあり、追加で納めるべき税額が生じたと納税者が自ら気付いた場合に、その不足分を納付するために行う手続きです。 提出後に申告漏れの所得が見つかったり、控除の適用条件を満たしていなかったことが判明したりした際に用いられます。原則として法定申告期限から5年以内に行う必要があり、期限を過ぎると延滞税や過少申告加算税が加算される場合があります。 資産運用では、株式や投資信託の売却益の計上漏れ、外国税額控除の計算ミスなどが理由で修正申告が発生することがあるため、取引履歴や証券会社の年間取引報告書をきちんと確認し、正確な申告を心掛けることが大切です。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制とは、健康維持や病気の予防を自ら行う人を後押しするための所得控除制度で、指定されたOTC医薬品(スイッチOTC等)を年間1万2千円を超えて購入した場合、その超過額(上限8万8千円)を総所得金額から差し引ける仕組みです。 通常の医療費控除とは別枠で選択適用となり、医療費が少なくても薬局での買い物が多い家庭でも節税効果を得やすいのが特徴です。ただし、確定申告の際にはレシートや購入明細の保管に加え、当年中に定期健康診断や予防接種などの予防医療を受けたことを証明する書類も必要になるため、日頃から書類管理を意識することが大切です。

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