がん保険と医療保険に両方加入する必要はありますか?
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2025/09/03 08:42
男性
30代
医療費の備えとして医療保険に加入する人は多いですが、医療保険に加えてがん保険にも加入する必要はありますか?それとも、どちらか一方で十分でしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
がん保険と医療保険は保障の対象や給付内容が異なります。医療保険は入院や手術、先進医療など幅広い疾病やけがに対応し、一般的な医療費リスクに備えることができます。
一方、がん保険はがんに特化しており、診断給付金や通院治療への手厚い給付が特徴です。特に高額になりやすい抗がん剤治療や放射線治療の長期化に備える点で有効です。
両方に加入する必要があるかは、生活状況やリスクに対する考え方によって異なります。公的医療保険制度で高額療養費制度があるため、最低限の自己負担は一定額に抑えられます。しかし、収入減少や長期治療による生活費への影響も考慮すべきです。
医療保険だけで最低限の備えは可能ですが、がんへの不安が強い場合や家族歴がある場合はがん保険を追加する意義があります。
ただし、重複して加入すると保険料負担が増え、実際には必要以上の保障になる場合があります。自身のリスク認識や経済的余裕を踏まえ、優先順位を整理したうえで選択することが重要です。
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がん保険
がんと診断されたときや治療を受けたときに給付金が支払われる民間保険です。公的医療保険ではカバーしきれない差額ベッド代や先進医療の自己負担分、就業不能による収入減少など、治療以外の家計リスクも幅広く備えられる点が特徴です。通常は「診断一時金」「入院給付金」「通院給付金」など複数の給付項目がセットされており、加入時の年齢・性別・保障内容によって保険料が決まります。 更新型と終身型があり、更新型は一定年齢で保険料が上がる一方、終身型は加入時の保険料が一生続くため、長期的な負担の見通しを立てることが大切です。がん治療は医療技術の進歩で入院期間が短くなり通院や薬物療法が中心になる傾向があるため、保障内容が現在の治療実態に合っているかを確認し、必要に応じて保険の見直しを行うと安心です。
医療保険
医療保険とは、病気やケガによる入院・手術などの医療費を補償するための保険です。公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、日本では健康保険や国民健康保険が公的制度として提供されています。一方、民間医療保険は、公的保険でカバーしきれない自己負担分や特定の治療費を補填するために活用されます。契約内容によって給付金の額や支払い条件が異なり、将来の医療費負担を軽減するために重要な役割を果たします。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1か月に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超過分が払い戻される公的な医療費助成制度です。日本では公的医療保険により治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者などは1〜2割)に抑えられていますが、手術や長期入院などで医療費が高額になると家計への影響は大きくなります。こうした経済的負担を軽減するために設けられているのが、この高額療養費制度です。 上限額は、70歳未満と70歳以上で異なり、さらに所得区分(年収の目安)によって細かく設定されています。たとえば、年収約370万〜770万円の方(一般的な所得層)では、1か月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となります。これを超えた分は、後から申請によって保険者から払い戻しを受けることができます。 また、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得し、医療機関に提示しておけば、病院の窓口で支払う金額そのものを最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の払い戻しを待たずに現金の一時的な負担を軽減できます。 同じ月に複数の医療機関を受診した場合や、同一世帯で同じ医療保険に加入している家族がいる場合には、世帯単位で医療費を合算して上限額を適用することもできます。さらに、直近12か月以内に3回以上この制度を利用して上限を超えた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、上限額がさらに引き下げられる仕組みもあります。なお、払い戻し申請から実際の支給までには1〜2か月程度かかるのが一般的です。 資産運用の観点から見ると、この制度によって突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、民間の医療保険や緊急時資金を過剰に積み上げる必要がない場合もあります。医療費リスクへの備えは、公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考えることが大切です。特に高所得者や自営業者の場合は、上限額が比較的高めに設定されている点や支給までのタイムラグを踏まえ、制度と現金の両面から備えておくと安心です。
公的医療保険制度
公的医療保険制度とは、すべての国民が安心して医療を受けられるように、国が法律で定めた仕組みに基づいて提供される医療保険の制度です。日本では「国民皆保険(こくみんかいほけん)」と呼ばれ、国民全員がいずれかの医療保険に加入することが義務付けられています。 主な保険には、会社員などが加入する「健康保険」、自営業者や無職の人などが加入する「国民健康保険」、75歳以上の高齢者向けの「後期高齢者医療制度」などがあります。この制度により、医療費の一部(たとえば3割)を自己負担するだけで、必要な医療サービスを受けることができます。公的医療保険制度は、社会全体で医療費を支え合う「相互扶助」の仕組みであり、生活の安心を支える基本的な社会保障のひとつです。
診断給付金
診断給付金とは、がん保険などの医療関連保険で、医師から病気や特定の状態と診断された時点で一時金として受け取れる給付金です。治療が始まる前後のタイミングでまとまった資金が支払われるため、入院費や通院費だけでなく、仕事を休んだ際の生活費や治療方法の選択肢を広げる目的にも利用できます。 給付を受けるための条件や回数制限、再支給までの待機期間は保険商品によって異なるため、加入前に約款やパンフレットで細かく確認することが大切です。
手術給付金
手術給付金とは、病気やけがで医師の管理下において所定の手術を受けた場合に、医療保険やがん保険などから一時金として受け取れる給付金のことです。手術の種類や入院の有無、保険商品ごとに定められた給付倍率によって支払額が決まり、入院給付金の日額に10倍・20倍を掛ける方式や、あらかじめ定額を設定する方式などがあります。 これにより、高額になりやすい手術関連費用や術後の生活費を早期に確保できるため、家計への負担軽減に役立ちます。ただし、対象となる手術の範囲や給付回数、同一部位の再手術に関する待機期間などは保険ごとに条件が異なるため、約款を確認したうえで保障内容を選ぶことが大切です。




