Loading...

MENU

投資の知恵袋>

自社で新株発行を行う際に注意すべき点は何ですか?

回答受付中

0

2025/04/28 12:20


男性

60代

question

企業の資金調達手段として株式発行を検討していますが、既存株主への影響や市場の反応が気になります。新株発行を経営判断として実行する際、どのような点を重視して慎重に進めるべきでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

新株発行は企業成長の推進力になり得る一方で、希薄化と株価変動のリスクを伴うため、資本効率と市場信頼を両立する設計が欠かせません。まず、調達額と資金使途を中期経営計画とリンクさせ、ROICやEPSへのインパクトを数値で示すことで、「株主利益を上回る成長投資」であることを説得的に説明します。

次に、希薄化率・ディスカウント幅・発行時期を複数シナリオで試算し、市況やバリュエーションとの整合性を確認しながら株主価値の毀損を最小化します。さらに、公募増資・第三者割当・優先株・転換社債など各手法がもたらすガバナンスや支配権、財務指標(自己資本比率やD/Eレシオ)への影響を比較検討し、資本コストの低減と柔軟な資金調達を両立できる構成にします。加えて、会社法・適時開示規則・インサイダー取引規制を順守する内部統制と、発行前後を通じた一貫したIR活動により、市場の理解と信頼を維持します。最後に、銀行借入や社債、ハイブリッド証券など代替手段とのコスト比較を行い、資本ストラクチャー全体で最適な調達ミックスを設計する姿勢が、株主・投資家から評価される重要なポイントです。

佐々木 辰さんに相談する
コンシェルジュ編集部に相談CTA

関連記事

株式希薄化とは?仕組み・希薄化率の計算・増資の影響と投資家の対応策

株式希薄化とは?仕組み・希薄化率の計算・増資の影響と投資家の対応策

2025.04.28

難易度:

国内株式キャピタルゲインリスク管理株主優待株式

関連質問

関連する専門用語

新株発行

新株発行とは、企業が新たに株式を発行して資金を調達する行為です。通常、既存株主への影響を最小限に抑えるために、時価近くの価格で発行されます。発行された株式は既存株主の持ち分を希薄化させる可能性がありますが、調達した資金は事業拡大や債務返済などに活用されます。

希薄化(ダイリューション)

希薄化(ダイリューション)とは、企業が新株発行やストックオプションの行使、転換社債の株式転換などを行った結果、発行済株式数が増加し、既存株主が保有する株式の「持ち分比率」や1株当たり指標(EPS・BPS・配当など)が相対的に低下する現象を指します。たとえば、発行済株式が1,000万株の会社で100万株を追加発行すると、株数は1,100万株に増え、従来10%を保有していた株主の持株比率はおよそ9.1%へ下がります。この比率低下だけでなく、利益や純資産が同じまま株数だけ増えるため、1株当たり利益(EPS)や1株当たり純資産(BPS)も薄まる点が既存株主にとっての実質的な影響です。 希薄化は、資金調達やM&A対価の支払いなど経営上の目的で避けられない場合がありますが、次のような視点で注意が必要です。 発行規模と発行価格 既存株主に与える希薄化インパクトは「何株・いくらで」発行するかで大きく変わります。発行株数が多い、あるいは発行価格が市場より著しく低い場合は希薄化が急激に進みやすいです。 資金使途とリターン 調達資金が成長投資や財務改善に使われ、中長期で収益拡大が見込めるなら、希薄化を上回る株価上昇につながる可能性があります。逆に、明確なリターンが見込めない増資は株価を長期的に押し下げることがあります。 潜在株式の規模 ストックオプションや転換社債など、まだ株式化していない潜在株式も将来の希薄化要因です。有価証券報告書の「潜在株式数」や平均行使価格を把握し、完全希薄化後EPSでバリュエーションを確認することが重要です。 ロックアップ・売却制限 発行先にロックアップ(一定期間の売却禁止)が設定されているかで、実際に市場へ売り圧力が出るタイミングが異なります。解除時期が近いと、株価の上値を抑えるオーバーハング要因になります。 まとめると、希薄化は発行済株式数の増加に伴う既存株主の持ち分低下と1株当たり価値の減少を意味します。投資判断を行う際は、新株発行の規模・価格・資金使途に加え、潜在株式の存在やロックアップ条件まで確認し、将来のリターンとリスクを総合的に見極めることが欠かせません。

ROIC(Return On Invested Capital/投下資本利益率)

ROIC(Return On Invested Capital/投下資本利益率)とは、企業が投資家(株主)や債権者(銀行など)から調達した資本を使って、どれだけ効率的に利益を生み出しているかを測る財務指標です。計算式は「ROIC = 税引後営業利益 ÷ 投下資本(有利子負債+株主資本)」で求められます。 ROICが高いほど、企業が投資資本を有効に活用し、高い収益を上げていることを示します。特に、ROICが資本コスト(WACC)を上回っている場合、その企業は経済的価値を創出していると判断されます。投資家にとっては、企業の成長性や経営の効率性を評価する重要な指標であり、長期的な投資判断に活用されます。

EPS(1株あたりの利益)

EPS(Earnings Per Share)とは、企業を評価する際に使われる指標のひとつで、企業が稼いだ純利益を発行済み株式数で割った値です。1株当たりの利益がどれだけあるのかを示します。 EPS = 当期純利益÷発行済株式数 EPSは株式投資の重要な指標であり、企業の収益性を測る基準として活用されます。EPSが高いほど、投資家にとって魅力的な企業とされることが多いです。

バリュエーション

バリュエーションとは、企業や資産の「価値」を評価することを意味します。株式投資の場面では、その会社がどれくらいの価値を持っているかを数値的に判断するために使われます。たとえば、株価が高すぎるのか安すぎるのかを見極めるためには、その会社のバリュエーションを知ることが重要です。利益や売上、資産の状況などをもとに、その会社の適正な価値を算出し、現在の株価と比べて割安か割高かを判断します。投資の判断材料として非常に大切な考え方です。

転換社債(CB)

転換社債(CB)は「株価が上がれば株式に転換して値上がり益を狙い、上がらなければ債券として利息と元本を受け取る」という二段構えのリターンを得られるため、個人投資家にとっては株式投資と社債投資の“いいとこ取り”に近い商品です。発行時に設定される転換価格を起点に、株価がそれを上回るか下回るかで取るべき戦略が大きく変わる点が最大の特徴です。 一方、チープデットCBは同じ転換社債でもクーポン(金利)が極端に低い“株式オプション色の濃い”派生型です。利息収入がほぼ期待できないぶん、投資リターンのほぼすべてが株式転換後の値上がり益に依存します。株価が転換価格を超えた瞬間に大量転換が進みやすく、既存株主の持分が急速に希薄化し、株価の上値も抑え込まれやすい構造になっています。 個人投資家が転換社債を検討する際は、(1)転換価格と現在株価の乖離、(2)クーポン水準、(3)潜在株式数の多寡──の3点を必ず確認してください。標準的なCBはクーポンと転換益の両方がリターン源になりますが、チープデットCBは実質的に“株式オプション”に近く、株価が転換価格に届かなければリターンがほとんど得られません。したがって、高い株価上昇が見込める局面でこそ魅力を発揮しますが、思惑が外れた場合の機会損失も大きくなります。希薄化リスクとリターン構造の違いを踏まえ、自身のリスク許容度と投資目的に応じて採否を判断することが不可欠です。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連質問

関連記事

株式希薄化とは?仕組み・希薄化率の計算・増資の影響と投資家の対応策

株式希薄化とは?仕組み・希薄化率の計算・増資の影響と投資家の対応策

2025.04.28

難易度:

国内株式キャピタルゲインリスク管理株主優待株式

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.