70歳以上の人で厚生年金の支給が停止されるのはどんな場合ですか?
70歳以上の人で厚生年金の支給が停止されるのはどんな場合ですか?
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2026/01/29 12:15
男性
60代
厚生年金は70歳を超えると保険料の負担はなくなると聞きましたが、支給が停止されるケースがあるのか分からず不安です。70歳以上でも在職老齢年金の仕組みが関係するのか、どのような条件で支給が一部または全部停止されるのか教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
結論から言うと、70歳を超えても在職老齢年金の仕組みは関係し、働きながら受け取る老齢厚生年金は、収入によって一部または全部が支給停止されることがあります。70歳になると厚生年金の被保険者ではなくなるため、保険料の負担はなくなりますが、「年金が必ず全額もらえる」という意味ではありません。
70歳以降も会社などで働く人は「70歳以上被用者」として扱われ、在職老齢年金の調整対象になります。この制度では、老齢厚生年金の月額(基本月額)と、給与や賞与を月額換算した報酬の合計が、国が定める基準額を超えると、超えた分に応じて年金が減額されます。対象となるのは老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は減額や停止の対象にはなりません。
支給停止は「年金が止まる」というより、実際には減額されるケースが多いのが実情です。ただし、賃金が高く、計算上の停止額が老齢厚生年金の月額を上回る場合には、老齢厚生年金が全額支給停止になることもあります。つまり、70歳以上であっても、働き方や収入次第では年金額が調整される可能性がある点に注意が必要です。
自分が支給停止に該当するかどうかは、老齢厚生年金の月額と、給与・賞与を含めた月収換算額を合計し、その年度の基準額を超えるかで判断します。不安な場合は、年金事務所で個別に確認すると、具体的な影響を把握できます。
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在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)とは、年金を受け取りながら働く人の年金額を、賃金とのバランスをとるために一時的に減額または支給停止する制度です。高齢期の就労を促進しつつ、年金財政の公平性を保つことを目的としています。 対象となるのは、老齢厚生年金の受給権があり、厚生年金保険の適用事業所で報酬を受け取っている人です。具体的には、60歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が勤務を続けている場合に適用されます。70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなりますが、報酬を得ている限り、この在職老齢年金の支給停止の仕組みは引き続き適用されます。 支給停止の判定は、年金(月額)と給与・賞与の合計額が一定の基準を超えるかどうかで行われます。年金の支給額を算定する際に用いられる「基本月額」と、給与や賞与から算出される「総報酬月額相当額」を合計し、基準額(支給停止調整開始額)を上回る場合、超過分の2分の1が年金から差し引かれます。たとえば、年金10万円、給与50万円で合計60万円の場合、基準額51万円を9万円超えるため、その半分の4.5万円が支給停止となり、受け取れる年金は5.5万円になります。 基準額は制度改正により段階的に引き上げられています。2024年度までは47万円でしたが、2025年度(令和7年度)からは51万円に引き上げられました。さらに、2026年4月(令和8年4月)からは62万円に引き上げられる予定です。これにより、高齢になっても働き続ける人がより多くの年金を受け取れるようになります。 在職老齢年金には、60〜64歳を対象とする「低在老」と、65歳以上を対象とする「高在老」があります。60〜64歳の場合の基準額は28万円と低く設定されていますが、65歳以上は51万円(現行)と緩やかです。なお、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている場合などは、年金額が追加で調整されることもあります。 在職老齢年金は「働く高齢者の所得と年金の調整」という考え方に基づく仕組みであり、年金制度の公平性と持続可能性を保ちながら、就労意欲を支える制度として位置づけられています。今後も高齢者の就労促進と制度の簡素化を目的とした見直しが進む見通しです。
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