インフレ対策として金以外に注目すべきコモディティは?
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2025/04/17 11:35
男性
30代
インフレ耐性という観点で、金以外に注目すべきコモディティ資産にはどのような選択肢がありますか。成長性やテーマ性のある分野があれば、併せてご教示ください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
インフレ対策として金に次いで注目されるコモディティには、工業用金属と農産物があります。特に銅やニッケル、アルミニウムといった非鉄金属は、電気自動車や再生可能エネルギーといった脱炭素社会の実現に不可欠な素材であり、長期的に需要が底堅く推移すると見込まれています。
価格は景気の影響を受けやすいものの、供給制約や地政学リスクによってインフレ圧力が高まる局面では上昇する傾向があります。一方、トウモロコシや大豆、小麦といった農産物は、気候変動や地域紛争、人口増加など多様な要因に左右され、価格が不安定である反面、株式や債券との相関が低く、ポートフォリオの分散先として有効です。
これらの資産には、ETFや先物連動型ファンドを通じてアクセスできますが、ボラティリティやロールコストなど商品ごとの特性に注意が必要です。成長性とインフレ耐性の両方を兼ね備えた投資先を選定するには、市場環境やご自身の資産配分方針との整合性を踏まえたうえで、専門家のアドバイスを受けながら検討されることをおすすめします。
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コモディティ
コモディティは、世界で標準化された形で売買される原材料・一次産品の総称で、貴金属(金・銀・プラチナ)、エネルギー資源(原油・天然ガス)、農産物(小麦・トウモロコシ・大豆)、産業用金属(銅・アルミニウム)などに分類される。 投資経路は大きく四つある。①現物保有(地金やコイン)、②先物取引、③商品指数連動型ETF・ETN、④コモディティファンド。実務では先物を組み込んだETFが主流で、代表的な指数にブルームバーグ・コモディティ・インデックスや S\&P GSCI がある。 価格は需給バランス、在庫統計、OPEC政策、地政学リスク、天候、為替など多様な要因で変動する。先物運用では限月乗り換え時のロールコスト(コンタンゴ)や信託報酬がリターンを圧迫し、現物保有では保管・保険料、税制(例:金地金の譲渡益は総合課税)が影響するため、コスト構造の把握が欠かせない。 コモディティは株式・債券との相関が相対的に低く、インフレ率と連動しやすいことから、分散投資とインフレヘッジに有効とされる。一方で短期的な価格変動が大きく、資産配分比率や取引手段を目的に合わせて設計し、損失許容度に応じたリスク管理を徹底することが重要となる。
地政学リスク
地政学リスクとは、国家間の対立、戦争、政情不安、貿易摩擦など、政治的な要因によって金融市場や経済に影響を与えるリスクのことを指します。たとえば、中東の紛争や米中関係の悪化、ロシアによるウクライナ侵攻などが該当します。こうしたリスクが高まると、株式市場が不安定になり、安全資産とされる金(ゴールド)や国債に資金が流れる傾向があります。原油価格や為替相場にも影響を及ぼすことがあり、資産運用を行う際には、こうした地政学的な動きにも注意を払うことが重要です。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。
ロールコスト
ロールコストとは、主に先物取引などで、保有しているポジションの期限が近づいたときに、新しい契約に乗り換える際に発生するコストのことを指します。 具体的には、現在の先物価格と次の期日の先物価格との間に差があるとき、その差が損失となる場合に「ロールコスト」と呼ばれます。 たとえば、次の契約の価格が今より高ければ、乗り換えることで追加の支出が発生し、それがコストになります。投資信託やETFなどで先物を利用している商品では、知らないうちにこのコストが発生していることがあります。 特に、原油や株価指数などの商品先物に連動する金融商品を長期で保有する場合は、ロールコストの影響で期待よりも運用成果が伸びないことがあるため、投資初心者の方も知っておくと役立つ重要な概念です。