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NISA口座を相続する場合の注意点はありますか?

NISA口座を相続する場合の注意点はありますか?

回答受付中

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2025/09/19 09:02


男性

50代

question

これからNISA口座を相続する予定です。NISA口座を相続する場合にどのような点に注意すべきか教えて下さい。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

NISA口座は相続すると非課税が終了し、資産は相続人の特定口座または一般口座に移されます。NISAの非課税枠や商品をそのまま引き継ぐことはできません。

死亡日までの含み益は非課税ですが、死亡日以降の値上がり益や配当は課税対象になります。含み損はなかったものとされ、損益通算はできません。

手続きとしては、まず金融機関に連絡し、残高証明書を取り寄せます。その後「非課税口座開設者死亡届出書」を提出し、戸籍や印鑑証明、遺産分割協議書などを揃える必要があります。資産を受け入れるために相続人名義の特定口座を準備しておくとスムーズです。

相続税の対象にもなります。評価は死亡日の時価や月平均株価で行い、申告期限は死亡を知った日の翌日から10か月以内です。

注意点として、届出前に配当が出ると課税対象になるため、早めの手続きが重要です。また、相続人のNISAに資産を移せると誤解しやすいので要注意です。

相続後は、特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば税務処理が簡単になります。取得価額は死亡日の時価にリセットされるため、その後の売却益や配当については通常の課税ルールに従って管理してください。

最後に、相続後は保有銘柄がご自身の投資目的やリスク許容度に合っているかを再確認し、分散や現金化も含めて運用方針を検討することが大切です。

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関連する専門用語

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

特定口座

特定口座とは、投資家の税金計算を簡便にするための口座形式です。証券会社が運用益や損益を自動計算し、年間取引報告書を発行します。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、「源泉徴収あり」を選択すれば、税金が取引時点で自動的に納付されます。これにより、確定申告が不要になるため、多くの投資家に利用されています。ただし、損益通算や損失の繰越控除を行う場合は確定申告が必要です。

一般口座

一般口座とは、証券会社で株式や投資信託などの金融商品を取引する際に利用する口座の一つで、税金の計算や納付を投資家自身が行う必要がある口座です。取引によって得られた利益や損失については、年間の取引履歴をもとに自分で損益を計算し、確定申告を通じて税務署に申告することになります。 証券会社による税務処理の代行がないため、特定口座に比べて手間がかかりますが、自由な取引記録管理ができるというメリットもあります。投資初心者の場合は、損益通算や源泉徴収の仕組みを自分で理解・対応する必要があるため、一般口座を利用する際には注意が必要です。

損益通算

投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。

遺産分割協議書

遺産分割協議書とは、相続人全員が話し合って決めた遺産の分け方を文書にまとめたものです。被相続人が遺言を残していない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合、相続人同士でどの財産を誰が受け取るかを決める必要があります。 その合意内容を正式に記録し、全員が署名・押印することで作成されるのが遺産分割協議書です。この書類は、相続した不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、実際の手続きを進める際に必須となることが多いため、非常に重要な役割を持ちます。作成の際は、相続人全員の同意が必要で、1人でも欠けていると無効になってしまう点に注意が必要です。資産運用においても、円満な財産の承継や手続きのスムーズ化に役立つ書類です。

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

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