退職金と確定拠出年金は両方もらえるのでしょうか?注意点があれば教えて下さい
退職金と確定拠出年金は両方もらえるのでしょうか?注意点があれば教えて下さい
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2025/12/24 09:59
男性
60代
会社を退職するにあたって、退職金とは別に企業型DCに加入していました。どちらも受け取れると聞いたのですが、同時にもらえるのか、税金の扱いや受け取り方に違いがあるのかよく分かっていません。両方の関係性や注意点を教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
退職金と企業型DC(確定拠出年金)は別の制度であり、要件を満たせばどちらも受け取ることができます。ただし、重要なのは「受け取れるかどうか」ではなく、「いつ・どの方法で受け取るかによって税金が大きく変わる」という点です。
退職金は、会社を退職した際に支給され、税区分は退職所得となります。退職所得には大きな退職所得控除が設けられており、勤続年数が長いほど控除額も増えるため、実際に課税される金額は想像より小さくなるケースが多いのが特徴です。
一方、企業型DCは退職後に受け取り方を自分で選ぶ仕組みになっています。一時金として受け取る場合は退職所得、年金形式で分割して受け取る場合は雑所得として扱われます。どちらが有利かは、他に受け取る退職金の有無や金額、将来の公的年金収入、退職後の働き方などによって変わります。特に一時金で受け取る場合、退職金と同じ退職所得控除の枠を使うことが多く、同じ年にまとめて受け取るか、時期をずらすかによって手取り額に差が出ることがあります。
また、企業型DCは退職後に何も手続きをしないまま放置すると、自動移換となり、運用されないまま手数料だけが差し引かれるなど不利になる可能性があります。受け取り方法の選択には期限が設けられていることも多く、案内書類を確認したうえで早めに判断することが重要です。
最終的には、退職金と企業型DCの金額、退職後の働き方、将来の公的年金収入などを総合的に考え、受け取り方を設計することが欠かせません。条件が整理できれば、税金を含めた手取り額の比較や、より有利な受け取り方のシミュレーションも可能です。退職金とDCの扱いに不安がある場合は、投資のコンシェルジュの無料相談を活用すると、ご自身の状況に合わせた整理と判断がしやすくなります。
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企業型確定拠出年金 (企業型DC)
「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。
確定拠出年金(DC)
確定拠出年金(DC)は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。
退職所得
退職所得とは、会社などを退職した際に受け取る退職金に対して発生する所得のことを指します。これは給与所得とは区別され、税法上、特別な扱いがされています。退職金は、長年の勤労に対する労いの意味を持つため、課税される際には「退職所得控除」という優遇措置が設けられています。 さらに、退職所得として課税される金額は、通常の給与よりも軽い税率が適用される「1/2課税」という制度があり、これによって税負担が軽減されます。役員が受け取る退職金についても原則として退職所得となりますが、形式的に退職して実態が伴わない場合や、過大とみなされる金額については税務上認められないこともあります。 資産運用や老後の生活設計において、退職金がどのように課税されるのかを知っておくことは、手取り額を見積もる上で非常に重要です。
退職所得控除
退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。
雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
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