三菱UFJのETF「MAXIS」とは?主要ラインナップや特徴・eMAXIS Slimとの違いや活用法を徹底解説

三菱UFJのETF「MAXIS」とは?主要ラインナップや特徴・eMAXIS Slimとの違いや活用法を徹底解説
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公開:
2025.11.07
更新:
2025.11.07
ETFのMAXISが気になるけれど、投資信託との違いや選び方、新NISAではどう使うのがよいか…最初に迷うのはここです。MAXISはリアルタイムに売買でき、分配金を受け取りやすい一方、指値やスプレッド、iNAV、為替、流動性など見落としがちな注意点もあります。本記事では、eMAXIS Slimとの使い分け、最低購入額や分配の受け取り方、つみたて投資枠と成長投資枠の役割分担まで、数字に頼らず基礎からやさしく整理します。さらに、どの指数を軸に据えるかをモデル例で示し、今日からの一歩を後押しします。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、MAXISの基本と強みがつかめます。リアルタイム売買、分配金の受け取り、コストの考え方、取引で押さえるべき勘所まで理解が深まります。そのうえで、つみたてに強いeMAXIS Slimとの使い分け、新NISAの成長投資枠の活用、他社ETFとの違いであるコストや流動性や分配頻度や売買単位の見方が整理できます。指値やiNAV、為替や価格乖離への備えも学べ、最初の一本の選び方と再投資や最低購入額の考え方まで道筋が見えます。
目次
三菱UFJのETF「MAXIS」とは?投資信託「eMAXIS Slim」との違いと特徴
MAXISシリーズの全体像:全世界株式・米国株式(S&P500)・日本株(TOPIX)が中心
投資信託「eMAXIS Slim」とETF「MAXIS」の5つの違い
米国株式(S&P500, NASDAQ100, NYダウ):世界経済を牽引する米国株に集中
日本株式(TOPIX・日経225):身近な日本市場全体の値動きを捉える
先進国株式(MSCIコクサイ):日本を除く先進国に投資したいときに
J-REIT ETF:株式とは違う値動きの「不動産」を組入れる
アクティブETF(高配当日本株):配当(インカム)収入を重視するなら
新NISAでMAXIS ETFを活用する方法:成長投資枠が中心
NISA成長投資枠で買うべきMAXIS ETFのおすすめ組み合わせ
つみたて投資枠はどうする?投資信託(eMAXIS Slim)との使い分けがカギ
MAXIS ETFはどこで買う?主要ネット証券(SBI・楽天証券など)を比較
投資前に知っておきたいMAXIS ETFの3つのリスクと対策
1.基準価額との価格乖離リスク:iNAVを見て割高・割安を判断
3.流動性リスク:出来高が少ない銘柄は希望価格で売買しにくい
MAXIS ETFで資産運用する場合の3つモデルポートフォリオ
MAXIS(ETF)とeMAXIS Slim(投資信託)は結局どっちがおすすめ?
「MAXIS」がおすすめな人:リアルタイムで売買したい・分配金が欲しい
「eMAXIS Slim」がおすすめな人:手間なく自動で積立・複利運用したい
他社ETFとの横比較(iシェアーズ/iFreeETF/NEXT FUNDS)
S&P500(米国株コア):コスト最安同士での実務差を見極める
三菱UFJのETF「MAXIS」とは?投資信託「eMAXIS Slim」との違いと特徴
MAXISは三菱UFJアセットマネジメントが運用するETFシリーズです。株式のようにリアルタイムで売買でき、人気の投資信託「eMAXIS Slim」とは取引方法や分配金の方針が異なります。本章では、ETFの基本的な仕組みからMAXISシリーズの全体像までを分かりやすく解説します。
ETFの基本:株式のようにリアルタイムで売買できる投資信託
ETF(上場投資信託)は、投資信託の一種ですが、取引の仕組みが異なります。一般的な投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されますが、ETFは証券取引所に上場しており、株式と同じようにリアルタイムで変動する市場価格で売買できます。そのため、取引時間中であれば、刻々と変わる価格を見ながら希望の価格で売買(指値注文)することも可能です。
また、換金までの期間も異なります。投資信託は申込みから受け渡しまで通常4〜6営業日かかりますが、ETFは株式と同様に約定の2営業日後です。
コスト面では、ETFは同種の投資信託に比べて信託報酬(運用管理費用)が低い傾向にあります。ただし、取引時には株式と同じく証券会社への売買手数料や、買値と売値の差であるスプレッドがコストになる点には注意が必要です。
MAXISシリーズの全体像:全世界株式・米国株式(S&P500)・日本株(TOPIX)が中心
MAXIS(マクシス)は、三菱UFJアセットマネジメントが2010年から運用するETFシリーズです。「投資信託の分散性」と「株式のリアルタイム性」の“良いとこ取り”をコンセプトに、幅広い資産クラスの商品を低コストで提供しています。
ラインナップの中心は、全世界株式、米国株式(S&P500)、日本株式(TOPIX)といった主要な株価指数に連動するETFです。これらは長期的な資産形成の核となる商品として設計されています。
近年では、信託報酬が年率0.09%前後という極めて低い水準の海外株式ETFを投入するなど、コスト競争力も高めています。さらに、特定のテーマ(例:高配当株)に沿ってアクティブに運用するETFも展開しており、多様化する投資家のニーズに応える商品群と言えます。
投資信託「eMAXIS Slim」とETF「MAXIS」の5つの違い
同じ運用会社が提供する人気の投資信託「eMAXIS Slim」シリーズと、ETFである「MAXIS」シリーズ。両者の最大の違いは、証券取引所に「上場」しているか「非上場」かという点にあり、そこから以下の5つの違いが生まれます。
インデックスファンドとETFの違いについては以下Q&Aでも説明しています。
違い1:取引方法と場所
MAXISは証券会社を通じてリアルタイムの市場価格で取引します。一方、eMAXIS Slimは証券会社や銀行などで1日1回の基準価額で取引されます。
違い2:自動積立のしやすさ
eMAXIS Slimは多くの金融機関で毎月の自動積立が容易に設定できます。MAXISの自動積立は一部の証券会社のサービスに限られます。
違い3:iDeCo(個人型確定拠出年金)での利用
iDeCoで投資できるのは投資信託のみのため、eMAXIS Slimは対象ですがMAXISは対象外です。
違い4:分配金の方針
eMAXIS Slimは分配金を出さずにファンド内で自動的に再投資するため、複利効果を効率的に得られます。一方、MAXISは決算時に得られた利益を分配金として投資家に支払うのが基本です。
違い5:運用の中身
連動を目指す指数が同じであれば、両者の運用内容やパフォーマンスは非常に近くなります。ただし、eMAXIS Slimは利益が自動で再投資され基準価額が上がるのに対し、MAXISは分配金が支払われるため、その分基準価額が下がります。
MAXIS ETFの主要ラインナップとおすすめの選び方
MAXISシリーズには、国内外の株式や不動産投資信託(REIT)など、多様な資産に投資するETFが揃っています。資産形成の核となるものから、特定の目的を持つものまで様々です。ここでは代表的な商品を資産クラスごとに紹介しますので、ご自身の投資方針に合ったETFを選ぶ参考にしてください。
全世界株式(オルカン):これ1本で世界中に分散投資
| 商品名(コード) | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信【2559】 | 0.0858% | ○(成長枠) | コア | 日本を含む先進国+新興国を時価総額比で一括分散。ACWI(円換算)連動、年2回分配。 |
「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」は、その名の通り、日本を含む先進国から新興国まで全世界の株式に分散投資できるETFです。「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」という、世界の株式市場の時価総額約85%をカバーする指数に連動します。
信託報酬は年率0.0858%(税込)以内と低水準です。分配金は年2回(6月、12月)支払われます。
これ1本で国際分散投資が完結するため、「オルカンETF」の愛称で人気があります。特に、投資初心者の方が資産形成の第一歩として選ぶのに最適なETFの一つです。NISAの成長投資枠の対象でもあり、非課税メリットを活かした長期投資に適しています。
米国株式(S&P500, NASDAQ100, NYダウ):世界経済を牽引する米国株に集中
| 商品名(コード) | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】 | 0.066% | ○(成長枠) | コア | 米国大型株500へ低コストで投資。年2回分配(6/8・12/8)。 |
| MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(為替ヘッジあり)【2630】 | 0.077% | ○(成長枠) | サブコア(為替調整) | 円ヘッジ付きS&P500で為替変動の影響を抑制。年2回分配(6/8・12/8)。 |
| MAXISナスダック100上場投信【2631】 | 0.22% | ○(成長枠) | サテライト(グロース) | NASDAQ100(円換算)連動。ハイテク比率が高く、成長期待と変動の大きさが特徴。年2回分配。 |
| MAXIS NYダウ上場投信【2241】 | 0.22% | ○(成長枠) | サブコア(ディフェンシブ寄り) | NYダウ30銘柄(円換算)に連動。大型・伝統的セクター中心。年2回分配(5/26・11/26)。 |
MAXISの米国株ETFは、資産形成の核となるS&P500連動型から、特定の目的を持つETFまで、幅広い選択肢を提供しています。これにより、為替の方針やリスク許容度に応じて、自分に合った一本を選んだり、複数銘柄を組み合わせたりすることが可能です。
ラインナップの中心となるのは、米国の大型株500社に低コストで投資できる「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】」です。このETFは年率0.066%(税込)という低い信託報酬で、米国市場全体への分散投資のコアとして最適です。年2回分配金が支払われ、為替ヘッジはないため、円安局面ではリターンが向上する可能性があります。
為替変動の影響を抑えたい投資家には、為替ヘッジ付きの「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2630】」が適しています。信託報酬は年率0.077%(税込)で、為替レートの動きに左右されず、米国株そのものの値動きに近いリターンを目指せます。こちらも分配金は年2回です。
より高い成長性を狙うなら、ハイテク企業中心のナスダック100指数に連動する「MAXISナスダック100上場投信【2631】」が候補となります。信託報酬は年率0.22%(税込)で、大きなリターンが期待できる一方、価格変動も大きくなるため、コア資産に加えるサテライト(補助的)な位置づけに適しています。分配金は年2回支払われます。
また、米国の伝統的な大型優良株30社に集中投資したい場合は、NYダウ指数に連動する「MAXIS NYダウ上場投信【2241】」があります。信託報酬は年率0.22%(税込)、分配金は年2回で、ポートフォリオに安定感をもたらす選択肢となり得ます。
これらのETFはすべてNISAの成長投資枠で購入可能です。まずは【2558】を軸に考え、ご自身の為替に対する考え方やリスク許容度に合わせて、他のETFを組み合わせることで、目的に合った米国株ポートフォリオを構築できるでしょう。
S&P500とダウ・ナスダック等主要インデックスの違いは以下記事で詳しく解説しています。
日本株式(TOPIX・日経225):身近な日本市場全体の値動きを捉える
| 商品名(コード) | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MAXISトピックス上場投信【1348】 | 0.066% | ○(成長枠) | コア | 国内株の広範(TOPIX)に連動する円建てコア。年2回分配(1/16・7/16)。 |
| MAXIS 日経225上場投信【1346】 | 0.132% | ○(成長枠) | コア | 日経平均(225銘柄)に連動。1口単位で使いやすく、シリーズ統一もしやすい。年2回(1/16・7/16) |
「MAXISトピックス上場投信」は、日本の株式市場全体の動きを示す代表的な指数「TOPIX(東証株価指数)」に連動するETFです。日経平均株価よりも幅広い銘柄で構成されており、より市場全体の実態を反映します。
信託報酬は年率0.066%程度と低く、純資産総額も大きいことから、安定した運用を望む投資家に選ばれています。分配金は年2回(7月、1月)です。
「MAXIS日経225上場投信」は、日経平均株価(Nikkei 225)に連動するETFです。日経平均は価格加重平均で算出されるため、株価の高い銘柄の影響が相対的に大きくなるのが特徴です(TOPIX=時価総額加重と設計が異なります)。
したがって、より広く市場全体を反映したいならTOPIX(1348)、大型コア225銘柄に指数設計上の“癖”も踏まえて集中したいなら日経225(1346)という切り分けが実務的です。
TOPIXと日経平均のどちらがよいかは以下Q&Aでも説明しています。
先進国株式(MSCIコクサイ):日本を除く先進国に投資したいときに
| 商品名(コード) | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信【1550】 | 0.165% | ○(成長枠) | サブコア | 日本を除く先進国(米国中心)に投資。国内株ETFと組み合わせて全世界化しやすい。 |
「MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信」は、日本を除く先進国の株式で構成される「MSCIコクサイ・インデックス」に連動します。すでに日本株の個別株や投資信託を保有しており、海外の先進国だけに投資したい場合に適しています。
ただし、現在では全世界の株式に投資できる【2559】オルカンETFが主流となりつつあります。全世界株式には新興国も含まれるため、【1550】は先進国に絞りたいという明確な目的を持つ投資家向けの選択肢と言えるでしょう。
なお、MAXISには新興国のみを対象とするETFはありませんが、中国株式に特化したETF(2530)なども存在します。
J-REIT ETF:株式とは違う値動きの「不動産」を組入れる
| 商品名(コード) | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MAXIS Jリート上場投信【1597】 | 0.1595% | ○(成長枠) | サテライト(インカム) | 東証REIT指数連動。年4回分配(3/8・6/8・9/8・12/8)。インカム重視の分散先。 |
| MAXIS高利回りJリート上場投信【1660】 | 0.1595% | ○(成長枠) | サテライト(インカム特化) | 高配当J-REITに厳選投資するカスタム指数(野村高利回りJリート指数)。年4回分配。 |
MAXISシリーズでは、国内の不動産投資信託(J-REIT)を対象とするETFも提供しています。株式や債券とは異なる値動きを期待でき、分散投資先として有効です。
代表的な「MAXIS Jリート上場投信」(1597)は、J-REIT市場全体を表す東証REIT指数に連動し、年4回の分配で安定したインカムを狙えます。
より高い分配金利回りを求めるなら、「MAXIS高利回りJリート上場投信」(1660)という選択肢もあります。こちらは利回りの高い銘柄を選んで構成された指数に連動しますが、その分リスク特性も異なるため、ポートフォリオの補助的な役割で活用するのがよいでしょう。
アクティブETF(高配当日本株):配当(インカム)収入を重視するなら
| 商品名(コード) | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信【2085】 | 0.4125% | ○(成長枠) | サテライト(配当強化) | アクティブ運用で高配当日本株を選別。年4回分配(1・4・7・10月)。 |
MAXISには、指数に連動するインデックス型だけでなく、運用会社が独自に銘柄を選定するアクティブ運用のETFもあります。
その代表が2023年に登場した「MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信」(2085)です。日本株の中から配当利回りの高い銘柄を選び、値上がり益と安定した配当収入の両立を目指します。分配金は年4回支払われ、NISAの成長投資枠で購入すれば非課税で受け取れます。インデックス運用を補完し、ポートフォリオのインカム収益を高めたい場合に適したETFです。
MAXIS ETFの買い方を解説!取引の基本と3つの注意点
投資信託での運用に慣れた方が初めてETFを取引する際には、いくつか知っておきたい基本ルールがあります。ここでは、ETF特有の注文方法や分配金の扱いなど、取引で失敗しないための3つのポイントを解説します。
注文方法は「指値」が基本!板・出来高・スプレッドの見方
ETFは株式と同じように、証券取引所でリアルタイムに売買されます。そのため、注文方法には「指値(さしね)注文」と「成行(なりゆき)注文」の2種類があります。指値注文は売買したい価格を指定する方法、成行注文は価格を指定せず、その時の市場価格で即時に取引を成立させる方法です。
すぐに約定する成行注文は便利ですが、注意が必要です。特に取引量が少ない(出来高が少ない)ETFの場合、成行注文を出すと想定外に高い価格で買ってしまったり、安い価格で売ってしまったりするリスクがあります。相場が急変動している時も同様です。安全に取引するためには、希望の価格を指定する指値注文を基本にするとよいでしょう。
また、ETFの取引画面には、買いたい人の価格(買い気配)と売りたい人の価格(売り気配)が常に表示されています。この価格差をスプレッドと呼び、実質的な取引コストの一部になります。スプレッドは取引が活発なETFほど狭く、不人気なETFほど広がる傾向があることも覚えておきましょう。
分配金はいつ、いくら貰える?利回りの確認と再投資の考え方
ETFは、投資先の企業から得た配当などを原資として、投資家に分配金を支払うのが基本です。決算(年1〜4回)のたびに、経費を差し引いた利益が現金で分配されます。これは、分配金を出さずに内部で自動的に再投資するタイプの投資信託(eMAXIS Slimなど)との大きな違いです。
長期運用で複利効果を狙う場合、受け取った分配金を自分で再投資する必要があります。NISA口座なら分配金は非課税で受け取れますが、課税口座の場合は約20%の税金が引かれた後の金額が振り込まれます。再投資のためにETFを買い増す際には、改めて売買手数料やスプレッドがかかる点にも留意しましょう。
近年、一部のネット証券ではETFの「定期買付サービス」が提供され始めています。これは分配金の自動再投資とは異なりますが、毎月決まった日に一定額を自動で買い付ける設定が可能です。ドルコスト平均法を実践しやすくなるため、手間をかけずに積立投資をしたい場合は、利用している証券会社で対応しているか確認してみましょう。
売買単位に注意!銘柄ごとに必要な最低投資金額は?
ETFの購入は、投資信託と違って金額指定ではなく「口(くち)単位」が基本です。そのため、銘柄によって最低投資金額が数千円から数万円まで変動します。
例えば、2025年10月時点の価格で考えると、「MAXIS 全世界株式(2559)」は約2万円強、「MAXIS 米国株式(2558)」は約2.8万円が必要です。一方で、「MAXIS 高配当日本株アクティブ(2085)」は10口単位の売買で約6,000円から投資できます。
100円や1,000円といった少額から始められる投資信託と比べ、ETFはある程度まとまった資金が必要になります。少額で多くの資産に分散したい場合は、投資信託のほうが柔軟に対応できるかもしれません。
新NISAでMAXIS ETFを活用する方法:成長投資枠が中心
2024年に始まった新NISAは、ETFでの資産運用を考えている人にとって大きな追い風です。新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、生涯で1,800万円までの投資が非課税になります。ここではETFを新NISAでどう活用すればよいか、その基本戦略と注意点を解説します。
NISAについては以下記事で詳しく解説しています。
NISA成長投資枠で買うべきMAXIS ETFのおすすめ組み合わせ
新NISAにおいて、ETFは基本的に「成長投資枠」を利用して購入します。この枠は年間240万円まで利用でき、生涯では最大1,200万円まで投資が可能です。一括投資やタイミングを見計らったスポット購入にも対応できるため、リアルタイムで売買するETFの特性と非常に相性が良いと言えます。
成長投資枠の最大のメリットは、ETFの売却益と分配金がすべて非課税になる点です。通常、分配金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座なら全額をそのまま受け取れます。特に、高配当ETFを長期保有して分配金を受け取り続ける戦略では、この非課税メリットが大きく活きてきます。
また、新NISAでは「つみたて投資枠」(年間120万円)との併用も可能です。例えば「毎月の積立はつみたて投資枠で投資信託を、ボーナスなどのまとまった資金は成長投資枠でETFを」といった、柔軟な使い分けができます。
さらに、成長投資枠で購入したETFを売却した場合、その商品の簿価(取得価額)分の非課税枠が翌年に復活する仕組みも重要です。これにより、税金を気にせずポートフォリオの見直しや銘柄の入れ替えがしやすくなり、機動的な運用が可能です。
つみたて投資枠はどうする?投資信託(eMAXIS Slim)との使い分けがカギ
新NISAの「つみたて投資枠」は、金融庁が定めた基準を満たす長期積立に適した投資信託などが対象で、ETFは購入できません。
そのため、毎月コツコツと自動で積立投資をしたい場合は、つみたて投資枠で「eMAXIS Slim」シリーズのような低コストの投資信託を利用するのが基本戦略となります。つまり、「コツコツ積立は投資信託、まとまった資金でのスポット購入はETF」というように、2つの枠の特性を理解して役割分担させることが、新NISAを賢く使いこなす鍵です。
MAXIS ETFはどこで買う?主要ネット証券(SBI・楽天証券など)を比較
MAXIS ETFをNISAの成長投資枠で買う場合、取引の操作自体はどの証券会社でも大きくは変わりません。しかし、ETFの自動積立(定期買付)サービスの対応状況には差があるため注意が必要です。
例えば2025年10月現在、楽天証券の「かぶツミ」サービスを使えば国内ETFを毎月自動で買い付ける設定がNISA口座でも可能です。一方、SBI証券は米国ETFの定期買付には対応していますが、国内ETFの自動積立はまだ限定的です。このようにサービス内容は各社で異なるため、自動積立を重視するなら事前に確認しましょう。
また、主要なネット証券であればMAXISシリーズのETFはほとんど取り扱っていますが、証券会社によっては一部のETFが買えない場合もあります。これからNISA口座を開設するなら、自分が投資したいETFが取り扱われているかも比較検討のポイントになります。
投資前に知っておきたいMAXIS ETFの3つのリスクと対策
ETFには多くのメリットがありますが、投資信託とは異なる特有のリスクも存在します。安心して投資を始めるために、あらかじめ主なリスクとその対策を理解しておきましょう。ここではETF投資における代表的な3つのリスクを解説します。
1.基準価額との価格乖離リスク:iNAVを見て割高・割安を判断
ETFの価格は、連動を目指す指数と完全に同じ動きをするわけではなく、いくつかの要因で「乖離(かいり)」と呼ばれるズレが生じます。この乖離には2つの種類があります。
一つは、ETFが保有する資産の価値(基準価額)と、目標とする指数の間のズレです。これは信託報酬などのコストや、受け取った配当の扱い方などによって生じる、ある程度想定内の乖離です。
もう一つは、より注意が必要な、ETFの市場価格と基準価額との間のズレです。ETFは市場の需要と供給で価格が決まるため、一時的に理論上の価値である基準価額よりも割高(プレミアム)になったり、割安(ディスカウント)になったりすることがあります。このズレは、取引量が少ないETFや相場急変時に大きくなる傾向があります。
このリスクへの対策として、「インディカティブNAV(iNAV)」を確認する方法が有効です。iNAVは、取引時間中のETFの推定基準価額をリアルタイムで示したもので、東京証券取引所のウェブサイトなどで確認できます。取引したい価格がiNAVとかけ離れていないかを確認することで、不利な価格での売買を避けられます。
2.為替リスク:海外ETFは円高・円安でリターンが変動する
海外の資産に投資するETFは、為替レートの変動がリターンに影響します。例えば、MAXISの全世界株式(2559)や米国株式(2558)のように為替ヘッジがない商品の場合、円安が進めば海外資産の円換算価値が上がりリターンは向上しますが、逆に円高が進むと海外の株価が上昇していてもリターンが減少することがあります。
これは投資信託でも同様ですが、ETFは市場価格に為替の動きが即座に反映される点が特徴です。特に為替変動が大きい局面では、このリスクを十分に理解しておく必要があります。
対策として、MAXISシリーズには為替変動の影響を抑える「為替ヘッジあり」の米国株式ETF(2630)も用意されています。ただし、為替ヘッジにはコストがかかるため、長期的なリターンはヘッジなしのほうが優れる傾向もあります。どちらを選ぶかは、ご自身のリスク許容度に合わせて判断しましょう。
為替リスクがリターンに与える影響は以下Q&Aでも説明しています。
3.流動性リスク:出来高が少ない銘柄は希望価格で売買しにくい
ETFは上場しているものの、銘柄によっては取引量が少なく「流動性」が低い場合があります。流動性が低いと、売りたい時にすぐに売れなかったり、買値と売値の差(スプレッド)が広がり、不利な価格で取引せざるを得なかったりする可能性があります。
MAXISの主要なETFは十分な流動性がありますが、一部のニッチなETFに投資する際は、事前に日々の出来高(取引量)を確認することが大切です。
さらに、流動性が極端に低い状態が続くと、「上場廃止(繰上償還)」となるリスクもゼロではありません。上場廃止になるとETFは現金化されますが、NISA口座で運用していた場合、非課税枠を使い切ったまま投資が終了してしまうなどのデメリットが生じます。こうしたリスクを避けるためにも、資産形成の核とするのは、広く取引されている流動性の高いETFを選ぶのが賢明です。
MAXIS ETFで資産運用する場合の3つモデルポートフォリオ
MAXISシリーズを使って資産運用を始める方向けに、代表的な3つのモデルポートフォリオを紹介します。いずれも初級者から中級者の方に適したシンプルな設計です。ご自身の投資目標やリスク許容度に合ったものを参考に、ポートフォリオ作りのイメージを掴んでみてください。
ケース1:全世界株式(2559)1本でシンプルに世界へ投資
「MAXIS全世界株式(2559)」1本のみに投資し、世界経済全体の成長を享受する、最もシンプルで王道な戦略です。これだけで先進国から新興国まで自動的に分散投資ができます。
この場合の最大の利点は、管理が非常に簡単なことです。銘柄選びに悩む必要がなく、これ1本を買い続けるだけで国際分散投資が完結します。信託報酬も低く、NISAの成長投資枠を使えば分配金も非課税で受け取れます。
ただし、為替変動の影響を受けることに注意が必要です。また、構成比率は世界の株式市場の時価総額に連動するため、日本株の比率は約5%と低めです。「日本の成長にもっと投資したい」と考える方には物足りないかもしれません。
「何から始めたらいいかわからない」「難しいことは考えず、シンプルに全世界へ分散投資したい」という方に最適です。
ケース2:米国株式(2558)中心で高い成長を狙う
世界経済を牽引してきた米国株式の成長性に期待し、ポートフォリオの大部分を「MAXIS米国株式(S&P500) ETF(2558)」に配分する戦略です。残り僅かを全世界株式(2559)にするなど、一部を他の地域に分散させる方法もあります。
過去数十年にわたり、米国株式市場は世界で最も高いリターンを上げてきました。今後も技術革新をリードする巨大企業が多く存在するため、高い成長が期待できます。
投資先が米国に集中するため、米国市場が長期的に停滞した場合、資産全体が大きな影響を受けることに注意が必要です。また、米ドルに対する円高が進むと、円換算でのリターンが減少する為替リスクも直接的に受けます。
「米国の成長性を信じ、より高いリターンを積極的に狙いたい」「ある程度の集中リスクは許容できる」という方に適しています。
ケース3:日本株(1348)+高配当ETFで安定感を重視
為替リスクのない日本株を中心に据え、配当収入(インカムゲイン)で安定感を高める戦略です。ポートフォリオの主軸(コア)を「MAXISトピックス上場投信(1348)」とし、補助(サテライト)として「MAXIS高配当日本株アクティブ(2085)」などを組み合わせます。
投資対象がすべて円資産のため、為替レートの変動を気にする必要がありません。また、定期的に分配金を受け取れるため、キャッシュフローを生み出しやすく、精神的な安定にも繋がります。
日本の経済成長や市場動向に資産全体が左右されることに注意が必要です。地域分散が効かないため、日本の長期的な停滞リスクを直接的に負うことになります。
「為替リスクは避けたい」「将来の生活費など、定期的な収入源を育てたい」「円資産として老後に備えたい」という方に適したポートフォリオです。
MAXIS(ETF)とeMAXIS Slim(投資信託)は結局どっちがおすすめ?
実際の資産運用ではETFと投資信託のいずれを使うか判断に迷う場面もあるでしょう。eMAXIS Slimのような優れた投資信託とMAXIS ETFシリーズは共存しています。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、上手に使い分けることが大切です。
「MAXIS」がおすすめな人:リアルタイムで売買したい・分配金が欲しい
ETFを選ぶメリットは、リアルタイム売買の機動性や配当現金化の自由度でしょう。相場急変時に即座に売却できるのはETFの強みですし、NISA枠で非課税運用するなら分配金も問題になりません。またETFは信託財産留保額等の解約コストもありません。さらに、コスト競争の変化に迅速に対応できるというメリットも。投資信託だと乗換時に課税や手数料がネックになりやすいですが、ETFはNISAなら非課税、特定口座でも売買コストは限定的です。
また、分配金を生活の現金収入に充てたい人にとってはETFの方が適しています。定期的に分配金を受け取りつつ運用したい場合、高配当ETFやREIT ETFは有力な選択肢です。
「eMAXIS Slim」がおすすめな人:手間なく自動で積立・複利運用したい
積立投資のしやすさという点では、投資信託に軍配が上がります。投資信託は月々一定額を自動で買い付ける設定がほぼ全社で可能であり、銀行引落やクレジットカード決済等も利用できます。「毎月コツコツ積み立てたい」というニーズには、素直に投資信託(例えばeMAXIS Slimシリーズ)が向いています。
分配金の再投資も、投資信託は自動かつ無税で内部再投資されるのに対し、ETFは受け取った分配金を自分で課税後に買い直す手間・コストがあります。特に長期積立では、この差が複利効果に影響します。完全放置で積立・再投資したい人には投資信託が便利でしょう。
結論として、少額から自動積立する段階では投資信託、ある程度資産規模が大きくなり市場での売買メリットを享受したい段階ではETFという使い分けが合理的かもしれません。どちらかに統一する必要はなく、両者を併用することも可能です。
他社ETFとの横比較(iシェアーズ/iFreeETF/NEXT FUNDS)
MAXISと同じ指数に連動するETFは、ブラックロックのiシェアーズや大和アセットのiFreeETF、野村アセットのNEXT FUNDSなど、他社からも提供されています。ここでは、投資判断に直結するコスト、流動性(純資産規模)、売買単位、分配頻度といった観点から、MAXISのETFが市場でどのような位置づけにあるのかを比較解説します。
iシェアーズ・iFree・NEXT FUNDSについては以下記事でそれぞれ詳しく解説しています。
S&P500(米国株コア):コスト最安同士での実務差を見極める
| 商品名(コード) | 信託報酬 | 分配頻度(基準日) | 売買単位 | NISA対応 | 特徴・一言 |
|---|---|---|---|---|---|
| MAXIS 米国株式(S&P500)【2558】 | 0.066% | 年2回(6/8・12/8) | 1口 | 成長投資枠 | 低コスト×1口単位で使いやすい、ノーヘッジ。 |
| iシェアーズ S&P500 米国株 ETF【1655】 | 0.066% | 年2回(2/9・8/9) | 10口 | 成長投資枠 | 10口単位だが1口価格が低めで最小購入額を抑えやすい。 |
| iFreeETF S&P500(為替ヘッジなし)【2247】 | 0.077% | 年2回(3/10・9/10) | 1口 | 成長投資枠 | 少額から。コストは最安組より一段上。 |
米国S&P500指数に連動するETFでは、MAXISの2558とiシェアーズの1655が、ともに信託報酬0.066%という国内最安水準で競い合っています。どちらも純資産規模が大きく流動性は良好ですが、実用面で細かな違いがあります。iシェアーズの1655は10口単位での売買ですが、1口あたりの価格が低いため最低購入額を小さく抑えやすく、少額から始めたい場合に適しています。
一方、MAXISの2558は1口単位で売買できるため、NISAの枠内で口数を調整しやすいという利点があります。分配金については、両銘柄とも年2回(半期ごと)支払われます。コストを抑えつつも、より小回りの利く取引を求めるならiシェアーズの1655、シンプルな単位で管理したいならMAXISの2558が一つの判断基準となるでしょう。
NASDAQ100(グロース寄り):コスト vs 流動性のトレードオフ
| 商品名(コード) | 信託報酬 | 分配頻度(基準日) | 売買単位 | NISA対応 | 特徴・一言 |
|---|---|---|---|---|---|
| MAXIS ナスダック100【2631】 | 0.22% | 年2回(6/8・12/8) | 1口 | 成長投資枠 | MAXISシリーズで統一したい人向け。 |
| iFreeETF NASDAQ100(H無)【2840】 | 0.11% | 年2回(3/10・9/10) | 1口 | 成長投資枠 | 国内最安級コスト。規模は比較的小さめ。 |
| NEXT FUNDS NASDAQ-100(H無)【1545】 | 0.22% | 年1回(8/10) | 1口 | 成長投資枠 | 大型で流動性が厚い定番。分配は年1回でシンプル。 |
米国の成長株中心であるナスダック100指数への投資では、コストを最優先するならiFreeETFの2840が信託報酬0.11%と最も低く設定されています。ただし、他の銘柄に比べて純資産規模が比較的小さいため、取引の安定性や流動性を重視するなら、純資産が厚いNEXT FUNDSの1545が有力な選択肢となります。
MAXISの2631は、これらの中間に位置し、信託報酬は0.22%ですが、年2回(6月、12月)の分配があり、他のMAXISシリーズとブランドを統一したい場合に適しています。投資家は、コストの低さを取るか、いつでも安心して売買できる流動性を取るかで、最適なETFを選ぶことになります。
TOPIX(日本株コア):手数料最安はiシェアーズ、MAXISはシリーズ統一のしやすさ
| 商品名(コード) | 信託報酬 | 分配頻度(基準日) | 売買単位 | NISA対応 | 特徴・一言 |
|---|---|---|---|---|---|
| MAXIS トピックス【1348】 | 0.066% | 年2回(1/16・7/16) | 10口 | 成長投資枠 | 円建てのコア。MAXIS内で統一しやすい。 |
| iシェアーズ・コア TOPIX【1475】 | 0.0495% | 年2回(2/9・8/9) | 10口 | 成長投資枠 | 本領域の最安級かつ巨額残高で板が厚い。 |
| iFreeETF TOPIX(年4回決算型)【2625】 | 0.066% | 年4回(1/10・4/10・7/10・10/10) | 1口 | 成長投資枠 | 分配を年4回受けたい人に。 |
日本株の代表的な指数であるTOPIXに連動するETFでは、コスト面でiシェアーズの1475が信託報酬0.0495%と頭一つ抜けており、純資産も2兆円を超える規模で圧倒的な安定感を誇ります。一方で、分配金の受け取り回数を重視するなら、年4回分配を行うiFreeETFの2625がユニークな選択肢となります。MAXISの1348は、信託報酬0.066%程度と競争力のある水準で、海外株ETFなど他のMAXISシリーズと合わせてポートフォリオを組む際に、ブランドを統一できる管理のしやすさが魅力です。コストを徹底的に追求するならiシェアーズ、分配頻度ならiFreeETF、全体の統一感ならMAXIS、というように目的別に選ぶことができます。
最終的に、ETFを選ぶ際はまず投資したい指数を決め、次にコスト、流動性、売買単位、分配頻度の4つの要素を比較検討するのが合理的です。本比較は2025年10月9日時点の情報を基にしており、信託報酬等は変更される可能性があるため、最終的な投資判断の前には必ず各社の公式情報をご確認ください。
この記事のまとめ
MAXISを上手く活用するには、まず投資したい指数を決め、コアは低コストで流動性の高い銘柄、サテライトで狙いを補うことです。新NISAは成長投資枠を軸に、売却益と分配金の非課税をいかして設計します。取引は指値とiNAV確認を基本に、為替と乖離と流動性を点検しましょう。次の一歩は、主軸候補を一つ選び、最小購入額や分配時期を確認し、迷えば専門家に相談することです。つみたては投資信託、まとまった資金はETFといった役割分担も有効です。ポートフォリオは年に一度程度の見直しで十分です。目的とリスク許容度に沿って配分比率を記録し、ぶれない運用を心掛けましょう。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
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アクティブファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが、市場の平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄を選んで運用するタイプの投資信託のことです。 具体的には、独自の分析や調査にもとづいて、将来性があると見込まれる企業や、割安と判断される株式などに投資を行います。こうした運用には高度な専門知識と時間が必要となるため、同じ投資信託でも市場平均への連動を目指す「パッシブファンド」より運用コスト(信託報酬など)が高めになる傾向があります。しかし、その分大きなリターンを狙える可能性もある点が魅力です。 ただし、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均を上回るとは限らないことに注意が必要です。投資判断がうまくいかなかった場合は、損失が出たり、パッシブファンドに劣る成績となったりすることもあります。 投資初心者の方は、ファンドマネージャーの運用実績やファンドの方針、運用コストなどをよく調べたうえで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。購入前に「過去の運用成績」や「運用レポート」を確認し、アクティブファンドの特徴を理解してから投資を始めましょう。
MAXIS
MAXIS(マクシス)とは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託ブランドの名称です。このブランドの下には、日経平均株価やTOPIX、S&P500など、さまざまな株価指数に連動するETF(上場投資信託)が用意されています。 MAXISシリーズの特徴は、低コストでインデックス運用ができること、つまり、市場全体の値動きに連動するように設計されているため、個別銘柄を選ぶことなく、広く分散された投資が可能な点にあります。投資初心者でも取り組みやすい商品が多く、長期的な資産形成の手段として人気があります。証券口座を通じて、証券取引所で株式と同じように売買できる点も魅力です。
eMAXIS Slim
eMAXIS Slim(イーマクシス・スリム)は、三菱UFJアセットマネジメントが提供する投資信託シリーズの一つで、特に「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」ことをコンセプトとしたインデックスファンドです。 このシリーズは、日本国内外の株式や債券、バランス型など、さまざまな資産クラスに連動する商品を取りそろえており、投資初心者から上級者まで幅広い層に支持されています。最大の特徴は、信託報酬が非常に低く設定されていることに加え、他社がさらに低コストの商品を出した場合に、自動的にそれに追随して信託報酬を引き下げる方針を掲げている点です。長期の積立投資や、つみたてNISA・iDeCoなどの制度との相性も良く、資産形成に適した選択肢のひとつです。
オールカントリー(オルカン)
オールカントリー(通称オルカン)は、正式には「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」に連動する投資信託やETFを指します。これは世界中の株式市場に分散投資するインデックスファンドで、日本を含む先進国や新興国の約3000銘柄を対象としています。特定の国や地域に偏らず、世界経済全体の成長を取り込むことを目的としています。 オルカンの最大の特徴は、その分散性の高さです。個別株に投資すると特定の企業や業種の影響を大きく受けますが、オルカンなら世界中の企業に分散投資することでリスクを軽減できます。例えば、ある国の景気が悪化しても、他の地域の成長がカバーする可能性があります。また、特定の業種に依存することなく、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い分野に投資できる点も魅力です。 初心者にとってオルカンは、シンプルかつ効率的な長期投資の手段となります。基本的に積立投資を行うことで、時間をかけてリスクを分散しながら資産を増やすことが期待できます。個別銘柄の選定や市場の動向を細かく分析する必要がないため、投資経験が少ない人でも気軽に始めやすいのが利点です。 ただし、オルカンも株式市場全体の影響を受けるため、短期的には価格が大きく変動することがあります。そのため、長期的な視点で運用し、価格の上下に一喜一憂せず、積立を続けることが大切です。オルカンは、世界経済の成長とともに資産を増やしていきたいと考える投資初心者に適した選択肢の一つと言えるでしょう。
NASDAQ100
NASDAQ100とは、アメリカのナスダック市場に上場している企業のうち、金融業を除いた時価総額上位100社で構成される株価指数のことです。ナスダック市場は、ハイテク企業や新興企業が多く上場していることで知られており、NASDAQ100にはアップル、マイクロソフト、アマゾン、グーグル(アルファベット)、メタ(旧フェイスブック)など、世界的に影響力のある大企業が多く含まれています。そのため、この指数に投資することで、米国の成長企業を中心に分散投資ができる点が魅力です。テクノロジー分野の成長を取り込める一方で、価格の変動も大きくなりやすいため、リターンとリスクの両面を理解したうえで活用することが大切です。投資信託やETFなどでもNASDAQ100に連動する商品が多く提供されており、つみたてや一括投資の対象としても人気があります。
NYダウ(ダウ工業株30種平均)
NYダウは、アメリカの株式市場を代表する三大株価指数(NYダウ・S&P500・ナスダック総合指数)のひとつであり、1896年にウォール・ストリート・ジャーナル創設者チャールズ・ダウによって考案された、世界で最も歴史ある株価指数です。米国経済を牽引する30社の株価をもとに算出され、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQに上場する企業で構成されています。算出方式は「株価平均型」で、株価の高い銘柄の値動きが指数に与える影響が大きい点が特徴です。 構成銘柄には、アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)、マクドナルド(McDonald’s)など世界的に有名な企業が含まれています。2025年時点での構成30社は以下の通りです。 | 企業名 | よみがな | ティッカー | 主な業種 | | --- | --- | --- | --- | | 3M Co. | スリーエム | MMM | 化学・産業資材 | | American Express Co. | アメリカン・エキスプレス | AXP | クレジットカード | | Amgen Inc. | アムジェン | AMGN | バイオ医薬品 | | Apple Inc. | アップル | AAPL | IT・スマートデバイス | | Boeing Co. | ボーイング | BA | 航空宇宙 | | Caterpillar Inc. | キャタピラー | CAT | 建設機械 | | Chevron Corp. | シェブロン | CVX | エネルギー | | Cisco Systems Inc. | シスコ・システムズ | CSCO | 通信機器 | | Coca-Cola Co. | コカ・コーラ | KO | 飲料 | | Amazon.com, Inc. | アマゾン・ドットコム | AMZN | Eコマース・クラウド | | Dow Inc. | ダウ | DOW | 化学 | | Goldman Sachs Group | ゴールドマン・サックス | GS | 投資銀行 | | Home Depot Inc. | ホーム・デポ | HD | 建材小売 | | Honeywell International Inc. | ハネウェル | HON | 産業・航空機器 | | Intel Corp. | インテル | INTC | 半導体 | | IBM Corp. | アイビーエム | IBM | ITサービス | | Johnson & Johnson | ジョンソン・エンド・ジョンソン | JNJ | 医薬品・日用品 | | JPMorgan Chase & Co. | ジェーピーモルガン・チェース | JPM | 金融 | | McDonald’s Corp. | マクドナルド | MCD | 外食 | | Merck & Co., Inc. | メルク | MRK | 医薬品 | | Microsoft Corp. | マイクロソフト | MSFT | ソフトウェア | | Nike, Inc. | ナイキ | NKE | スポーツ用品 | | Procter & Gamble Co. | プロクター・アンド・ギャンブル | PG | 日用品 | | Salesforce Inc. | セールスフォース | CRM | クラウドサービス | | Travelers Companies Inc. | トラベラーズ | TRV | 保険 | | UnitedHealth Group Inc. | ユナイテッドヘルス | UNH | 医療保険 | | Visa Inc. | ビザ | V | クレジットカード | | Walgreens Boots Alliance Inc. | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | WBA | 小売・薬局 | | Walmart Inc. | ウォルマート | WMT | 小売 | | Walt Disney Co. | ウォルト・ディズニー | DIS | エンタメ・メディア | NYダウの構成銘柄は固定ではなく、アメリカ経済の構造変化を反映するために不定期で入れ替えが行われます。選定はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が行い、常に「米国経済を代表する30社」を維持するよう調整されます。 たとえば、2018年にはゼネラル・エレクトリック(GE)が除外され、Walgreensが採用されました。2020年にはExxonMobilやPfizerが除外され、SalesforceやAmgenが新たに採用されています。近年では、半導体業界の地位上昇を背景に、IntelをNvidiaへ置き換える報道も出ています。 このように、ダウ平均はテクノロジーやヘルスケアなど、成長分野の変化を柔軟に取り入れてきました。そのため、伝統的な大型株中心の指数でありながら、時代の潮流を反映する「米国経済の顔」としての役割を担っています。 投資の観点では、NYダウはナスダックのように急成長株中心ではなく、比較的安定した値動きを示す傾向があります。アメリカ経済全体の強さを測るバロメーターとして、世界中の投資家が注目しており、日本でもNYダウに連動するETF(例:SPDR Dow Jones Industrial Average ETF〈DIA〉)や投資信託が販売されています。こうした商品を活用することで、個人投資家も米国の安定成長企業へ分散投資することが可能です。 NYダウは、伝統と安定を象徴する指数であり、経済ニュースや投資判断の指標として欠かせない存在です。構成銘柄の入れ替えを通じて常に変化を取り込みながら、長期にわたり世界の市場参加者から信頼されるベンチマークとして位置づけられています。
TOPIX
TOPIXとは、「東証株価指数(Tokyo Stock Price Index)」の略で、東京証券取引所に上場している日本企業の中で、プライム市場に属するすべての銘柄の株価をもとに算出される株価指数です。 この指数は、上場企業全体の株価の動きを表しているため、日本の株式市場全体の健康状態や傾向を知るための「ものさし」として使われます。投資信託やETF(上場投資信託)などでは、TOPIXに連動する商品も多く販売されており、個別の企業に投資しなくても、日本経済全体に分散して投資するような効果が得られます。投資初心者にとっては、日本市場の動きをざっくりとつかむために、まず注目しておきたい指数のひとつです。
MSCIコクサイ・インデックス
MSCIコクサイ・インデックスとは、アメリカをはじめとする先進国の株式市場に上場している大手企業を対象とした株価指数で、日本を除く先進国の株式市場全体の動きを表す指標として広く使われています。「コクサイ」は「国際」のことで、日本語で表記される際に特に「日本を除いた国際市場」という意味を明確にするために使われています。 このインデックスには、米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなど20カ国以上の企業が含まれており、外国株式に投資する際の代表的なベンチマークとなります。多くの投資信託やETFがこの指数に連動する形で運用されており、分散効果を得ながら先進国の経済成長を取り込むことができます。特に、つみたてNISAやiDeCoの対象商品としても人気が高く、初心者にもなじみやすい国際分散投資の基礎となる指数です。
MSCI ACWI(全世界株式)
MSCI ACWIとは、「MSCI All Country World Index(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」の略で、アメリカのMSCI社が提供する全世界の株式市場の動きを反映する代表的な株価指数です。「全世界株式」や「オルカン」とも呼ばれ、世界中の先進国と新興国の株式を合わせた幅広い投資対象をカバーしています。 この指数には、アメリカや日本、ヨーロッパなどの先進国だけでなく、中国やインド、ブラジルなどの新興国市場も含まれており、約50か国、約3,000銘柄以上が組み入れられています。そのため、MSCI ACWIに連動するインデックスファンドやETFに投資することで、全世界の株式市場に分散投資できるのが大きな特徴です。 個別銘柄や地域を選ばず、長期的な資産形成を目指す初心者にも適した投資手段とされており、「これ1本で世界中に投資できる」ことから、多くの資産運用戦略の基本として利用されています。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
分配金
分配金とは、投資信託やREIT(不動産投資信託)などが運用によって得た収益の一部を、投資家に還元するお金のことです。これは株式でいう「配当金」に似ていますが、分配金には運用益だけでなく、元本の一部が含まれることもあります。そのため、分配金を受け取るたびに自分の投資元本が少しずつ減っている可能性もあるという点に注意が必要です。分配金の有無や頻度は投資信託の商品ごとに異なり、毎月、半年ごと、年に一度などさまざまです。投資初心者にとっては、「お金が戻ってくる」という安心感がありますが、長期的な資産形成を考えるうえでは、分配金の出し方やその内容をしっかり理解することが大切です。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
成長投資枠
新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。
つみたて投資枠
つみたて投資枠とは、2024年から始まった新しいNISA制度の中で、少額から長期的に資産形成を行うことを目的として設けられた非課税投資の枠組みです。 この枠では、一定の条件を満たした投資信託などの商品に対して、年間最大120万円までの投資額が非課税の対象となります。毎月コツコツと積み立てるスタイルの投資に向いており、長期的な資産形成を支援することが狙いです。つみたて投資枠を活用することで、運用益や分配金にかかる税金がかからず、複利の効果を最大限に活かしながら資産を増やしていくことができます。特に投資初心者にとっては、少額から手軽に始められ、長く続けることで将来の資金づくりに役立つ有効な制度です。
iNAV(インディカティブNAV)
インディカティブNAV(iNAV)は、ETFの「リアルタイム基準価額(参考指標価格)」を示す指標です。通常の投資信託の基準価額(NAV)は1日に1回しか算出されませんが、ETFは株式と同じように市場でリアルタイムに売買されるため、取引中の理論的な価値を示すiNAVが用いられます。 iNAVはETFが保有する資産価格や為替レートをもとに算出され、取引所や情報ベンダーにより15〜60秒間隔で更新されます。ただし、構成銘柄の市場が休場している場合や、債券・デリバティブを多く含むETFでは精度が下がることがあります。 投資家はiNAVと実際の市場価格を比較することで、ETFが割高(プレミアム)か割安(ディスカウント)かを判断する参考にします。市場価格とiNAVの乖離は、板の厚みや為替変動、流動性の低下などによって生じるため、発注時にはiNAVだけでなく気配値や出来高もあわせて確認することが重要です。 また、iNAVはあくまで「目安」であり、最終的な基準価額(公式NAV)とは一致しません。公式NAVは取引終了後に一日一回算出されるのに対し、iNAVはリアルタイム更新であり、数十秒の遅延を伴う場合もあります。 まとめると、iNAVはETF取引における透明性を高め、投資家が「今いくらが妥当か」を把握するための便利な指標です。ただし完全な価格ではないため、流動性や構成市場の状況を踏まえて活用することが大切です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
流動性リスク
流動性リスクとは、資産を売却したいときに市場で買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスクのことを指します。特に市場が混乱した場合や、取引量の少ない資産では、このリスクが顕著になります。例えば、不動産や未上場株式、流動性の低い債券などは、売却に時間がかかることが多く、想定よりも低い価格での取引を余儀なくされる場合があります。金融機関や企業にとっては、必要な資金を調達できずに支払いが滞る可能性があることを意味し、経済危機や市場の急激な変動時には特に注意が必要です。投資ポートフォリオを構築する際には、資産の換金しやすさを考慮し、現金や流動性の高い資産とのバランスを取ることが重要とされます。
コア資産
コア資産とは、長期的な資産運用の中核を成す安定的な資産のことを指す。主にインデックスファンドや大型株、債券など、リスクが比較的低く、安定したリターンを期待できる資産が含まれる。運用の基本方針として、市場の長期的な成長を享受しながら、大きなリスクを取らずに資産を増やすことを目的とする。ポートフォリオの大部分をこのコア資産で構成し、安定した資産形成を目指す。
サテライト資産
サテライト資産とは、資産運用においてコア資産を補完し、高いリターンを狙うために組み入れる資産のことを指す。具体的には、新興国株式、個別株、テーマ型ファンド、ヘッジファンド、コモディティ、暗号資産など、リスクは高いが成長の可能性がある投資対象が含まれる。サテライト資産は、ポートフォリオの一部に限定して保有し、コア資産の安定性を損なわない範囲で積極的な運用を行うことが推奨されます。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
時価総額加重平均
時価総額加重平均とは、企業の株価や指数を計算する際に、それぞれの企業の「時価総額」、つまり市場で評価された企業の価値に応じて比重(ウェイト)をかけて平均を出す方法のことです。 たとえば、株式指数でこの方式を用いると、時価総額が大きい企業の株価の動きが、指数全体により大きな影響を与えます。この方法は、より実際の市場規模に沿った指標となるため、投資家や資産運用の現場でよく使われます。日経平均株価は株価の単純平均ですが、TOPIX(東証株価指数)はこの時価総額加重平均を採用しており、日本市場の全体的な動きをより正確に表しているとされています。






