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個人事業主は厚生年金に加入できますか?

個人事業主は厚生年金に加入できますか?

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2025/10/27 09:46


男性

40代

question

会社員時代は厚生年金に加入していましたが、独立して個人事業主になった場合も同じように厚生年金に加入できるのか気になっています。国民年金との違いや、もし厚生年金に加入できない場合に老後の年金額を増やす方法があるのかも知りたいです。加入条件や手続き方法も含めて教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

個人事業主になると、会社員時代のように厚生年金には加入できません。厚生年金は、会社などの事業所で働く「使用される立場の人」が対象であり、個人事業主本人はこの条件に該当しないためです。独立後は、国民年金の第1号被保険者として加入することになります。

厚生年金に入りたい場合は、法人化して自分を会社の役員または従業員として雇用する方法があります。法人は規模に関係なく厚生年金の適用事業所となるため、設立後に新規適用届と被保険者資格取得届を日本年金機構に提出することで加入が可能です。あるいは、他社でパートやアルバイトなどとして働き、一定の条件を満たすことで厚生年金に加入する道もあります。

個人事業主が老後の年金額を増やしたい場合は、国民年金を基礎に上乗せ制度を活用するのが現実的です。まず、月400円で加入できる付加年金は、2年以上受給すれば元が取れる効率のよい制度です。次に、国民年金基金は終身年金を受け取れる公的な上乗せ制度で、掛金は全額が社会保険料控除の対象になります。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)も有効です。掛金が全額所得控除となり、運用益は非課税で、受け取り時も控除が適用されるため、節税と資産形成を両立できます。

60歳以降も年金額を増やす手段があります。まず任意加入制度を利用すれば、受給資格期間を満たしていない人や年金額を増やしたい人が60歳以降も国民年金に加入できます。さらに、受給開始年齢を遅らせる「繰下げ受給」を選ぶと、1か月ごとに0.7%ずつ増額され、75歳まで繰り下げた場合には最大84%の増額となります。

実務面では、独立後に市区町村で国民年金への加入手続きを行い、口座振替や電子納付などで保険料を支払います。法人化する場合は、事業開始後5日以内に新規適用届を、従業員や役員ごとに被保険者資格取得届を提出する必要があります。また、常時5人以上の従業員を雇う個人事業所は、事業主本人を除き従業員を厚生年金に加入させる義務があります。

まとめると、個人事業主本人は厚生年金に加入できず、国民年金が基本となります。老後資金を増やすには、付加年金・iDeCo・国民年金基金を組み合わせ、60歳以降は任意加入や繰下げ受給で補うのが効果的です。厚生年金を再び利用したい場合は、法人化して自らを被保険者とする方法が現実的な選択肢となります。

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厚生年金

厚生年金とは、会社員や公務員などの給与所得者が加入する公的年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階建て構造」の年金制度の一部です。厚生年金に加入している人は、基礎年金に加えて、収入に応じた保険料を支払い、将来はその分に応じた年金額を受け取ることができます。 保険料は労使折半で、勤務先と本人がそれぞれ負担します。原則として70歳未満の従業員が対象で、加入・脱退や保険料の納付、記録管理は日本年金機構が行っています。老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金なども含む包括的な保障があり、給与収入がある人にとっては、生活保障の中心となる制度です。

国民年金

国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入しなければならない、公的な年金制度です。自営業の人や学生、専業主婦(夫)などが主に対象となり、将来の老後の生活を支える「老齢基礎年金」だけでなく、障害を負ったときの「障害基礎年金」や、死亡した際の遺族のための「遺族基礎年金」なども含まれています。毎月一定の保険料を支払うことで、将来必要となる生活の土台を作る仕組みであり、日本の年金制度の基本となる重要な制度です。

国民年金基金

国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が、将来の年金額を上乗せするために任意で加入できる制度です。これは、国民年金(基礎年金)だけでは老後の生活費として不十分な場合に備えて、公的に用意された追加の年金制度です。加入者は自分の希望に合わせて受け取る年金の型や金額を選ぶことができ、掛金もそれに応じて決まります。終身で年金を受け取れる選択肢もあるため、長生きリスクへの備えとして有効です。また、支払った掛金は全額が所得控除の対象となるため、節税効果も得られます。資産運用の視点では、自分で備える年金制度の一つとして、iDeCoなどと並んで重要な選択肢となります。

付加年金

付加年金とは、国民年金に加入している人が、定額の保険料(月額400円)を上乗せして納めることで、将来の年金額を増やせる制度です。自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者が対象で、支払った付加保険料に応じて、老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができます。 受け取り額は、付加保険料を納めた月数に200円をかけた金額が年金に加算される仕組みで、長生きするほどお得になるとされています。特に、iDeCoなどの他の自助努力型制度と併用することで、老後の年金対策に柔軟性を持たせることができます。資産運用の観点からは、少ない負担で将来の収入を増やす手段として、非常に効率的な選択肢の一つです。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

繰下げ受給

繰下げ受給とは、本来65歳から支給される公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)の受け取り開始を自分の希望で後ろ倒しにする制度です。66歳以降、最大75歳まで1か月単位で繰り下げることができ、遅らせた月数に応じて年金額が恒久的に増えます。 増額率は1か月当たり0.7%で、10年(120か月)繰り下げた場合にはおよそ84%の上乗せとなるため、長生きするほどトータルの受取額が増えやすい仕組みです。ただし、繰下げた期間中は年金を受け取れないため、その間の生活資金や健康状態、就労収入の見通しを踏まえて慎重に検討することが大切です。

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