30代で子どもがいますが、加入する保険は掛け捨て型が向いていますか？

30代でお子さまがいらっしゃるご家庭では、万一の収入喪失に備えるという観点から考えると、掛け捨て型（定期保険）を中心に死亡保障を確保し、貯蓄性保険に多くを割かず、投資や預貯金に回す設計が合理的です。

2024年の家計の金融行動調査では、30代世帯の金融資産構成が預貯金約49.5％、保険が約11.3％、有価証券が約35.1％という割合にとどまっており、保険を家計の主役に据えるのではなく、保障をシンプルにして余力を資産形成に振り向ける傾向が見られます。

保障設計では、まず「必要保障額から公的保障と既存資産を差し引いた金額」を死亡保障の目安とし、そこで出た金額を定期保険でカバーすることをお勧めします。

定期保険にすることで、同じ保障金額でも終身保険などに比べて保険料を抑えられ、毎月の家計負担を軽くし、教育費や住宅ローン返済、老後資金などへの備えを圧迫しません。

生存保障（医療・就業不能保障等）に関しては、公的制度（高額療養費制度、傷病手当金、障害年金など）を出発点に、不足する分を補うという設計が適切です。

ただし、終身保険が向いているケースもあります。保険は比較的安全資産として位置づけられるため、「解約返戻金を超長期の安全資産として計画したい」といった明確な目的がある場合には、有効な選択肢になり得ます。ただしその場合でも、教育費ピーク期や資産形成期のキャッシュフローを圧迫しない範囲にとどめることが前提です。

まとめると、30代・子育て期の保険設計では「必要十分な死亡保障を掛け捨て型で確保」し、「流動性の高い預貯金で生活防衛資金を備え」「将来の資産形成を投資（NISA等）で行う」という三層構造を基本とし、終身保険は目的が明確なサブ的存在と位置づけるのが、最新の家計行動データとも整合する実務的なアプローチです。