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不動産投資のインカムゲインは年金代わりになる?メリット・デメリットと失敗例を徹底解説!

難易度:

執筆者:

公開:

2024.01.16

更新:

2024.02.05

不動産投資資産運用

目次

2. 不動産投資の仕組みと特徴

2-1. 不動産投資の仕組みと収益構造

2-2. 不動産投資のインカムゲインとキャピタルゲインの違い

2-3. 不動産投資はミドルリスクミドルリターン

3. 不動産投資のメリット

3-1. 安定して家賃収入が得られる

3-2. 自己資金が少なくともローン活用で投資ができる

3-3. 資産価値の維持・向上させることができる

3-4. インフレ・デフレに強い

3-5. 相続税対策になる

3-6. 生命保険の代わりになる場合がある

4. 不動産投資のデメリット

4-1. 空き室リスクがある

4-2. 入居者リスクがある

4-3. 空室時も固定資産税・修繕費などの固定費が必要

4-4. 物件管理の手間がかかる

4-5. 流動性が低く現金化が簡単ではない

4-6. 売却時に損をする価格変動リスクがある

4-7. 災害に見舞われ資産価値が下がるときがある

4-8. 正確な情報が得られないリスクがある

5. 不動産投資で得られるインカムゲインの具体例

5-1.表面利回りからみたインカムゲイン

5-2.手取りベースでみたインカムゲイン

6.不動産投資は売買益(キャピタルゲイン)も獲得できる

7.不動産投資の落とし穴。不労所得を得ようとして失敗した例

7-1. ローンを組んで不動産投資をしたがCFの赤字で返済不能に

7-2. 利回りの高い物件を選んだはずが出費がかさみ赤字に

7-3. 営業トークを信用して割高な物件を購入してしまった

8. まとめ

不動産投資は、購入した不動産から安定的に家賃収入を得るとともに、値上がり時には、売却益を狙うこともできます。

投資した物件に空き室ができて賃料を得られなかったり、売却時に損をしたりすることがあるものの、ミドルリスクミドルリターンの投資方法として高い人気があります。

人気の理由には、低金利が続いていることで不動産投資の融資が受けやすく、自己資金が少なくても投資可能なことが挙げられます。

また近年は、年金に不安を覚えて老後の資産形成の必要に迫られている方などから、特に注目されているといえるでしょう。理由は、安定的に得られる賃料が年金代わりになり、相続税対策や節税にもよく、生命保険の代わりにもなるなどと期待されているからです。

さまざまな理由で人気の不動産投資ですが、失敗しないためにも、実際に行う際には、その内容や特性を正確に把握しておくことがおすすめです。

この記事では、不動産投資の仕組みと特徴、メリット・デメリット、得られるインカムゲインとキャピタルゲインの違い、思わぬ落とし穴などについて解説します。

2. 不動産投資の仕組みと特徴

2-1. 不動産投資の仕組みと収益構造

冒頭でも紹介した通り、不動産投資とは、不動産を購入して人に貸すことで安定的に賃料収入を得たり、売却をして売却益を得たりする投資のことです。

不動産投資では、「賃料収入」と「売却損益」の2つのタイプの利益が期待できます。それぞれの収益構造について詳しく紹介します。

① 賃料収入を得る仕組み

不動産投資では、自己資金や不動産投資ローンで不動産を購入し、入居者に貸出すことで、賃料収入を得ます。賃料収入は、不動産を保有し入居者がいる限り、永続的に得ることが可能です。

実際には賃料収入がそのまま月々の収益になるわけではなく、管理費や修繕費、ローンの返済額などの諸経費を差し引いた金額が実収入となります。

家賃の金額はほぼ固定で、ほかの金融商品のように景気変動の影響が少なく、安定している点も魅力といえるでしょう。

入居者がいる限り安定的に収益を得られる一方で、入居者が途絶えて賃料が得られない場合や、経費がかさむ場合は赤字になることもあります。

なお、家賃収入から諸経費を差し引いた不動産所得には、所得税や住民税がかかります。この不動産所得にかかる税金については損益通算や減価償却費の計上による節税も可能です。不動産所得にかかる節税効果や税金について詳しくは、下記記事も参考にしてください。

⇒リンク「不動産投資に関わる税金と優遇措置についてわかりやすく解説

不動産を売却して売却益を得る仕組み

**不動産投資では、購入した不動産を売却することで売却益を得られます。**賃料収入と異なり大きな利益を期待することも可能です。ただし、売却益は不動産価値の下落で損失が出ることもあります。

不動産の売却で得られる売却損益は、下記のように計算されます。

  • 不動産の売却損益=不動産の売却代金-不動産の取得費-不動産の売却費用

不動産の取得費とは、不動産を購入する際の購入額と付随してかかった費用のことです。不動産の売却費用は、売却を仲介した不動産会社への仲介手数料などです。

なお、不動産の売却で得られる売却損益には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は、不動産の保有期間次第で節税することも可能です。不動産投資の節税効果について詳しくは、下記記事を参照してください。

⇒リンク「不動産投資に関わる税金と優遇措置についてわかりやすく解説

2-2. 不動産投資のインカムゲインとキャピタルゲインの違い

不動産のインカムゲイン・キャピタルゲインの仕組み

インカムゲインとは、配当金や預貯金の利子など資産を保有していることで得られる利益のことです。一方キャピタルゲインは、保有資産を売却することで得られる売却差益を指します。

不動産投資の場合、インカムゲインは月々得られる家賃収入のことを指し、不動産投資のキャピタルゲインは、不動産を売却する時の売却差益のこと指します。それぞれの特徴は下記の通りです。

【不動産投資のインカムゲイン(家賃収入)の特徴】
不動産のインカムゲインの説明画像

  • 定期的・継続的に安定的に得られる。
  • 収入金額は大きく値崩れすることはなくほぼ一定。

【不動産投資のキャピタルゲイン(売却益)の特徴】
不動産のキャピタルゲイン

  • 大きな利益が期待できる反面リスクも大きい
  • 売買には時間がかかる

不動産投資のインカムゲインの一度に得られる利益は、キャピタルゲインに比べると小さいものの、値崩れすることが少なく、保有するだけで安定的に得られることが期待されます。

不動産投資のキャピタルゲインは、大きな利益が期待できるものの、大きな損失となるリスクも伴います。

個人がキャピタルゲインを狙うには、購入に資金がかかりすぎることや、流動性が低いため売買が簡単ではない、売買に有益な情報が得にくいといった点がネックになる傾向です。また、売却に際してさまざまなコストがかかる点も難点といえます。仲介手数料や、所有権移転・抵当権抹消(ローンがある場合)のための登記費用、契約書の収入印紙代、不動産投資ローン完済のための手数料などの費用がかかります。

このため、キャピタルゲインの収益性よりインカムゲインの安定性の方が重視されることが多く、インカムゲインを主目的に不動産投資を行う人が多いといえるでしょう。

参考:インカムゲインとキャピタルゲインとは?

2-3. 不動産投資はミドルリスクミドルリターン

投資商品はそのリスクとリターンの高さから、ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンなどに分類されます。

不動産投資は、リスクとリターンが中程度のミドルリスクミドルリターンといえるでしょう。

【投資商品のリスクとリターンの分類の例】

ハイリスク・ハイリターンFX、暗号資産、株式投資、先物取引など
ミドルリスク・ミドルリターン不動産投資、REIT(不動産投資信託)、投資信託など
ローリスク・ローリターン預貯金、国債など

「リターン」は、投資の結果得られる利益・損失を意味し、「リスク」は、リターンの変動幅(不確実性)を指します。リスクとリターンはトレードオフの関係で、高いリターンを得ようとするとリスクも高まり、リスクを低く抑えようとすると期待されるリターンも低めになるのが一般的です。

ハイリスクハイリターンの投資商品には、元本割れをする、あるいは元本以上の資金を短期間で失うリスクがあるものの、大きな利益が期待できるものが該当します。ローリスクローリターンは、元本割れがしにくいなどリスクが小さいものの、得られる利益も小さいものが該当します。

不動産投資のリスクには、空き室により賃料が得られないことや、賃料の未払い、物件の毀損・滅失、売却時の売却損があります。元本保証はないためローリスクというわけではないものの、ハイリスク商品のように投資資金が短期間で消えることはありません。リスクを減らすために空き室の入居者を募ったり売却したりするなど対策を打つことも可能です。このためミドルリスクとみなされます。

リターン面では、不動産を所有している間の安定的な賃料収入や売却時の売却益が期待できます。ローリスクローリターンの投資対象よりは高いリターンが期待でき、ハイリスクハイリターン商品ほどの短期間で高いリターンはないといえるでしょう。このため、ミドルリターンとされます。

3. 不動産投資のメリット

不動産投資にはどういったメリットがあるのかを紹介します。

3-1. 安定して家賃収入が得られる

不動産投資では不動産を所有している限り、永続的に家賃収入を得ることが可能です。入居者が定着すれば株価や為替のように日々大きく変動することなく、安定的な金額の収入が得られます。

3-2. 自己資金が少なくともローン活用で投資ができる

不動産投資では、不動産投資ローンを活用することが可能です。借入を行って投資ができるため、自己資金を少なく始めることができます。

リスクは高くなりますが、レバレッジ効果で収益率を上げることも可能です。例えば、自己資金1000万円で1,000万円分の不動産投資をするのでなく、自己資金1,000万円をもとに借り入れをして5,000万円の投資をし、より多くの賃料収入を得ることができます。

3-3. 資産価値の維持・向上させることができる

不動産の場合は、株式や債券などの他の資産と異なり、手のかけ方次第で、資産価値を維持したり向上させたりすることが可能です。

不動産の価値は、一般的に年数の経過とともに低下します。しかし、外観や室内設備のリフォームを行うことにより建物の老朽化を防ぎ、快適性や利便性を上げることで、不動産の価値を維持したり上げたりできます。

3-4. インフレ・デフレに強い

不動産投資は、インフレ・デフレに強い資産といわれています。

なぜなら、例えばインフレ下では、家賃や不動産の価格も物価上昇に応じて上がりやすく、保有資産の相対的価値の下落を防ぐことができるからです。さらに、不動産投資のローンが残っている場合には、インフレでお金の価値が下がったことにより、ローンの金額が実質的に目減りし、返済負担が軽くなるというメリットも得られます。

一方、デフレ下では、不動産の価格も下がるものの下落速度は遅い傾向です。また、家賃についても、デフレになったから家賃を下げるということが商習慣にないため、一般的には起こりにくいといえるでしょう。このため不動産投資は、デフレによるダメージも受けにくいといわれています。

3-5. 相続税対策になる

不動産投資は、相続税対策になるというメリットもあります。

なぜなら、現金・預貯金よりも不動産の方が相続財産としての評価額が低くなるからです。例えば、預貯金1億円の相続税評価額は額面通りの1億円ですが、1億円を建物にした場合、相続税評価額(固定資産税評価額)は実勢価格の約70%になるといわれており、7,000万円となります。このため、現預金を不動産に替えることで、相続税評価額にして約3,000万円分の相続税を節税できます。

加えて、不動産を人に貸している場合はさらに相続税評価額が下がるため、相続税額をより減らすことが可能です。不動産投資の相続税に関する節税効果について詳しく知りたい方は、下記記事も参考にしてください。

⇒リンク「不動産投資に関わる税金と優遇措置についてわかりやすく解説」

3-6. 生命保険の代わりになる場合がある

不動産投資を行う際に不動産投資ローンを利用する場合、ほとんどの金融機関が「団体信用生命保険(団信)」と呼ばれる保険への加入を必須条件としています。

団信とは、不動産投資ローン返済中に契約者が死亡または高度障害の状態になった場合に、生命保険会社が金融機関に対して不動産投資ローンの残高に相当する保険金を支払うものです。このため、「生命保険代わりになる」といわれています。

ローンの契約者に万が一のことがあって団信によってローンが完済されたあとの不動産は、無借金の資産として活用可能です。

団信には、死亡時と高度障害時のみを保障対象としているものもあります。その場合は、3大疾病などの場合の保険として利用できない点に注意しましょう。

4. 不動産投資のデメリット

不動産投資にはもちろんデメリットもあります。具体的には次のようなデメリットがあるため、投資の際には注意が必要といえるでしょう。

4-1. 空き室リスクがある

不動産投資の空室リスク

不動産投資のデメリットは、空き室リスクがあることです。空き室リスクとは、所有している物件に誰も借り手がおらず、空き室が発生し収入がゼロになるリスクのことです。

所有している物件よりも条件の良い物件が周囲に増えた場合や、相場よりも賃料が高い、近隣の人口が減った場合などに入居者が確保できないことがあります。

空き室で収入が途絶えてしまっている間にも、ローン返済や管理費・修繕費などのコストが発生します。特に、ローンの返済が滞ると金融機関から一括返済を求められるなどして急激に資金繰りに行き詰まることもあります。

空き室となった場合は、すぐに募集条件を見直したり仲介会社に募集依頼をしたりするなど早めの対策が必要です。あるいは、「空室保証」という、空室時の家賃収入を保証するサービスを利用する方法もあります。空室保証とは、保証会社に一定の保証料を毎月支払うことで、空室となった際に一定の家賃収入を保証会社から受け取れる仕組みです。

4-2. 入居者リスクがある

不動産投資の入居者リスク

入居者の中には、家賃を滞納したり、近隣に迷惑をかけたりする入居者もいます。そうしたトラブルを起こす入居者であっても簡単に追い出すことはできません。

家賃の滞納が1~2ヶ月程度あっても強制退去は不可能です。判例から5~6ヶ月の家賃滞納がないと契約解除の交渉は難しいといえるでしょう。

入居者リスクへの備えとしては、例えば家賃保証会社(賃貸保証会社)を利用する方法があります。「家賃保証」では、入居者が家賃滞納した場合、家賃保証会社が家賃の立て替え払いをしてくれます。

4-3. 空室時も固定資産税・修繕費などの固定費が必要

不動産投資では、物件を維持するために管理費(共益費)や修繕費や、固定資産税などの租税公課、ローンの返済といったコストがかかります。

空き室となって収入がない場合でも、これらのコストは減らずに固定で発生する点に注意が必要です。

4-4. 物件管理の手間がかかる

不動産投資では、物件やその設備の維持管理が必要です。設備の故障や老朽化による修繕が必要な場合に適切に対応しなければ、入居者の退居につながりかねません。

また修繕以外でも、入居者からのクレームやトラブルにも対応しなければなりません。入居時の対応や空室時の客付けなどの手間もかかります。物件管理を不動産会社などに委託することも可能ですが、その場合は委託費用が発生します。

4-5. 流動性が低く現金化が簡単ではない

不動産投資の対象である不動産は、株式や投資信託などと比べて市場がなく相対取引のため、流動性が低いというデメリットがあります。

収益性が悪く物件を手放したい場合や、急きょ資金が必要となった場合でも、すぐにその不動産をお金に換えるといったことはできません。売り出しから買い手を見つけて売却契約が決まるまでに時間と労力がかかるなど、現金化は簡単ではないといえるでしょう。

4-6. 売却時に損をする価格変動リスクがある

不動産を売却するときに、市場価格の変動で価格が下がっていると売却損が出ることもあります。

特に、老朽化が進んでいたり利便性が下がったりして空き室率が高い物件は、価格は下がりやすい傾向です。物件のメンテナンスを行って空き室率を下げるなど、できるだけ価格の下落を防ぐ対策が必要といえるでしょう。

4-7. 災害に見舞われ資産価値が下がるときがある

建物は株式や債券などの投資商品などと異なり、火災や地震などの災害に見舞われると損壊することがあります。特に安価に購入できる木造物件などは、災害時には特に大きなダメージを受けやすいといえます。

火災・地震保険に加入しておくことで損失を抑えることはできますが、災害により資産価値が下がる可能性がある点に注意が必要です。

4-8. 正確な情報が得られないリスクがある

一般的に、不動産を購入する機会はそう多くないといえます。そのため、ほとんどの人は不動産の購入についての知識やノウハウ、情報を持っていません。

不動産会社の営業担当者に比べて、圧倒的に知識不足・情報不足であることが多いため、不動産会社のセールストークに流されてしまうことがよくあります。不動産会社は、嘘をついたり詐欺行為を働くことはないとしても、不利な情報を伏せていたり、重要なことを説明してくれなかったりすることも少なくありません。

「節税にいい」「収益性が高い」といった言葉をうのみにせずに、複数の不動産会社を利用したり専門家の話を聞いたりして、できるだけ正しい情報に基づいて判断することが大切です。

5. 不動産投資で得られるインカムゲインの具体例

5-1.表面利回りからみたインカムゲイン

不動産投資で得られるインカムゲインの具体例について紹介します。

不動産投資のインカムゲインは先に解説した通り、家賃収入のことです。

例えば、物件価格2,000万円で表面利回り6%の物件を購入した場合、年間120万円の収入、月収にして家賃10万円のインカムゲインが得られる見込みです。

不動産投資の表面利回り

表面利回りとは、物件価格に対してどれくらいの家賃収入が得られるかという収益性を表す数値です。年間の家賃収入の合計を物件価格で割って算出します。通常は投資物件を紹介される際に、表面利回りを提示してもらえます。

なお、実際に不動産投資で月々得られる収入を検討する場合には、家賃収入だけでなく、家賃収入を得るためにかかる経費も考えておく必要があります。本来は、家賃から経費を差し引いた手取りベースの実質利回りを見るべきですが、実質利回りは経費の算定が難しいため、物件紹介で提示されるケースは少ないといえます。

5-2.手取りベースでみたインカムゲイン

不動産投資の実質利回り
次に、手取りベースの収益を見てみましょう。

先述の表面利回りでみたインカムゲインの例と同じ「物件価格2,000万円で表面利回り6%の不動産を運用した場合」の手取りベースでみたインカムゲインは、下記の通り月収2.9万円となります。表面利回りからイメージしていた月10万円と比べると半額以下の金額となります。

なお、手取りベースの月収は、ローン返済額などの月々の経費、また、共益費など家賃以外の収入の設定次第で変わります。上記の月収2.9万円は下記のような設定に基づいた場合の試算結果です。

【物件価格2,000万円で表面利回り6%の不動産を運用した場合】

  • 物件価格:2,000万円
  • 賃料収入:月10万円
  • 頭金:500万円
  • ローン返済額:5万円/月

【手取りベースの収益に加算される収入】

  • 家賃収入:月10万円
  • 共益費(共用部の電気代、水道代、掃除代):月5,000円
  • 駐車場代(駐車場を貸してる場合):月3,000円

※上記例にはありませんが、更新料(契約更新時のみ)、礼金(入居時のみ)、敷金や保証金(返還不要なもの)などもあれば加算します。

【手取りベースの収益から差し引く費用】

  • 管理委託費:月5,000円
  • 修繕費:月5,000円
  • 損害保険料:月3,000円
  • ローン返済額:月5万円
  • 固定資産税:年に1回、19.6万円

※その他、広告料(入居付けの際など)などの出費があれば費用に追加できます。

上記前提に基づいて、手取りベースの実収入を計算すると下記の通りです。

実収入=家賃収入+共益費+駐車場代-ローンの返済額-諸経費(管理費・修繕費・損害保険料)-固定資産税(1ヶ月分)

=10万円+0.5万円+0.3万円-5万円-1.3万円-19.6万円/12ヶ月=2.9万円

さまざまな経費を差し引くと、手取りベースのインカムゲインは月2.9万円ほどとなることがわかります。表面利回りベースのインカムゲインの月10万円と大きく金額が異なることから、不動産投資の物件を見極める場合は、収支のシミュレーションを十分に行って検討することが大切といえるでしょう。

6.不動産投資は売買益(キャピタルゲイン)も獲得できる

不動産投資で、保有している物件の価格が値上がりしている場合には売却によってキャピタルゲインである売却益を得ることも可能です。

下記は、不動産投資のキャピタルゲインを獲得できた場合の一例です。

10年前に2,000万円で購入したワンルームマンションを2,500万円で売却したと仮定します。

【売却するマンションの前提】

  • マンション売却価格:2,500万円
  • マンション購入代金:2,000万円
  • 売却仲介手数料:89万円
  • 印紙税:1万円

上記不動産を売却することで得られる売却益は以下の通りです。

マンションの売却損益=マンション売却代金-マンションの取得費-マンションの売却費用

=2,500万円-2,000万円-(89万円+1万円)=410万円

上記例では、2,000万円で購入したワンルームマンションを2,500万円で売ると、売却益は410万円になります。なお、売却益には別途、譲渡所得税がかかります。

また、ローンが残った状態で物件を売却する場合、その売却益で残債を支払う必要がある点にも注意が必要です。ローンがある状態の場合は手元にあまり利益が残らないといったことも起こります。

7.不動産投資の落とし穴。不労所得を得ようとして失敗した例

不動産投資は思惑通りにいかないことも少なくありません。よくある失敗例として、次のようなケースがあるため、注意しましょう。

7-1. ローンを組んで不動産投資をしたがCFの赤字で返済不能に

好立地のワンルームマンションを、比較的高い家賃が得られる予定でローンを組んで購入。当初は順調に利益をあげられていたものの、近所に競合物件が増えたため状況が一変。空き室となることが増え、ローンの返済が滞るようになったというケースもあります。

収入が途絶えた中でのローン返済は、持ち出しが増えるほか、万が一、ローン返済を滞らせてしまうと一括返済を求められるなどして、資金繰りが一気に行き詰まることもあります。ローンを組む際は、環境の変化による空き室リスクなども考慮して無理のない額に設定することが大切です。

7-2. 利回りの高い物件を選んだはずが出費がかさみ赤字に

収益性を重視して立地がよく利回りの高い中古物件を購入。当初は順調に利益が出ていたものの、運用している間に老朽化が進み、入居者の退居が目立つようになり、修繕費やリフォーム代もかさむなど、赤字に転落するケースもあります。

リフォーム後、入居者が確保できればよいですが、リフォーム後も思うように入居者が定着しないことも少なくありません。空き室が続いて出費がかさむため、売却したいと思っても、空き室が多いことから、なかなか買い手が見つからないこともあります。

利回りの高い物件でも環境の変化や老朽化で空き室が増えることがあります。空き室対策がうまくいかないと持ち出しが増えるほか、売却したくても売却できないという問題が起きるため注意が必要です。

7-3. 営業トークを信用して割高な物件を購入してしまった

不動産営業マンに言われるがままに不動産投資を行う会社員の図

営業トークを信用して利回りの高い優良物件を購入したつもりが、家賃収入や費用の設定が現実とかけ離れた都合のよい設定だったため、実際には思うほど収益をあげられなかったという失敗もあります。

「人気物件のため入居者に困ることはない」「節税効果があり経費もかからない」などのセールストークを受けた場合は鵜呑みにしないことが大切です。物件選びをする際は、複数の不動産会社を見比べて信頼できる会社を選んだり、専門家の意見を聞いたりして、できる限り正しい情報を集めて検討するようにしましょう。

8. まとめ

不動産投資は、家賃収入というインカムゲインと、売却益というキャピタルゲインが期待できます。特にインカムゲインは、キャピタルゲインよりもリスクを抑えて安定的に利益を得られる点で人気です。

不動産投資のインカムゲインでは家賃収入が得られる一方で、管理費や修繕費、損害保険料、ローン返済額、固定資産税の支払いなどさまざまな費用が必要となります。不動産投資をする際は、賃料収入だけでなく、諸費用についてもきちんと見積もり、キャッシュフローをしっかり得られるように計画することが大切です。

また、不動産投資は特にセカンドオピニオンが重要です。不動産会社の勧めるままに判断せず、例えば資産運用の専門家であるファイナンシャル・アドバイザーに相談するなど、専門家の意見を活用することがおすすめです。

shin-maekawa-profile

前川心

フリーライター

大阪大学経済学部を卒業後、ビジネス系出版社で主に株式投資・企業情報・景気動向に関する情報誌のリサーチ・編集業務を担当。独立後は投資・不動産・転職分野を得意とするWEBライター、インタビューライターとして活動。金融投資メディアやビジネス系メディア、不動産メディアで解説記事を多数執筆。

大阪大学経済学部を卒業後、ビジネス系出版社で主に株式投資・企業情報・景気動向に関する情報誌のリサーチ・編集業務を担当。独立後は投資・不動産・転職分野を得意とするWEBライター、インタビューライターとして活動。金融投資メディアやビジネス系メディア、不動産メディアで解説記事を多数執筆。

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REIT

「Real Estate Investment Trust」の略。投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品で、一般的に「不動産投資信託」と呼ばれている。 投資者は、REITを通じて間接的に様々な不動産のオーナーになり、不動産のプロによる運用の成果を享受することが可能。

インカムゲイン

インカムゲインとは資産運用で得られる収益の中で、資産を保持することで継続的に受け取れるもののこと(対義語:キャピタルゲイン)。株式の配当金、債券での利子、投資信託の分配金、不動産で賃貸することで受け取れる家賃収入などがこれに当たる。

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