個人年金保険よりも定期保険とiDeCoを組み合わせたほうが良いというのは本当ですか?
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2025/01/14 17:19
男性
50代
老後の備えとして個人年金保険への加入を検討しています。掛け捨て保険と比べて保障の機能もあり、将来年金にもなるのでお得だなと感じています。しかし、知人に相談したところ、個人年金保険は割に合わないから、必要な定期保険に加入したうえでiDeCoを活用して資産運用したほうがいい、といわれました。<br>本当にそうなのでしょうか?どのようなポイントで比較検討すればいいか教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
個人年金保険を検討する際は、保障機能・税制優遇・運用効率・流動性の四つを軸に比較すると判断しやすくなります。まず保障機能について、個人年金保険の死亡給付は「払込保険料相当額」が中心で、遺族の生活費を十分にカバーできるとは限りません。一方、掛け捨ての定期保険なら必要保障額に合わせて保険金を設計でき、保険料も抑えられます。税制面では、個人年金保険料控除の上限は年間8万円の支払いで頭打ちですが、iDeCoは掛金全額が所得控除となり、運用益も非課税、受取時には退職所得控除や公的年金等控除が使えます。加えて新NISAを組み合わせれば、途中換金自由で運用益が非課税になる年間最大360万円の投資枠も確保できます。
運用効率に目を向けると、個人年金保険の予定利率は現在1%未満が一般的で、インフレ局面では実質利回りがマイナスになる懸念があります。iDeCoやNISAで低コストインデックスファンドを長期積立すれば、歴史的実績から見て実質3~5%程度のリターンを狙うことも可能です。流動性の点では、iDeCoは原則60歳まで引き出せず老後資金を守る“ロック”になりますが、個人年金保険は途中解約で現金化できる代わりに元本割れリスクが大きいことを忘れてはいけません。
したがって、多くの家庭にとっては「必要保障は定期保険で確保し、余剰資金はiDeCoと新NISAで非課税運用」という組み合わせが、税負担・運用効率・柔軟性のバランスに優れます。60歳前に資金を取り崩す可能性がある、あるいは強制積立の仕組みを保険に求めたい場合のみ、個人年金保険を補完的に利用する選択肢を検討するとよいでしょう。最終的には、家計のキャッシュフローや価値観、将来の資金使途を整理し、保障と資産形成を別々に最適化する視点で判断することが重要です。
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個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。