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高収益物件だと節税は難しいですか?

高収益物件だと節税は難しいですか?

回答受付中

1

2025/01/20 18:45


男性

50代

question

高収益物件は収益が安定しているため魅力的だと考えていますが、一方で節税効果が薄いとも聞きました。その理由を教えていただきたいです。また、収益性を維持しながら節税する方法があれば、アドバイスをいただけますか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

高収益物件は家賃収入が大きく、経費や減価償却費を十分に計上しても課税対象となる黒字が残りやすいため、いわゆる“赤字節税”は期待しにくいのが実情です。しかし黒字物件でも、税コストを抑えつつキャッシュフローを高める余地はあります。たとえば①建物割合が高く耐用年数の短い中古RC物件を選んで初年度から大きな減価償却を取る、②設備や内装を資本的支出としてではなく修繕費扱いにできるよう工事区分を精査し一括費用計上する、③長期固定ローンを活用し支払利息を経費化してキャッシュフロー(実際の手残り)と課税所得を意図的に乖離させる、④耐震補強・省エネ改修・地域活性化事業など地方税や固定資産税の軽減措置が受けられるスキームを併用する、といった手法が代表例です。これらは物件の築年数、構造、所在地、ご自身の所得階層や他の投資資産との損益通算の可否によって効果が大きく変動します。購入前に税理士へ複数年のシミュレーションを依頼し、減価償却スケジュール・借入条件・将来売却時の譲渡益課税まで含めた総合設計を行うことが不可欠です。同時に、不動産仲介や管理の専門家と連携して空室率・修繕計画・出口戦略を精査すれば、節税に依存し過ぎることなく高収益物件のリターンと税負担の最適バランスを実現できます。

佐々木 辰さんに相談する

株式会社Fan 不動産コンサルティング室 マネージャー

高収益物件を所有する場合、所得税効果が薄く感じるのは不動産所得を赤字計上しにくいからだと思います。ただ、それは実感しにくいだけで得あって、減価償却等でキャッシュアウトせずにマイナス計上できているのであれば節税効果はあると言えます。基本的には投資なので、高収益であることで悪いことはないですが、節税効果も実感したいのであれば、建物価格の比率が高く償却年数が短い不動産を選択したり、建物と設備を分けて減価償却するなど工夫するとよいかもしれません。

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減価償却

減価償却とは、固定資産の購入価格をその使用可能年数にわたって経済的に分配する会計処理の方法です。企業が機械や建物、車両などの固定資産を購入した際に、これらの資産は使用することで徐々に価値を失います。減価償却を行うことで、資産のコストをその寿命にわたって費用として計上し、その結果として企業の財務報告が実態に即したものになることを目指します。 減価償却には様々な方法がありますが、一般的なものに直線法、定率法、数字和法があります。直線法はもっとも単純で、資産の耐用年数にわたって均等に費用を計上します。定率法は残存価値を基に毎年一定の割合で費用を計上し、数字和法では耐用年数の初年度に最も多くの費用を計上し、年数が経過するにつれてその額を減らしていきます。 減価償却は税務上も重要で、企業は減価償却費を経費として計上することで課税所得を減少させることができます。このため、適切な減価償却方法の選択と計算は、企業の税負担の管理にも直接関連しています。

修繕費

修繕費は、建物や設備の維持・修理にかかる費用を指します。資産価値の維持や収益性の確保に重要な役割を果たし、通常は経費として計上されます。

課税所得

課税所得とは、個人や法人が一定期間内に得た収入から、法律に基づいて認められた各種控除や必要経費を差し引いた後の金額を指します。この金額に対して所得税や法人税などの税率が適用され、実際に納税すべき税額が計算されます。課税所得の計算方法は国や地域によって異なるため、具体的な控除項目や税率もそれに応じて変わります。 課税所得を計算する際には、まず総収入から非課税所得を除外します。その後、必要経費や特定の控除(例えば、標準控除、医療費控除、教育費控除など)を適用して課税対象となる所得を求めます。これにより、公正かつ実情に即した税額を算出し、納税者が収入に見合った税金を支払うことが可能となります。 課税所得の正確な把握と計算は、個人や企業の税務管理において非常に重要です。税法の変更に応じて控除額や計算方法が更新されることが多いため、適切な税務知識を持つこと、または専門の税理士などの助けを借りることが望ましいです。これにより、適切な税金の納付を確実に行い、法的な問題を避けることができます。

キャッシュフロー

お金の流れを表す言葉で、一定期間における「お金の収入」と「支出」を指します。投資や経済活動では特に重要な概念で、現金がどれだけ増えたか、または減ったかを把握するために使われます。キャッシュフローは大きく3つに分かれます。 1つ目は本業による収益や費用を示す「営業キャッシュフロー」、2つ目は資産の購入や売却に関連する「投資キャッシュフロー」、3つ目は借入金や配当などの「財務キャッシュフロー」です。 キャッシュフローがプラスであれば手元にお金が増えている状態、マイナスであれば減っている状態を示します。これを理解することで、資産の健全性や投資先の実態を見極めることができ、初心者でも資金管理や投資判断の基礎として役立てられます。

損益通算

投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。

譲渡益

譲渡益とは、株式や不動産などの資産を売却した際に得られる利益のことを指します。具体的には、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた金額が譲渡益となります。個人が株式を売却して利益を得た場合、通常は譲渡所得として申告分離課税(税率20.315%)の対象になります。不動産の場合、所有期間が5年以下の短期譲渡は税率39.63%、5年超の長期譲渡は20.315%の税率が適用されます。 また、投資信託の売却益も譲渡所得に分類されますが、分配金の一部は配当所得として課税される場合があります。税制上の優遇措置として、NISA(少額投資非課税制度)や居住用不動産の3000万円特別控除などがあり、適用条件を理解することが重要です。 資産運用においては、売却のタイミングや税制の影響を考慮し、適切な税対策を行うことが求められます。

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