為替リスクって、実際どれくらい影響があるのでしょうか?
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2025/04/08 17:00
男性
60代
外債投資では「為替リスクに注意」とよく聞きますが、実際にどの程度パフォーマンスに影響するのでしょうか?為替の変動で利益が消えてしまうようなこともあるのか、初心者の私にはイメージがつきません。投資判断にどれほど意識するべきなのか、具体的に教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
為替リスクとは、外貨建ての資産を円に換算する際に、為替レートの変動によって損益が変わるリスクを指します。特に外債(外国債券)への投資では、為替の動きがリターンに大きな影響を与えることがあります。
たとえば、年利3%のドル建て債券を1ドル=150円で購入した場合、1年後に1ドル=130円に円高が進むと、円換算での評価額は約13%目減りします。受け取った利息ではその損失をカバーできず、トータルでマイナスになる可能性があります。一方で、円安に進めば、為替差益によって期待以上のリターンが得られることもあります。つまり、為替リスクは損失要因にもなり得ますが、利益のチャンスにもなるのです。
こうしたリスクを抑えたい方には、「為替ヘッジ付き」の外債商品があります。為替変動の影響を限定できる一方で、ヘッジコストがかかるため、為替があまり動かなかった場合にはリターンが下がってしまうこともあります。
どの程度為替リスクを取るかは、投資の目的や運用期間によって異なります。短期的な安定収益を重視するならヘッジの活用が効果的ですが、長期的な成長を目指すならある程度リスクを受け入れるのも一つの戦略です。
為替リスクは見えにくい分、軽視しがちですが、資産全体のバランスや自分のリスク許容度をふまえたうえでの判断が重要です。迷ったときは、資産運用の専門家に相談することで、自分に合った方針を見つけやすくなります。
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為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
外債(外国債券)
外債とは、日本の投資家から見て、外国の政府や企業などが発行する債券のことを指します。発行される場所や通貨はさまざまで、たとえばアメリカの企業が米ドルで発行する債券や、ヨーロッパの政府がユーロで発行する債券などが含まれます。 外債は、国内の債券よりも高い利回りが期待できる場合がありますが、為替リスクや信用リスク、政治・経済の変動など、海外特有のリスクも伴います。投資する際には、その国や発行体の信用力、為替相場の動向をよく確認することが大切です。うまく活用すれば、資産運用の幅を広げ、通貨や地域の分散を図る手段として有効です。
為替差損益
為替差損益とは、外貨建ての資産を日本円に換算する際に生じる為替レートの変動による損益を指します。たとえば、1ドル=130円のときに米ドルで資産を購入し、売却時に1ドル=140円で円に戻した場合、為替差によって10円分の為替差益が発生します。逆に、売却時に円高が進行し1ドル=120円になっていれば、10円分の差損が発生することになります。この為替差損益は、外国株式、外貨建て投資信託、外債、外貨預金など、外貨を用いた資産運用において常に発生し得る重要なリスク要因です。 資産の値動きが堅調であっても、為替相場の変動によって最終的な円ベースのリターンが目減りすることがあるため、投資判断の際には為替リスクも含めて総合的に考慮する必要があります。たとえば、円安が進行すれば円換算での評価額は増えますが、円高になれば逆に資産価値は減少します。為替差損益は、こうした為替変動を通じて投資成果に直接的な影響を与える存在であり、為替動向の把握や資産配分の調整、ヘッジ戦略の活用などが求められます。 NISA口座での運用においても為替差損益は無視できません。NISAでは、外国株式や外貨建て投資信託の売却益が非課税となるため、為替差益も含めた全体の売却益が非課税対象となります。つまり、為替差によるプラスのリターンも税金がかからずそのまま受け取れるというメリットがあります。ただし、逆に為替差損が発生しても、それを他の利益と損益通算したり、繰り越して控除することはできません。NISAでは損失の税務活用ができないため、為替リスクを取る際は慎重な判断が必要です。 税務や会計上では、為替差損益には「実現損益」と「評価損益」があります。実現損益とは、外貨建て資産を実際に売却し円に換えた際に確定する損益であり、通常の課税対象となります。一方、評価損益とは、保有中の外貨建て資産を期末などに円換算した際に一時的に生じる為替差損益であり、個人投資家の場合、課税対象にはなりません。法人ではこの評価損益を会計上反映させるケースもありますが、個人の確定申告ではあくまで実現ベースでの損益が対象です。 このように、為替差損益は資産運用における見落としがちなリスク要素でありながら、運用成果に与えるインパクトは決して小さくありません。為替相場の予測は困難であるため、為替ヘッジ付き商品の活用や、複数通貨への分散投資、円建て資産とのバランス調整などを通じて、想定外の為替変動にも対応できる設計が望まれます。投資判断を行う際には、表面的なリターンだけでなく、その背後にある通貨変動の影響にも目を向けることが重要です。
リターン
リターンとは、投資によって得られる利益や収益のことを指します。たとえば、株式を購入して値上がりした場合の売却益(キャピタルゲイン)や、債券の利息、投資信託の分配金(インカムゲイン)などがリターンにあたります。 これらを合計したものは「トータルリターン」と呼ばれ、投資の成果を総合的に示す指標です。リターンは、元本に対してどれだけ増えたかを「%(パーセント)」で表し、特に長期投資では「年率リターン」で比較されることが一般的です。 リターンが高いほど投資先として魅力的に感じられますが、そのぶんリスク(価格変動の可能性)も高くなる傾向があるため、自分の目的やリスク許容度に応じて、適切なリターンを見込むことが大切です。