中退共と他の退職金制度の併用は可能でしょうか?
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2025/04/01 01:02
男性
30代
弊社では中退共制度の導入を検討している一方で、すでに企業型確定拠出年金(DC)や法人保険による退職金準備も行っております。これらの制度と中退共との併用可否や、重複リスク、税制面での注意点について教えていただけますでしょうか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
中退共(中小企業退職金共済)は、企業型確定拠出年金(DC)・確定給付年金(DB)・法人保険などと併用できます。ただし制度ごとに「掛金限度」「損金算入」「給付課税」「途中解約・脱退処理」が異なるため、設計次第では重複や限度超過による非損金化が生じかねません。
併用を設計する際は、まず退職金のゴール(対象者・支給時期・必要額)を描いたうえで、次のポイントを順に検証してください。
① 掛金限度と損金算入枠
・中退共は掛金全額が損金。
・企業型DCは年66万円(DB併設なら33万円)が上限。
・法人保険は保険種類ごとに損金算入割合が異なる。
② 給付形態と受給時課税
・一時金か年金か、退職所得控除の適用可否を要確認。
③ 途中解約・離職時の扱い
・中退共は退職金として本人へ直接支給。
・DCはポータビリティあり。
・法人保険は解約返戻金課税や名義変更課税を考慮。
④ 労使合意・運用管理コスト
・就業規則改定や従業員説明義務、制度間の管理負荷を精査。
これらを俯瞰し、「どの制度で何を担うか」を役割分担すると、過不足なく税効率の高い退職金体系を構築できます。最終的には退職金制度・税務・労務に精通した専門家と連携し、財務戦略と人材戦略の両面から全体最適を図ることをおすすめします。
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中退共(中小企業退職金共済制度)
中退共とは、中小企業の従業員に退職金を支給するための共済制度です。企業が毎月掛金を支払い、従業員が退職する際に積み立てられた退職金が支給されます。国の助成金もあり、企業負担を軽減しながら従業員の退職後の生活を支えます。
企業型確定拠出年金 (企業型DC)
「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。
確定給付企業年金 (DB)
確定給付型企業年金(DB)とは、企業が従業員の退職後に受け取る年金額を保証する企業年金制度です。あらかじめ決められた給付額が支払われるため、従業員にとっては将来の見通しが立てやすいのが特徴です。DBには規約型と基金型の2種類があります。規約型は、企業が生命保険会社や信託銀行などの受託機関と契約し、受託機関が年金資産の管理や給付を行う仕組みです。基金型は、企業が企業年金基金を設立し、その基金が資産を運用し、従業員に年金を給付する仕組みです。確定拠出年金(DC)との大きな違いは、DBでは企業が運用リスクを負担する点であり、運用成績にかかわらず従業員は決まった額の年金を受け取ることができます。一方、DCでは従業員自身が運用を行い、将来受け取る年金額は運用成績によって変動します。DBのメリットとして、従業員は退職後の給付額が確定しているため安心感があることが挙げられます。また、企業にとっては従業員の定着率向上につながる点も利点となります。しかし、企業側には年金資産の運用成績が悪化した場合に追加の負担が発生するリスクがあるため、財務的な影響を考慮する必要があります。
法人保険
法人保険とは、会社が契約者となり、役員や従業員を被保険者とする保険のことです。会社が支払う保険料は、保障を通じて従業員の万一に備えるだけでなく、福利厚生としての活用や、役員退職金の準備、さらには事業承継対策にもつながります。 また、保険の種類や契約内容によっては、支払った保険料の一部または全部が経費(損金)として処理できる場合もあります。ただし、税制やルールは変更されることもあるため、導入にあたっては専門家のアドバイスを受けることが大切です。企業の財務戦略の一環として、保障と資産管理をバランスよく行いたい企業に活用されています。
損金算入
損金算入とは、企業が支払った経費のうち、税務上の所得計算において課税対象から控除できる金額のことです。例えば、事業活動に必要な経費や接待交際費の一部は損金算入の対象となります。損金算入により、企業の課税所得が減少し、納める法人税が軽減されます。